自家がんワクチン」療法は、厚生労働省の認可をまだ得ていない全く新しいがん治療法です。科学的に有効性が示されても、それだけで「保険診療」が適用されるものではありません。まず安全性に関する必要かつ十分なデータを整え、厚生労働省に申請、国が認めた正規の臨床試験となる「治験」実施許可をもらいます。それから、「治験」第I/IIa相、「治験」第IIb相を経て、製造承認を得た後、大規模な「治験」第III相を行い、その後、厚労省の承認審査を経て保険診療対象としてもらえるかが決まります。このため、抗がん剤を一つ開発するには10年以上の歳月と1000億円以上の開発費がかかります。
一方、日本では、医師の全責任において、患者同意のもと、全く新しい治療法を試みることが許されております(一般的には「治験」と区別して、「臨床研究」といっております)。同様に、「保険診療」とは別に、院内調剤品については、患者様の全額自費負担による「自由診療」も認められております。
日本では、こうした「自由診療」制度によって、「自家がんワクチン」を院内調剤し、直ちに患者様に提供できるようになっております。今後「保険診療」と「自由診療」を一人の患者様に同時に同一院内で実施できる「混合診療」解禁が進めば、より一層、提供しやすくなると考えられます。