日本語 English

文字サイズ

サイトマップ
初めての方へ 無料相談・お問い合わせ 029-828-5591 日曜・祝日を除き 9:00-17:30

第85回常磐医学会で奨励賞を受賞

自家がんワクチンの臨床効果については、肝がんと脳腫瘍については学術的に厳密な「ハードクライテリア」の観点からみて、既に論文が発表されています。しかし、それ以外のがん種については、厳密な前向きの臨床試験は未完なため、症例報告を丁寧に集め、がん種ごとの治療実績として「ソフトクライテリア」の観点からみた表にまとめられています。
 → http://www.cell-medicine.com/cases/index.html

 症例報告は、エビデンスレベル4に相当しますが、自家がんワクチンを含む集学的治療により、なかには従来常識では考えられない長期生存を達成した例も出てきております。

 そのような結腸癌の1例について、この1月17日に福島県いわき市で開催された第85回常磐医学会で報告したところ、同時に別演題として発表された「地域画像連携の試み」の報告とともに高い評価を受け、この会から奨励賞を授与されました。

 抄録を以下に転載しておきます。

 常磐医学会は、いわき市を中心とする医師会連合が開催している地域密着型臨床研究会ですが、かつての常磐炭鉱・現在の福島県浜街道産業地域の経済力を背景にしており、第85回とあるように長い伝統があります。

 日本全国にある地域の医師会において、このような症例報告をコツコツと発表していくことも、がんワクチン療法を未経験の医師の方々に受け入れていただくためには効果的と考えられます。

REFERENCE(抄録) 第85回常磐医学会、2010.01.17、いわき市
————————————————————————————————————-

 ”切除・自家がんワクチン・低量化療の三者併用が奏功したS状結腸癌術後多臓器転移の一例”
 轟 健1)、斉藤 保2)、山本祐二2)、文 由美2)、森 健作3)、佐藤 始広4)、大野忠夫5)、
[1)北茨城市立総合病院 外科、2)つくばセントラル病院:外科、3)筑波大学放射線科、4)茨城県立中央病院・地域がんセンター、5)セルメディシン(株)]、

【目的】根治切除後多臓器に転移した症例に切除+自家がんワクチン+経口化療でPS0の長期生存症例を報告する。
【方法・成績】73歳、男性、主訴、腹痛・腹部腫瘤触知。H.9年、他医でS状結腸癌切除(粘液産生腺癌)。平成17年小腸を巻き込む局所再発切除(他医)。H.18年3月、腹膜再発にて胆小腸切除・胆嚢摘出術施行(他医)しUFT、FOLFOX、TS1等の術後化療を行うも、H.19年2月亜イレウス、臍下部腫瘤(約3cm)出現で手術不能。自家がんワクチン希望で当科を紹介。受診時、腹膜と小腸を巻き込む腹壁腫瘤(2×3.5×2.7cm)・肝(S6)孤立転移(1.5cm径)、上行結腸壁転移を認めた。3月、肉眼転移巣を全て摘出した。低量UFT (450 mg/日)・クレスチン・シメチジンを経口投与し、摘出転移癌組織で自家ワクチン作製し皮下接種した(1回目)。術前18.5のCEAは術後3.8に下降したが、9月には5.7に再上昇。CTで4x3.4cmの骨盤内播種、PET/CTも同部にHot spotを認めた。平成19年10月転移巣再摘出、摘出癌で2回目のワクチン接種とゼローダ(600mg/日)経口投与を行った。此の時、がん特異抗原に対する免疫応答は軽微(DTH疑陽性)で、免疫パラメータ(DTH, CD4, CD8, CD25)は正常範囲を維持し、術後CEAは2.8に下降し大動脈リンパ節転移も縮小した。一方、左右の水腎症を認め、左尿管にカテーテルを挿入した。しかし、術後5
ヶ月目からCEAが11.1まで急上昇した為、H.20年11月に再々再摘出を行い、その3ヶ月後には3.2に下降した。H21年4月のPET/CTでも新転移病巣の出現は無く。H.22年1月現在4.8を維持している。この間、H21年3月の転移巣切除以降はPS0を持続し抗癌剤の副作用も認めない。本年1月のDTHテストは明確な陽性(14x17mm)であった。
【結論】末期がんでも根治術から数年後に再発したPS良好例を選べば、転移病巣切除+自家がんワクチン+低量化療でQOLの高い長期生存が得られる可能性があると考えられる。

————————————————————————————————————-