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ASCO2016から:ついに、マイナーながんでもファーストラインから免疫チ ェックポイント阻害剤を使用すべきだとの意見が登場

他のがん免疫療法

今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO2016、2016.06.03~06.07@シカゴ)では、やはり免疫チェックポイント阻害剤に関する発表が多数ありました。しかし昨年と比較すると、免疫チェックポイント阻害剤の話題が沸騰している感じはなく、ピークを過ぎて既に当たり前の治療法になっていました。

どこのEducation Sessionでも繰り返し繰り返し、抗体医薬との組み合わせ治療法が次のステップの標準治療になるだろうと強調されていましたが、がん全体から言えばマイナーな頭頸部がんでも、もう抗PD-1抗体単独でファーストライン治療にしても良いという意見が、教育セッションで登場していました。

頭頸部がんでは、pembrolizumab単独と比較するphase III試験が進行中ですが、その結果を見越しての意見と思われます(Ref. 1)。

また、別の例としては、再発小細胞肺がん(白金製剤が無効で再発した患者群180例で試験)では、

「nivolumab単独」vs「nivolumab + ipilimumabの組み合わせ」

の比較試験結果が発表されていました(Checkmate 032、Ref.2)。

この試験では、化学療法後の進行がんでも、Nivo単独でかなりの効果(objective response rate, ORRで13%(7/55))が認められ、Ipi併用によりさらに効果は増大するものの(ORRが31%に上がる)、Ipiによる強い副作用(Grade 3–4が32%もあり、重症筋無力症で1例が死亡している)(また、それ以前の白金製剤による強い副作用)を考えれば、副作用の比較的少ないNivo単独治療でも十分メリットがあるとされ、小細胞肺がんでは、ファーストラインからNivo単独で治療を試みるべきだという議論がでていました。

未だ免疫チェックポイント阻害剤が試されていなかったマイナーながん種でも、もはや白金製剤の全盛期は過ぎつつあると考えて良いでしょう。

いまや、がん治療の世界では、これまでに標準治療とされてきた「手術・放射線・抗がん剤」(いわゆる3大治療法)の時代が激変しようとしています。

少なくとも、化学療法と免疫療法の順位でいえば、これまでのように
 「抗がん剤治療ありき(がん免疫療法は無視)の時代」
から、
  「ファーストラインから免疫チェックポイント阻害剤を使用する
   (抗がん剤治療を押しのけていきなりがん免疫療法を実施する)
   時代」
へ、
すなわち、優先順位が逆転するという、常識のコペルニクス的大転換の時代に入っているのです。

来年のASCO2017以降も、ファーストラインでがん免疫療法を使用した、エビデンスでみてもレベルの高い臨床データが、様々ながん種、様々な併用療法を巻き込んで、さらに続々と登場してくるのではないかと予想されます。

References

1. Education Session, Monday June 6, 8:00AM-,
Sadraei NH, et al. Immunotherapy and Checkpoint Inhibitors in Recurrent and
Metastatic Head and Neck Cancer. 2016 ASCO Educationa Book.pdf, e277 (Section PD-1 Inhibitor).
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この教育セッションの話題は、
・NCT02358031. A Study of Pembrolizumab (MK-3475) for First Line
Treatment of Recurrent or Metastatic Squamous Cell Cancer of the
Head and Neck (MK-3475-048/KEYNOTE-048). https://clinicaltrials.
gov/ct2/show/NCT02358031. Accessed March 18, 2016.
を背景にしている。この治験はphase IIIで、現在進行中。
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