臨床医師間の考え方の違いがここにも出現 最新のがん免疫療法に関するトピックスをご紹介します。

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臨床医師間の考え方の違いがここにも出現

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大型連休が明け新型コロナウイルス感染症が第5類に分類されてから、繁華街の人流が復活しているとのことです。

筆者も机上の新型コロナ関係の書類整理を始めましたところ、2022/01/21付けの日経メディカルの記事が目につきました。
丁度、オミクロン株が襲来して第6波が始まり、新型コロナ騒ぎが急速に大きくなっていた頃です。

タイトルは、
オミクロン株に「葛根湯+小柴胡湯加桔梗石膏」が有用な可能性!
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/matsuda/202201/573583.html

この記事は、松田 正先生(みさとファミリークリニック[埼玉県三郷市]院長)が、オミクロン株感染者に対する漢方薬の効果について書かれたものです。

記事中には、
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当院では約2年にわたって発熱外来を実施しており、多数の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者さんを診察してきました。これまでの経験から、デルタ株までとオミクロン株とでは、漢方薬治療の感受性が大きく異なることを、この1週間の経験で明確に実感しています。

あくまでも一開業医の少数のデータではありますが、柴葛解肌湯(さいかつげきとう)、すなわち葛根湯(かっこんとう)と小柴胡湯加桔梗石膏(しょうさいことうききょうせっこう)の併用によって、約85%の症例で投与後24時間以内に解熱し、症状が軽快しました。これから数週間は続くであろう大波を乗り切るためにも、新型コロナを疑いながら解熱鎮痛薬のみを処方するのではなく、ぜひ漢方薬による治療も検討していただければと考え、当院でのデータを共有いたします。
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と謙遜をまじえて記載されています。

この記事に対する読者(医療関係者)のコメントが、それぞれの立場の違いを反映していて、たいへん興味深いので、2022/01/25までのレスポンスが早かった方々の分を、以下に引用してみます。

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(1)もちろん漢方含めた全ての可能性は探るべきだが、 こんな不確定な情報をこの段階で一般にも見出しが見られる状況で公開するのはいかがなものかと思う。

(2)勉強になりました。急性期の免疫賦活がある症例とない症例(特に重症例)があり、ウイルス感染症は奥が深いと常々感じています。麻黄と柴胡の関係性は、免疫制御の点でも興味深いです。変異の多いVirus感染症でのワクチン効果は万全ではないと常々感じています。自分自身でも使用してみたりして、勉強しています。

(3)この効果は漢方薬だけに見られるものなのでしょうか? 比較するには他の情報も欲しいですね。 投薬なしの場合の解熱に要する時間。他の解熱剤使用時の解熱に要する時間など。 COVID-19が感冒に移行していることを示唆するものであると私は考えています。 解熱後のウイルス拡散はどうなっているのでしょう?

(4)葛根湯に解熱作用というより、解表させ解熱を得るものです。 解表とは発汗させたり、汗ばませることにより、感染症を治療することです。 葛根湯はそもそも感染症の急性期に使用するものであり、コロナの株の種類は関係なく、コロナ以外の上気道炎症に使用できます。 柴葛解肌湯はスペイン風邪の時に使用されました。 医術は学術のためではなく、患者のためにあります。 共に頑張りましょう。

(5)葛根湯に解熱作用があるだけでオミクロン云々は関係ないのでは? 漢方薬の有用性を謳いたいのは分かるのですが、患者さんが医師から処方された解熱剤や抗ウイルス薬を拒む可能性もあるので、記事からオミクロン関連のワードは消した方が良いかと思います。

(6)真に社会の役に立つと信じているのであれば論文化していただきたいです ここで記事にしても学術的には無価値です。

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学術的な観点からみれば、一般的なクリニック(開業医)のデータは、コメントの(1)(3)(6)の評価となることでしょう(コメント※1)。

しかし、臨床現場では、「治療が患者の利益の最大化を目指すべきであること」(Ref. 1)
から、
「安全性および有効性の“見込み”」があれば、それらの“証明がなくても”、実施されます。

そのような観点からすれば、コメントの(2)(4)(5)のような「医術」の意見が出てくることがわかります(コメント※2)。

がん治療では必ず引き合いに出される「標準治療」はコメント※1のような評価が一層徹底的になされ、保険診療に採択された国の承認薬から構成されていますから、コメント※2のような「医術」の意見が入り込む余地はなかなかありません。

しかし、がん治療の自由診療で使用される未承認医薬品(弊社の自家がんワクチンもその一つです)については、コメント※2のような「医術」を重視する立場の先生方により採用されています。

その方が、「標準治療」にこだわるよりも、「治療が患者の利益の最大化を目指すべきであること」に合致する場合が多々あるからです。

自家がんワクチンの技術を臨床現場に提供している当社は、決して「標準治療」の価値を否定するものではありませんが、特に難治性のがん治療では、柔軟に思考して、コメント※2のような「医術」の意見を大切にしていただきたいと願っております。

Reference

1.第5回認定再生医療等委員会教育研修会、2022/02/06、オンライン(Webinar)
https://www.jsrm.jp/news/news-11011/

 

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ライブ感覚の少人数限定定期セミナー)

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セミナー1:『がん免疫療法の最近の動向および
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.  講師:セルメディシン株式会社
.      代表取締役社長 大野 忠夫

セミナー2:『がんと共存・からだにやさしい
.      少量抗がん剤治療について』

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日時:5月27日(土)14:00~16:00(13:30開場)

場所:銀座並木通りクリニック
.   〒104-0061 東京都中央区4-2-2 第1弥生ビル7F
.   (TEL:03-3562-7773)

参加費:無料

参加可能者数:10名

 まだ残っている新型コロナへの感染対策のため,参加人数を制限をしております。ご希望の方は,お早めにご予約下さい。
 セミナー参加者は,マスク着用の上,来院下さい。

.  お申込み方法:参加ご希望の方は、
.  銀座並木通クリニック
.  (TEL:03-3562-7773)
.  まで直接お電話下さい。

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. ご都合のつく方は、どうぞふるってご参加下さい。

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