第14回がんワクチン療法研究会から 最新のがん免疫療法に関するトピックスをご紹介します。

トピックス

第14回がんワクチン療法研究会から

最新の学会から 

先週11月4日(土)に、佐賀大学医学部にて、第14回がんワクチン療法研究会が開催されました。

今回のテーマと会長は、
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「ワクチン療法とチェックポイント阻害剤」

学術集会会長: 阿部 竜也 先生
(佐賀大学医学部脳神経外科)
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です。

プログラムは、
→ http://www.ascavath.org/14thprogram.pdf
に公開されています。

今回は、阿部竜也先生のお世話にて、小型研究会にしてはもったいないような充実したメンバーがそろい、大型学会のシンポジウムにも引けを取らない内容の研究会になっていました。

特に、ハイライトになっていたのは、特別講演4題とそのパネルディスカッションでした。4名の先生方の発表のキーポイントは、

1.「膠芽腫に対する免疫療法の現状と課題」
成田善孝(国立がん研究センター中央病院脳脊髄腫瘍科長)
ここは本邦の膠芽腫に関する治験の中心に位置しているため、WT1抗原、EGFRvIII抗原、ITKペプチドワクチンを用いた臨床試験の先端的状況の講演をされました。再発膠芽腫に対するニボルマブ(オプジーボ)とベバシズマブ(アバスチン)の比較試験では、有意差が見られなかったそうです。
また、ITKペプチドワクチンによる再発膠芽腫治療でも有意差が見られなかったとのことですが、サブ解析で、単球およびT細胞の組織浸潤に関与すると考えられているMCP-1をとりあげ、その発現レベルで分類した場合、全生存期間にp=0.0001という差が見られたとのことでした。

2.「前立腺がんにおける免疫療法の臨床開発」
野口正典(久留米大学先端癌治療研究センター臨床研究部門 教授)
ITKペプチドワクチンは久留米大で開発されたものですが、前立腺がんの標準治療になっているドセタキセル投与群と比較したとき、全生存期間中央値が、ワクチン群17.1ヶ月対対照(ドセタキセル投与)群8.8ヶ月、p=0.169であったそうです。そこで現在第3相試験に進んでおり、登録症例数333例で治験中、2018年5月に結果が出る見込みとのことでした。
前立腺がんには免疫チェックポイント阻害剤は無効と判明していることから、がんワクチン療法が期待されています。

3.「脳腫瘍に対するWT1 ペプチドワクチン療法」
橋本直哉(京都府立医科大学大学院医学研究科脳神経外科学 教授)
長らく大阪大学でWT1ペプチドワクチン開発にかかわり、京府医大に移籍された橋本先生は、現在小児がんに適応を拡大しようとしています。
すでに72例を治療、特に横紋筋肉腫に良く効いているとのことでした。現在、大日本住友製薬が治験を進めています。

4.「がんワクチンと免疫チェックポイント阻害剤を併用したがん治療は有益か?」
本間 定(東京慈恵会医科大学悪性腫瘍治療研究部 教授)
免疫チェックポイント阻害剤が働くには、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)が十分活性化していること(つまり、がん組織中にCTLが多数入り込んでいて、アクセル・オンの状態にあること)という指摘をされました。ということから、当初から「がんワクチン+免疫チェックポイント阻害剤」という治療をしても、免疫チェックポイント阻害剤はすぐには働かない、むしろ、がんワクチンが当初の作用をした後、その有効性が減弱してくる頃に免疫チェックポイント阻害剤を投与すれば、非常に有効になるのではないか、との提案がありました。

4名の先生方によるパネルディスカッションでは、例えば、がん免疫療法の開始のタイミングについて意見が交わされ、
がん化学療法が始まる前が望ましい(野口先生)、
残存腫瘍が最も少ない時がいい(橋本先生)、
膵臓がんで使われるゲムシタビンなら同時併用でもいい(本間先生)、
本当にがんワクチンの実力がわかるのは再発膠芽腫にアバスチンを投与しがんワクチンを追加治療したときではないか(成田先生)、
というにぎやかさでした。他にも、討論がはずんだことは、小型研究会で少ない参加者の中の一人としては、うれしい誤算でした。

また、今回、筆者が注目した一般演題の発表では、
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1. 「腸内細菌叢を検索し得た長期間無再発の進行胃癌および進行大腸癌例」
竹越 國夫1, 内藤 裕二2
1 竹越内科クリニック, 2 京都府立医科大学
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がありました。

最近は、免疫チェックポイント阻害剤等のがん免疫療法において、腸管免疫状態が大きく寄与していることが次々に報告されてきていますが、
ついに自家がんワクチン療法の世界にも登場したかと思うと、感慨を禁じ得ません。

重度の下痢症患者への健康人の糞便移植が劇的効果を発揮することは、もはや有名な事実となりましたが、腸管のがん治療においても、細菌叢
の影響は無視できないことが、今回の症例報告でも強く感じられました。今後のがん対策健康食の開発につながるものと思います。

今年のがんワクチン療法研究会からの名誉ある賞、
「堀智勝賞」(賞金5万円)
は、
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5. 「グリオーマ幹細胞を用いた免疫抑制能の検討」
宮崎 翼1,石川 栄一2,松村 明1・2
1筑波大学大学院・人間総合科学研究科,2筑波大学医学医療系・脳
神経外科
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の発表を行った宮崎翼氏に送られました。世界的にみても脳腫瘍に関する治療抵抗性のがん幹細胞の研究が少ない点が、評価のポイントにもなったと思います。

来年以降、具体的な治療効果に繋がる研究の進展を期待しています。

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