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制御性T細胞(Treg)は細胞表面結合型のTGF-betaでNK細胞を抑制する

先週のドクター通信 from セルメディシン No.69で、TGF-betaの産生阻害をターゲットにした脳腫瘍の遺伝子治療ワクチンが有効との報告をしましたが、TGF-betaが免疫能を強く抑制するメカニズムの中では、ナチュラルキラー(NK)細胞の活性抑制の点でも大きな問題です。

 最新の総説(1)によれば、Tregはその表面に発現している膜結合型のTGF-betaを通じてNK細胞上のNKG2D分子を抑制し、これがNK細胞の homeostatic proliferation, cytotoxicity, and interleukin-12-mediated IFN-γ productionの抑制につながるとされています。

 脳腫瘍の場合、活性化NK細胞の大量注入により明瞭な治療効果が認められますが(2)、これは脳腫瘍の手術後、標準的補助療法として放射線治療が加わるため、脳内Tregが抑制されている状態が放射線治療期間(約1ヶ月)の間続くという効果との相乗作用かもしれません。

 Tregの活性をがん局所でいかにうまく抑制していくか、というのが今後のがん免疫療法のキーポイントになりそうです。

REFERENCES

1. Francois Ghiringhelli, Cedric Menard, Francois Martin, Laurence Zitvogel: The role of regulatory T cells in the control of natural killer cells: relevance during tumor progression. Immunological Reviews 214: 229-238 – December 2006

2.及川剛宏、河合弘二、坪井康次、高野晋吾、今川重彦、常楽晃、松村明、島居徹、赤座英之:難治性の泌尿器癌および悪性脳腫瘍に対する活性化NK細胞療法、第65回日本癌学会、O-762、2006.9.30、横浜