大腸がんに有効という次世代の免疫チェックポイント阻害剤2剤の副作用の強さ 最新のがん免疫療法に関するトピックスをご紹介します。

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大腸がんに有効という次世代の免疫チェックポイント阻害剤2剤の副作用の強さ

他のがん免疫療法について 

ご存知の方も多いと思いますが、がんの免疫療法では、承認薬である免疫チェックポイント阻害剤ヤーボイを、同じ免疫チェックポイント阻害剤の範疇にありながら作用する分子機構が異なるオプジーボ又はキイトルーダと組み合わせて使うと、それぞれ単独で使用するよりは、グンと治療効果がアップすることが知られています。

ただしこの組み合わせでは、強い副作用もグンとアップし、危険な領域に突入してしまうことも知られています。

例えば、厚労省は2022年10月12日、これらの使用上の注意に対し、重大な副作用の項に、眼の失明に至る可能性が高い「ぶどう膜炎」の追記などを求める改訂指示を出しています。

この原因として、免疫チェックポイント阻害剤による自己免疫疾患様の症状惹起があります。

ところで、大腸がんでは、ほとんどの患者さんで免疫チェックポイント阻害剤が効きません。

免疫チェックポイント阻害剤の効果が期待できるのは大腸がん全体の2%程度しか存在しない
MSI-H
(遺伝子の一部でマイクロサテライトという部分の不安定性が高い)患者さんのみとされており、

大腸がんの大部分を占める
MSS
(マイクロサテライトの不安定性がない)患者さんでは効果がないとされているのです。
→ https://www.ncc.go.jp/jp/ncce/clinic/gastrointestinal_oncology/040/20220127203107.html

—***—(ちょっと寄り道、ここから)

この点を改良するため、国立がんセンター東病院では、手術可能な進行直腸がん(直腸がんも大腸がんの一部とされています)患者さんで、手術前に
. “ケモラジ” 抗がん剤と放射線治療を併用する化学放射線療法
を施行し、さらにオプジーボを投与した上で、その後に手術を行い、さらに術後補助化学療法を追加するという試験(VOLTAGE試験)を行っています(Ref. 1)。

その結果、マイクロサテライト不安定性がないMSS患者さんでも30%の患者さんで完全奏効が得られたとしています。

(ただし、この試験では最後の方で手術で直腸がんを切除しますので、見かけ上は全員が一旦は「完全奏効状態」になるため、最終的に30%の患者さんで完全奏効が得られたといっても、本当はどのくらいの改良値があったのか、判然としないところがあります。)

このVOLTAGE試験では、免疫チェックポイント阻害剤としてはオプジーボしか使用していませんので、副作用は比較的軽度で済んでいて、治療の忍容性は問題にされていません。

Ref.

1. Bando H, et al.
Preoperative Chemoradiotherapy plus Nivolumab before Surgery in Patients with Microsatellite Stable and Microsatellite Instability?High Locally Advanced Rectal Cancer.
Clin Cancer Res. 2022 Mar 15; 28(6): 1136?1146.

—***—(ちょっと寄り道、ここまで)

このような現状に対して、一昨日(2023年2月15日)の『海外がん医療情報リファレンス・ダイジェスト』によれば、

◆次世代の免疫療法薬 2剤(botensilimab、balstilimab)は大腸がんに有効 [ダナファーバーがん研究所 2023年2月9日]

https://www.cancerit.jp/74043.html
と発表されています。

この試験の対象は、難治性転移大腸がんです。遠隔臓器に転移がある場合は、原則として手術はしませんので、上記のVOLTAGE試験の対象となった患者さんよりもはるかに進行した大腸がんと言えます。

しかも、この試験に参加した70例は全員がMSSでした(しかし肝臓に活動性の転移がんがない方が多い)から、仮に投与したとしてもオプジーボは無効のはずです。

上記のBotensilimabは、T細胞受容体細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)に対する抗体で、ヤーボイと同じ作用をします。

また、Balstilimabは、もう一つの免疫チェックポイントのタンパク質であるPD-1が、がん細胞側のPD-L1分子およびPD-L2分子と結合するのを阻害するように設計された新規の抗体とのことです。

これら抗体の組合せは、上記のヤーボイとオプジーボ又はキイトルーダとの組み合わせとよく似たものとなります。

これらの新規抗体薬の併用投与の結果、7カ月間(中央値)の追跡調査では、23%で腫瘍の縮小が認められ、疾患コントロール率(完全奏効、部分奏効、安定が認められた転移がん患者の割合)は76%であったといいますから、判然としないところがない、明瞭な治療効果があったと言えるでしょう。

ところが、Botensilimab+Balstilimab投与による副作用(以下、有害事象の割合で表します)は強烈でした。

「有害事象としては重篤である」とされている、
. グレード3が 40%
. グレード4が   3%
もありました。

しかも患者さんの12%が有害事象を理由に両薬剤の投与を中止したとされています。

いかに苦しい自己免疫疾患様の副作用が出ていたか、容易に想像できます。

これでは、治療の「忍容性が高い」とはとても言えないのではないでしょうか。

これに引きかえ、弊社の「自家がんワクチン」は、(MSS大腸がんに対する効果を検証する大規模臨床試験を行っているものではありませんが…)、

少なくとも有害事象に関する限り、

自由診療で自家がんワクチン療法を受診された大腸がんの、これまでのすべての患者さん(2020年12月末時点では総数433例、うち、フォローアップ調査が済んでいる患者数は201例)では、

有害事象は、
. グレード1ないしグレード2
に収まっていました。

すなわち、注射後、放置しておいても自然治癒する範囲の穏やかな副作用しかありません。

「忍容性は極めて高い」のです。

今後、この特徴を生かして、弊社ではMSS大腸がんの治療に自家がんワクチンを使用していただける方法を探索していきたいと考えております。

すでに、フォローアップ調査が済んだ個別症例のうち、代表的症例については、
こちらに → https://cell-medicine.com/cases/daichogan/
治療経過を掲載してあります。

ほとんどの患者さんがステージIVの末期の方ですが、中には劇的有効例もあります。

また、〔症例0994〕のように、化学療法後に再発したところに、
. “イムラジ”(自家がんワクチン療法+放射線治療)
で成功した症例もあります。

一度、ご覧いただければ幸いです。


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肝がんでは、すでにランダム化比較対照臨床試験で有効性が証明されているエビデンスレベルの高いがん免疫療法です。

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