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米国FDAが投じた一石:奏効率はあてにならない、進行肝がんで免疫チェックポイント阻害剤では

最新の学会から

新薬の未承認の用途について、米国には、まだ第3相治験で有効だと証明されていなくても、迅速承認する制度(accelerated approval regulatory pathway)があります。

本邦では「条件付き早期承認制度」がこれに対応する制度です。

日経バイオテクによれば、
→ https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/column/16/071100007/062600038/
——————————–
1992年から、米食品医薬品局(FDA)は、迅速承認プログラムを開始した。同プログラムは、重篤もしくは
生命を脅かすような疾患を対象として、臨床上の有用性が予測できるようなサロゲート(代替)エンドポイ
ントに基づいて医薬品を評価、承認するというものだ。ただし、市販後に、臨床上の有用性を示すことのでき
る評価項目を用いて検証試験を実施するということが条件だ。市販後の検証試験結果によっては、承認が取
り消される。
——————————–
と解説されています。

今週、5月3日に着信したASCO(米国臨床腫瘍学会)からのニュース(Ref. 1)では、進行肝がんについて、

標準治療となっているソラフェニブの延命効果に比べ、免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブ単剤の治療による延命効果が、有意に優れたものではない、
(ソラフェニブ:商品名はネクサバール)
(ニボルマブ:商品名はオプジーボ)

という第3相臨床試験の結果から、FDAの抗がん剤審査委員会は、進行肝がんに対するオプジーボ単剤治療の迅速承認について、これ以上の承認継続を支持しない決定をしたとのことです。

この迅速承認は、もともと、オプジーボの第1/2相試験で示されていた、より高い奏効率(RESIST法による計測で算出)を基盤にして2017年に出されていました。このときは奏効率(ovarall response rate, ORR)がサロゲートエンドポイント(代替評価基準)として採用されていたのです。

262例もの進行肝がん患者群によるそのデータでは、ソラフェニブ治療後に、オプジーボによる治療を行った場合、奏効率が18.2%に達したことが示されており、極めて有望とされていたものです。

しかし、2019年10月に発表された第3相検証試験では(Ref. 2)、進行肝がんの第一選択に設定された、
.  「ニボルマブ単剤群 vs 標準治療のソラフェニブ群」
.    (それぞれ 371例 vs 372例)
では、
.  全生存期間中央値が  16.4ヶ月 vs 14.7ヶ月
で統計学的な有意差はありませんでした(P=0.0752)。

それでもこのときの奏効率は、15% vs 7% と有意差がありました(カイ二乗検定、P=0.0003)。

しかも安全性に関しては、問題となる有害事象(グレード3~4)が、22% vs 49% となっていて、ニボルマブ単剤群の方が優れています。

今後、米国で進行肝がんに対して、ニボルマブ単剤治療の承認を取り消すか否かはFDAの最終決定を待たなければなりませんが、少なくとも今回のニュースから、

進行肝がんで奏効率をみても、それが有効性を示すあてにはならない

ことは確かでしょう。そしておそらくは、他のがん種でも、このような事象が起こっている可能性があると想像されます。

本邦では、未だに奏効率こそが抗がん剤の治療効果を現しているのだと信じて疑わない方々が多数いますが、本邦の厚労省においても、すでに奏効率は、抗がん剤の重要な評価基準の地位から脱落していることに注意が必要です。

Reference

1. Cancer in the News: A Bulletin Healthcare product brought to you by ASCO. Monday, May 3, 2021.
Drug and Device Update: FDA Committee Votes Against Maintaining Accelerated Approval Of Single-Agent Nivolumab As Therapy For Patients With Advanced HCC Who Have Been Previously Treated With Sorafenib.

このニュースのオリジナルは、4月30日付の
https://www.cancernetwork.com/view/fda-committee-does-not-support-maintaining-accelerated-approval-of-nivolumab-for-advanced-hcc
です。

2. Yau T, et al.
CheckMate 459: A randomized, multi-center phase III study of nivolumab (NIVO) vs sorafenib (SOR) as first-line (1L) treatment in patients (pts) with advanced hepatocellular carcinoma (aHCC).
Annals of Oncology, 30:Suppl 5, v874-875, 2019.

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