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右乳癌術後胸骨傍リンパ節再発に対して自家癌ワクチン療法と放射線療法を併用し完全寛解を得た1例

田口和浩、倉西文仁、高橋元、濱岡道則、田中飛鳥、下田清美、住谷大輔、山本実、福田敏勝、中原雅浩、則行敏生、黒田義則、大野忠夫*(JA尾道総合病院、*セルメディシン株式会社)

第7回日本乳癌学会中国四国地方会、2010.09.25、高知市

【症例】65歳、女性。平成18年6月、右乳癌に対し非定型乳房切除術を施行した。永久病理組織学検査はScirrhous carcinoma,f,ly2,v0,n(+),ER(3+),PR(+),HER2(-)であり、術後補助化学療法(CMF)を施行した。平成19年1月よりアナストロゾールによるホルモン療法を開始し、同8月より放射線療法(50Gy/25f)を施行した。また、同6月より自家癌ワクチン療法を施行した。平成21年12月、経過観察目的に施行したCT検査にて胸骨柄右背側に3×2cmの胸骨傍リンパ節腫大を認め、リンパ節再発が疑われた。PET-CTでは同部位にSUVmax 15.6の集積を認めた。同部位に対して超音波ガイド下吸引細胞診を施行したところ、classV(metastatic ductal carcinoma)であった。右乳癌胸骨傍リンパ節再発と診断し、同月より放射線(50Gy/25f)化学療法(TS-1+PTX)を施行した。平成22年2月、再度CT検査を施行したところ、再発リンパ節は完全消失していた。現在、再発無く経過観察中である。【考察】現在、乳癌に対する標準治療は外科的治療・薬物療法・放射線療法であるが、新たな治療法として自家癌ワクチン療法の効果が期待されている。また、近年自家癌ワクチン療法を併用することで、放射線療法の効果が増強されるという報告もある。本症例は術後自家癌ワクチン療法を施行したことで、リンパ節再発に対する放射線作用が増強し完全寛解を得たものと考えられる。自家癌ワクチン療法の効果に関しては解明できてない面も多くあり今後の研究が必要であるが、自家癌ワクチン療法は副作用のほとんどみられない点や放射線療法併用による増強効果がある点からも、乳癌術後集学的治療のalternativeな治療の一つとして期待できる。右乳癌術後胸骨傍リンパ節再発に対して自家癌ワクチン療法と放射線療法の併用により完全奏功を得た1例を経験したので、文献的考察を加えて報告する。

 

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