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2型糖尿病薬メトホルミンががんに有効という解説記事

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メトホルミン塩酸塩は各種動物において血糖低下作用を示すため、2型糖尿病の治療で最も多く処方される薬の1つです。今では古典的な薬と言えるほどで、既に本邦でも多数のジェネリック医薬品が出回っています。

 この「メトホルミンにも抗がん免疫作用がある」という記事は、すでに
   ドクター通信 from セルメディシン No. 304 2013.12.09
にてお伝えしましたが、昨年暮れ(2014年12月27日)に、

 「OncoLog 2014年11-12月号◆糖尿病の枠を超えて:メトホルミンの癌領域での有用性/MDアンダーソンがんセンター」

という和訳が、海外癌医療情報リファレンス誌に掲載されました。

 → こちらです
 
 元の記事は、常に世界最新のがん情報を発信し続ける米国のMDアンダーソンがんセンター由来ですから、内容的に間違いないと思われます。

 その一端を引用しますと、
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 各種の癌でのこれまでの結果

 Naing医師は、MDアンダーソンの研究者が2009年に発表した2つの論文が
きっかけとなって、メトホルミンの抗癌効果の可能性に注目するようにな
ったという。1つ目の研究は乳腺腫瘍内科(Department of Breast Medical
Oncology)のグループによるもので、初期乳癌女性2,529人中、化学療法
後の病理学的完全奏効率(pCR)が、糖尿病患者でメトホルミンを服用して
いる群(24%)で、メトホルミンを服用していない糖尿病患者群(8%)、
非糖尿病患者(16%)に比べ高いことを明らかにした。2つ目の研究は消化
器腫瘍内科(Department of Gastrointestinal Medical Oncology)のグル
ープによるもので、糖尿病患者255人中、メトホルミン投与群ではメトホル
ミン非投与群より膵癌発症リスクが62%低下していた。

 その後、MDアンダーソンの研究者はいくつかのレトロスペクティブ研究
で癌と糖尿病を併発している患者のアウトカムを調べた。前立腺癌、大腸
癌、膵癌、トリプルネガティブ乳癌、HER2陽性乳癌、多発性骨髄腫の患者
を対象とした別々の試験で、メトホルミンを服用している患者は服用して
いない患者と比較して、全生存期間中央値が長いことが明らかになった。
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 MDアンダーソンがんセンターでは、現在、メトホルミンが関与した6つの臨床試験が進行中だそうです。

 どうか、もし自家がんワクチン受診希望患者様で、血糖値が高い傾向の方がおられましたら、他の低用量抗がん剤とともに、メトホルミンの併用をご検討願います。

 少なくとも、メトホルミンに直接由来する有害事象は、通常管理しやすい範囲に収まるため、大きな問題なく併用可能と推定されます。