自由診療によるがん免疫療法は臨床研究の起点になっています ~その1~ 最新のがん免疫療法に関するトピックスをご紹介します。

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自由診療によるがん免疫療法は臨床研究の起点になっています ~その1~

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先のトピックス2022.11.24(セルメディシンニュースNo.519)で、抗がん剤治療が失敗した後、“自家がんワクチンのみ”の治療によって、肺やリンパ節に計4ヶ所もあった多発転移巣が全部なくなり、“根治”に至った腎盂がんステージIVの症例を紹介しました。

もちろん、この患者様も、自家がんワクチン療法を自由診療にて受診した方です。

がん免疫療法薬の一種となる自家がんワクチンは、未だ国の未承認医薬品ですから、国の混合診療禁止政策により保険診療では使えません。

それでも何故、当社では、自家がんワクチン療法を自由診療にて推進しているのか、今回はその理由を開示しましょう。

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がん治療薬の開発は、通常、動物実験から始めます。主にマウスを使って、開発しようとしている候補薬のがん治療効果と安全性を先ず調べるのです。

これは非臨床試験と言われます。

ただし、この際、候補薬の作用機序ががん免疫反応を介する場合は、問題があります。

厚生労働省から出た
ガイダンス作成のための検討委員会報告書(平成28年12月26日)「がん免疫療法開発のガイダンス 2016」
がん治療用ワクチン・アジュバント非臨床試験ガイダンス

には、
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Ⅳ. 1. ワクチン抗原の非臨床評価における免疫の種差の影響

がん治療用ワクチンの非臨床試験において考慮すべき免疫の種差の中でも、MHC の種差は特に重要である。
臨床上用いられる予定のがん治療用ワクチンは、標的とするヒト腫瘍関連抗原タンパク質のアミノ酸配列に
基づいて設計されるが、通常、そのがん治療用ワクチンに含まれヒトMHC に結合して目的の特異的免疫応答
を誘導するエピトープペプチドは、動物のMHCには結合しないため、臨床上用いられる予定のがん治療用ワ
クチンはヒトと同様の作用を動物では示さない。
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と記載されています。

難しい用語が並んでいますが、何のことはなく、
「ヒト用のがんワクチンはマウスでは効きません」
と明記されているのです。

逆に言えば、マウス試験で成功したがんワクチンであっても、ヒトにも効くとは言えません、ということです。

このことは、ヒトに効くがんワクチンを開発しようとすれば、必ずヒトで試験をしなければ有効性はわからないことを示しています。

ただし厚労省は、「だから、マウスで試験してはダメだ」とは言っていません。(マウス試験は、がん免疫療法薬に限らない新薬候補の一般毒性試験としては、安全性を知る上で重要なものです。)

平成31年3月8日に出た「がん免疫療法開発のガイダンス」では、
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I ③ 免疫反応
がん免疫療法治療薬の臨床試験での免疫反応の評価は極めて重要である。動物モデルでの非臨床試験では
免疫反応が、ヒトとは異なり適切な評価は困難なことが多い。しかしながら、ヒトと動物モデルにおける差
異は考慮しつつも、可能な限り非臨床試験にて試験製剤の作用機序(mode of action)とそれを反映する指
標が確認できるモデルシステムなどを確立し、POC(proof of concept,概念実証)を確認することが開発の
成功確率を高めるために重要であろう。
**—————–**
と記載しているほどです。

このモデルシステムの確立は、実はたいへんな開発課題で莫大な費用を要します。

どんなにヒトの免疫反応に似せた免疫反応を示す動物を作ったとしても、本態が動物である限り、その影響を免れることはできません。

やはりヒトで効くがんワクチンを開発しようとすれば、非臨床試験の範囲に留まる限り、本当にヒトで効くかどうかはわからないのです。

そこで、通常は、段階を踏んだ臨床試験(ヒトでの試験)を行って行きます。

臨床試験は、基本的に、用量と安全性を探る第I相、用法や安全性と効果を探る第II相前期a後期bがあ
ります)、効果が確かかを検証する第III相に分かれます。

ただし、がん治療薬の場合は、第I相と第II相前期試験を融合させた第I/IIa相試験が許容されています。

医師や研究者が国に登録せずに行うのは臨床研究、正規に国に登録した場合は治験と言われます。

現在は、臨床研究法が施行されていますので、臨床研究であれ治験であれ、事前に厳しい審査があり、実施には厳しい法規制がかかります。

特に、国の承認薬(健康保険が適用される保険薬となります)を目指そうとする治験では、使用する医薬品は「治験薬GMP基準」に従って製造せねばならず、それを臨床で使用するときは国の定める「GCP基準」に従わなければなりません。

これらには億円単位のコスト*がかかりますので気軽に治験ができるものではないのです。

* 基礎研究段階から計算した場合、一つの新薬を上市するために必要な開発コストは、本邦の2009年の調査で平均552億円(1995年価格で)と言われています。その内最大の費用は第III相治験にかかります。
→ https://www.jpma.or.jp/opir/research/rs_059/article_059.html

2009年から13年たった現在では、この費用はもっと高騰しているはずです。

これだけ大きな開発コストがかかると、大手製薬メーカーであっても治験に参入するのは慎重になります。

まして、小さなベンチャー企業が新薬を開発しようとすれば、この巨大なコストの壁を乗り越えるため、大手製薬メーカーに技術を導出して連携組織を組まない限り、無理なことはご理解いただけると思います。

しかし、その新薬(候補)が、もし世界でも前例のない革命的なものであって、しかも売り出しを想定している市場規模が小さい希少疾患領域だとなれば、必ず国の承認を獲得できるという保証はないため、大手製薬メーカーでも手を出してはきません。

当社の自家がんワクチンは、まさに、このような状況下にあるのです。

それを、手をこまねくことなく、どうやって臨床開発をしていくか、
その方策は、

自由診療によるがん免疫療法は臨床研究の起点になっています ~その2~ 

をぜひご覧ください。

それでは、次回をお楽しみに!!

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自家がんワクチン療法は、しっかりした学術論文群に支えられている科学的根拠のあるがん免疫療法です。
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抗がん剤が効きにくい“スローな癌”こそワクチンで
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大病院の先生方へ:

「混合診療禁止」政策により、保険診療機関である大病院では「自家がんワクチン療法」が実施できなくても、先生ご自身の患者様に対して、お近くの連携クリニックの外来にてごく簡単に、自由診療にて実施できます。

既に、大学教授で、この連携方式により、ご担当の患者様の自家がんワクチン療法受診を実現されている先生方も何人もおられます。具体的な方法は弊社まで直接お問い合わせください。

新たに「自家がんワクチン療法」を自院でも連携方式で開始したい病院の先生方は、どうか遠慮なく弊社にご連絡下さい。Web会議にて直接説明申し上げます。

大病院から小型診療所まで、どこでも簡単に実施可能です。しかも初期投資も不要です。

肝がんでは、すでにランダム化比較対照臨床試験で有効性が証明されているエビデンスレベルの高いがん免疫療法です。

★“自家がんワクチン療法”は「厚労省への届け出は不要です」★

自家がんワクチンは生きている細胞を含まないため培養不要で、 再生医療等安全性確保法でいう「細胞加工物」(人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの)に該当しないためです。

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弊社は、理化学研究所発ベンチャー企業 & 筑波大学発ベンチャー企業 です。

セルメディシン株式会社
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TEL:029-828-5591、FAX:029-828-5592
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