日本語 English

文字サイズ

サイトマップ
初めての方へ 無料相談・お問い合わせ 029-828-5591 日曜・祝日を除き 9:00-17:30

がんは切っても捨てるな、それが自分のがんと闘う 武器になる!~その2~

大野忠夫:がんは切っても捨てるな、それが自分のがんと闘う武器になる!~その2~
日本先制臨床医学会第4回学術大会(東京), 2021年11月21日

 本会第2回大会(2018.11.11)で基調講演を行ったときの演題が「がんは切っても捨てるな、それが自分のがんと闘う武器になる!」であった。
 その際に紹介したのが、がん患者自身のホルマリン固定・パラフィン包埋がん組織を原材料とした、がん再発・転移予防、微小がん治療のための
    “自家がんワクチン”(AFTV)
である。
 術後肝細胞がんでは、ランダム化比較対照試験の結果、無再発生存期間(PFS)、全生存期間(OS)で統計学的な有意差が出ている。症例報告レベルでは、肝がん、脳腫瘍、腹膜がん、腎盂がん、乳がん、卵巣がん、子宮頸部小細胞がんで劇的な効果が観察された例を紹介
した。今回は、脳腫瘍のうち最悪性である膠芽腫(GBM)に絞って、その後の研究の進捗状況を中心に報告する。                                 
 膠芽腫は、いかなる手術も“絶対非治癒切除”に終わるため、MRI画像上では全部取り切ったはずでも、再発は避けられない。現在の術後標準治療(Stuppレジメン:放射線治療+テモゾロミド治療)では、初発GBM術後の中央値(m)でいうmPFSが6.9ヶ月、mOSが
14.6ヶ月、3年生存率は20%程度である。しかし、これにAFTVを上乗せ治療した2本の単群の臨床試験(Phase I/IIa)では、mPFSが7.6、8.2ヶ月、mOSが21.4、22.2ヶ月と延長傾向が見られた。特に2本目のUMIN000001426試験では、3年生存率が38%となり、
安全性についても問題はなかった。
 本邦で承認されている医療機器オプチューンによる上乗せ治療では、3年生存率が25%に留まる。そこでランダム化比較対照試験(UMIN000010602)を実施したところ、AFTV群と対照群の間では有意差がなかったが、全摘した症例の間では差がある傾向が認められた。
 筑波大学では、初発膠芽腫277例についてレトロスペクティブに解析したところ、Stuppレジメンに何らかの免疫療法を併用した39例(うちAFTV併用例は31例)で、全摘例のmOSが36.9ヶ月に達し、5年生存率が43.3%となっていた。同時期の全摘標準治療群ではmOSが25.7ヶ月で有意差が認められた(Ishikawa et al.BMC Neurol 2021;21:282)。
 そこでAFTVの脳腫瘍版にCellm-001との開発番号を付し、現在、本邦の11大学による医師主導治験phase III試験に入っている。
 なお当社では、別途、自由診療による自家がんワクチン療法も継続してサポートしており、実施病院・クリニックは既に国内84ヶ所に達している。