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脳腫瘍臨床試験(放射線治療との併用)

初発多型膠芽腫の治療効果(手術+放射線治療+ワクチン)

図1

前回の臨床研究では、主に再発時に手術対象となった多型膠芽腫を対象に臨床研究を行い、安全性と残存腫瘍への腫瘍縮小効果を検討致しました。そこで次に、多型膠芽腫が見つかり、最初の手術が行われた後に自家がんワクチンを投与する臨床研究を行うこととしました。

臨床研究がスタートした時は、まだテモダールが認可される前で、初発膠芽腫患者さんの生存期間を延長することが出来る抗がん剤は見つかっていませんでした。図1の表は、テモダールの治療効果を世界に発表した有名な臨床研究結果です。赤線は当時の標準的治療法である「手術+放射線治療」の全生存率を示し、青線は「手術+放射線治療+テモダール」の全生存率を示したグラフです。
当時の標準的治療法である、「手術+放射線治療」の生存期間中央値は12.1ヶ月と非常に短いものでした(図1の赤線参照)。

(The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE 2005, Mar 10 987-996)

この結果は、手術や放射線により局所的に腫瘍細胞を除去することが出来ても、残存した腫瘍が成長して再発するリスクが非常に高いことを示しています。
そこで我々は、前述の再発・残存症例を対象に行われた臨床試験の後(2005年)、22例の初発膠芽腫症例を対象として「手術+放射線治療」に自家がんワクチンを併用した臨床試験を実施しました。

この臨床試験の目的は、手術や放射線で取り切れなかった微小な腫瘍細胞を除去して再発を予防し、生存期間を延長することです(概念図:図2)。

図3

投与スケジュールは、手術後の放射線治療と同時に自家がんワクチンを1週間間隔で3回投与することとし、その前後に皮内テストを実施しました。

図2 図4

この臨床試験の進行中にテモダールが認可され、生存期間の中央値は14.6ヶ月まで延長が見られましたが、我々の臨床試験の結果はその数値を上回るものでした。「手術+放射線+自家がんワクチン」で治療を行うことで、生存期間中央値が19.8ヶ月となりました(図4)。

術後肝がん延命効果

また、自家がんワクチンを投与した患者さんを、ワクチン投与後の皮内テストが12mm以上の方と12mm未満の方に分けて解析してみると、ワクチン投与後の皮内テストが12mm以上の方の方が再発しにくいことが明らかとなりました(図5) 。つまり、ワクチンにより腫瘍に対する免疫を獲得した患者さんでは、再発しにくくなっていると予想されます。

文献: Yoshihiro Muragaki, Takashi Maruyama, Hiroshi Iseki, Masahiko Tanaka, Chie Shinohara, Kintomo Takakura, Koji Tsuboi, Tetsuya Yamamoto, Akira Matsumura, Masao Matsutani, Katsuyuki Karasawa, Katsunori Shimada, Naohito Yamaguchi, Yoichi Nakazato, Keiki Sato, Yoji Uemae, Tadao Ohno, and Tomokatsu Hori: Phase I / IIa Trial of Autologous Formalin-fixed Tumor Vaccine Concomitant with Fractionated Radiotherapy for Initially-Diagnosed Glioblastoma. J. NeuroSurgery, 2011, 115(2):248-55, (e-pub ahead, DOI: 10.3171/2011.4.JNS10377). Erratum: J. NeuroSurgery, 2013;118(3):709. エビデンスレベル2bに相当する論文です。