2021年9月22日に着信した
The Latest Immunotherapy Articles From ASCO Daily News
の中に、
Case Study: Initial Immunotherapy or Chemotherapy in Advanced, Cisplatin-Ineligible Bladder Cancer.
(症例研究:シスプラチン不適格進行膀胱がんでの初期免疫療法または化学療法)
という討論記事が掲載されています。
こちらです ↓
https://dailynews.ascopubs.org/do/10.1200/ADN.21.200694/full/?cid=DM8593&bid=107051348
切除不能または遠隔転移を有する進行した膀胱がんに対する標準療法は、シスプラチンを含む抗がん剤のカクテル療法です。
→ http://www.jsco-cpg.jp/bladder-cancer/guideline/#VI
現在は、ゲムシタビン+シスプラチン(GC)療法や、メソトレキセート+ビンブラスチン+ドキソルビシン+シスプラチン(M-VAC)療法が使われます。
GC療法の方がM-VAC療法よりもグレード3以上の好中球数減少,発熱性好中球減少症,粘膜炎などの有害事象や、治療関連死(抗がん剤の毒性等で死亡する)の割合が低いとされています。
とは言え、どちらも強い副作用を伴うことが少なくありません。
そこで、今回の討論で取り上げられた症例は、
———————
76歳女性、筋層浸潤膀胱がん、切除6ヶ月後に4ヶの約
1cmの肺転移と骨盤リンパ節転移あり、45 mL/minのク
レアチニン排泄量からシスプラチンベースの治療には
不適格。PS1。高血圧あり(2薬で制御中)。10年前に
血管形成術。患者の膀胱がんはPD-L1陽性(>5%)。
———————
です。
以下は、米国の現状です。
***
腎機能が悪いためシスプラチンが使えない患者では、免疫療法も実は期待できるものとは限りません。抗がん剤治療を行うとすれば、カルボプラチンを含む化学療法が以前は標準とされていましたが、効果はいま一つだったため、免疫チェックポイント阻害剤(アテゾリズマブとペンブロリズマブ)が第II相治験の結果により承認されたものの、その後変更されてしまい、現在ではPD-L1陽性例に適応が絞られています。それもランダム化試験で延命効果が否定されたため、化学療法後の免疫療法(アベルマブ、PD-L1を阻害する抗体で免疫チェックポイント阻害剤として注目されているもの、商品名はバベンチオ)による維持療法が今は標準治療になっています。
***
さて、この現状を踏まえて、2人の専門医が、この症例に対して、議論を戦わせています。
一人は、免疫療法のアベルマブ治療を先に始めるべきだ、うまく行けば抗がん剤治療は不要になるという免疫療法推進派、
もう一人は、ともあれ化学療法を先にしてがんを小さくしてからアベルマブで維持すればよいという化学療法支持派、
です。
筆者は、この議論に甲乙をつけるつもりはありませんが、気になったことがあります。
ご存知のように化学療法では、どうしても副作用が避けられません(それも腎機能が悪ければなおさらです)。これを使用すれば体内の免疫系は能力低下を起こします。
一方で、免疫チェックポイント阻害剤は、体内の細胞性免疫反応に対して、PD-L1分子を介してかかるブレーキを外し、結果的に細胞性免疫反応を促進することを期待するものです。
二人の専門医のどちらの治療法にも、体内の細胞性免疫反応を積極的に刺激するという、
“アクセルとなる仕掛け”が入っていない
のが現状です。
これは、米国では未だFDAに承認された効果的な免疫刺激剤がないという事情を反映しています。
しかしながら、本邦では“アクセルとなる仕掛け”として、自由診療でならば免疫刺激剤AFTV(自家がんワクチン)の導入が可能です。
化学療法にしても、使用する抗がん剤の用量を少なくして、治療を行えば(メトロノミック化学療法や、がん休眠療法と呼ばれています)、腎機能が弱っている患者さんでも、治療の継続ができるかもしれません。
なによりも、抗がん剤の使用量を少なくすることで、骨髄抑制を軽減し、強度の免疫能力低下状態に陥らなくてすむと考えられます。
その下で、AFTV(自家がんワクチン)を作用させれば、免疫力が落ちないように刺激する“アクセルとなる仕掛け”が入った状態を作り出すことができると考えられます。
また、免疫反応のブレーキを外す(ブレーキoff)免疫チェックポイント阻害剤(それも通常用量よりは少なくして)と、免疫反応のアクセル役(アクセルon)のAFTVとの併用も非常に理にかなっています。
実際、少量の免疫チェックポイント阻害剤と、AFTV(自家がんワクチン)の併用で根治が得られたと推察された、
子宮頸部小細胞がん
(これまでに確立した治療法がないという難治性がん)
を経験しています。こちらの〔症例2329〕です ↓
https://cell-medicine.com/cases/shikyugan/
今後、ブレーキoff役の免疫チェックポイント阻害剤と、アクセルon役の免疫療法を併用する治療法のさらなる検証が進むことが期待されます。
AFTV(自家がんワクチン)には、臨床で問題となるような強い副作用はありません。他の治療法と安心して併用できるというのが強みの1つです。
そのため、AFTVは少量の抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬以外にも、放射線照射や温熱療法などの、AFTVの「免疫を刺激する」というコンセプトとぶつからない治療法すべてと併用できるため、従来にはない新しい治療モダリティを広げていくことが可能です。
斬新な発想のもと、まだ米国にはない日本発の新しいがん治療法に自由診療で挑戦できることに思いを巡らせると(うまくいけば米国の現状をしのぐことができるのですから)、心躍る気持ちになりませんか?
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