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再発前立腺がんの治療はサプリメントでいける(!)—-やっぱりダメでした

がん種別の対処法

前立腺がんが初期治療後に再発しますと、非常に難治性で、苦労の始まりとなります。米国では、男性6人に1人が前立腺がんにかかる上、初期治療(手術等)後30%で再発、年間3万人以上が死亡しており、治療上の大きな問題となっています。

しかし、9月20日に公表されたプレスリリースによりますと、

———————–
(→ www.phcprostatetreatment.com/press-release.htm )
ある種の健康食品(サプリメントのPHC)が、前立腺がん特異的な腫瘍マーカーPSA値を下げるというPhase II試験の結果がASCOの2月ミーティングの場で発表されたとのことです。

すなわち、PHCを毎日3カプセル服用しただけで、28例(58-64才、全員再発前立腺がんと診断済み)中、23例(83%)でPSA値の上昇がストップ、8例(29.6%)でPSA値が減少したというのです。

PHCとはprostate health cocktailの略称で、栄養剤・ミネラル・ビタミン・ハーブのカクテルです。

実は、このカクテル、ただの健康食品ではなく、個々の成分では、弱いながらも前立腺がん細胞に対する作用が認められていたものの混合物で、南カルフォルニア大医学部腫瘍科で創作されたものなのです。健康食品のため、もちろん副作用問題はありません。

まだ、小規模な臨床試験ですから、確かに効く、という決定打とは言えない結果ですが、PHCは米国では既にネットで市販されているため、再発前立腺がんに有効となれば、社会的影響は非常に大きいと推定されます。

しかも、従来の西洋薬の思想から発する「純粋な化合物による医薬品」ではなく、「なんだかわけのわからんもんが含まれているけど効く」という、東洋の漢方薬的な発想を取り込み、科学的な臨床試験で証明していく、という米国のチャレンジ精神を筆者は高く評価したいと思います。

——————–(2019.09.24追記)——————–

2014年に同一グループから発表された論文(Ref.1)によりますと、

男性40人で、臨床試験(第IIa相)を行ったところ、あらかじめ設定しておいた主要評価項目(血中PSAレベルが50%減少すること)を達成できなかった、とのことです。

副作用については、患者全体としては大きな問題はなかったとしているものの、2例でグレード2/3の高トランスアミナーゼ血症を惹起した(すなわち、肝臓毒性があった)と報告されています。

残念ながら、このサプリメントで前立腺がんと闘うのは、うまく行かないと思います。

Reference

1. Dorff TB, et al. A phase II trial of a combination herbal supplement for men with biochemically recurrent prostate cancer. Prostate Cancer Prostatic Dis. 2014; 17: 359-365. doi:10.1038/pcan.2014.37.