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がん治療のプロ集団、ASCOでさえ予想を間違えることがある

最新の学会/最新の論文から

米国臨床腫瘍学会(ASCO)の規模は、今や40,000人ものがん研究/治療専門家が集積する世界最大のがん治療学会に成長しています。

そのASCOからは、毎年、年報「ASCO Clinical Cancer Advances」が発行され、前年にどんな華々しい成果が上がったか、特別に注目すべき治療法・医薬品/医薬品候補は何か、について記載されています。

2016年3月25日に到着した2016年版、
“ASCO Clinical Cancer Advances 2016 –
   ASCO’s 11th Annual Report on Progress Against Cancer”
(すなわち、2015年末までの最新の臨床試験の成果)
では、もちろんがん免疫療法が大々的に取り上げられています。

特に新しい免疫チェックポイント阻害剤が次々に登場していること、治療対象がメラノーマから、すでに肺がん、膀胱がん、腎がん、肝細胞がん、頭頸部がんにまで広がっていることが、それぞれに章を設けて解説されています。

これだけ大々的に取り上げられている状況では、
・がん免疫療法を知らずに済ます、
・がん免疫療法知ろうともせずにむやみに非難する、
・旧来のがん化学療法に固執する、
ということは、もはや臨床でがん治療を手掛ける医師にとって倫理的に許されることではありません(少なくとも米国では)。

それだけ、医師にとっては最新の知識を簡潔にまとめた形で供給される
「ASCO Clinical Cancer Advances」
は重要なのです。

ところが、到着したばかりの2016年版では小さな記事ながら、これはと思われる一項目がありました。

**********(p.16)
Cancer Vaccines: A Potential New Treatment Option for Brain Tumor

Glioblastoma is an aggressive and incurable form of brain cancer.
—(中略)—
Preliminary findings from a phase II trial indicate that therapeutic cancer vaccines can improve outcomes for patients with relapsed glioblastoma (Ref. 34). The rindopepimut vaccine works against glioblastoma tumors with a specific genetic mutation known as EGFRvIII, which contributes to uncontrolled growth of brain tumors. The mutaion occurs in approximately one in four glioblastomas. It does not occur in healthy brain tissue.
**********
と記載されています。

すでにご存知の方もおられるかもしれませんが、このrindopepimut vaccineは、2016年3月15日、日経バイオテクOn Lineで、
( → https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/news/p1/16/03/15/00373/ )
—————-
米Celldex社、膠芽腫患者を対象とした癌ワクチンのフェーズIIIの中止を発表

米Celldex Therapeutics社は2016年3月7日、独立したデータ安全性モニタリ
ング委員会(DSMB)が、新規に診断されたEGFRvIII陽性の膠芽腫患者を対象とし
た癌ワクチンRINTEGA (rindopepimut)のACT IVフェーズIII臨床試験の継続が、
微小残存病変(MRD)を持つ患者の生存率で、統計上有意なレベルに達しないであ
ろうとの判断を下したと発表した。同臨床試験では、RINTEGA群とコントロール
群の両群が、ほぼ同様のパフォーマンスを示した。
—————-
と報じられたばかりなのです。

つまり、rindopepimutは括目すべき成果を上げていると、ASCOの専門家群から高い評価を受けたのですが、残念ながらPhase IIIでは失敗、ASCOで褒められても、たった1年であえなく撤退というわけです。

ことほど左様に、がん治療は難しいのです。中でも、がんの中で「最悪中の最悪」と言われ続けてきた膠芽腫(glioblastoma)では、治療法の開発は困難を極めています。

ASCOという巨大ながん治療のプロ集団が、寄ってたかって前向きな評価を下したがんペプチドワクチンでさえも、予測が外れることがあるのです。

( → それでもめげずに、
弊社は「がん免疫療法のパイオニア」として、
膠芽腫の治療法開発のための挑戦を続けて参ります。)

Reference

34. Reardon DA, Schuster J, Tran DD, et al: ReACT: Overall survival
from a randomized phase II study of rindopepimut (CDX-110) plus
bevacizumab in relapsed glioblastoma. J Clin Oncol 33, 2015
(supple; abstr 2009).