放射線治療にも細胞性免疫反応が必要
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第45回日本癌治療学会が10月24-26日に京都で開催されました。その中のシンポジウム7「癌免疫療法の現状と展望」、S7-3、「DCおよびT細胞治療の現状と展望」で、北大・西村孝司先生は、マウス実験ながら、あらかじめCD8(+) T細胞を特異抗体で除去処理しておくと、放射治療が無効になってしまう、というデータを示されました。
放射線治療では、照射線量を相当高くしても、がん細胞の完全な増殖死を誘導することはできませんが、この発表からすると、生残したがん細胞を体内のキラーT細胞が殺すことによって結果的に放射線治療効果を良好なものにしていること、したがって、免疫機能不全を起こしている宿主個体では、放射線治療がうまくいかないであろう、と解釈されます。
今後、放射線治療とがん免疫療法の併用研究が進むものと推定されます。