大腸がんは肝臓に転移しやすいことが良く知られています。大腸がん症例の約30%で見られます。
その転移した大腸がん(転移性肝臓がんとなります)は、手術でバッサリ切り取るのが第一選択となっています。
しかし、これで治るかというと、そうはいかず、7~8割の方で術後5年間以内に再発するとされてきたため、従来は術後に強い抗がん剤治療を行い、再発を防ごうとしてきました。これが術後補助化学療法といわれるものです。
術後補助化学療法に使われる抗がん剤は、大腸がんの標準治療になっているmFOLFOX療法で、
「フルオロウラシル+ロイコボリン+オキサリプラチン」
の3剤併用療法です。
特にオキサリプラチンは毒薬として知られているもので強烈な副作用を伴います。強い吐き気を誘導するため、当初、吐き気止め(グラニセトロン注+デキサメタゾン注)を点滴しなければなりません。
しかも、これを2週間に一度、繰り返していきます。副作用としては、手足や口のしびれ、白血球減少、血小板減少、嘔吐、食欲不振、下痢、口内炎、味覚異常、手足症候群、脱毛等、多々あります。
転移性肝臓がんの術後のため、見かけ上、がんが無いのに強い抗がん剤治療をするわけですから、ほとんどの患者さんが抗がん剤の副作用に苦しむことになるため、昔から、はたして意味があるのかどうかが問題とされてきました。
日本癌治療学会「がん診療ガイドライン」大腸がん
http://jsco-cpg.jp/guideline/13.html
の
Stage Ⅳ 大腸癌の治療方針
の項では、
「遠隔転移巣切除後の補助療法」
大腸癌遠隔転移巣切除後の補助化学療法の有効性と安全性は確立されておらず,生存期間の延長を
検証したランダム化比較試験はない。適正に計画された臨床試験として実施するのが望ましい。
とされていました。
ただし、医師も患者さんも疑問を持ちながらも、やはり再発が怖いとの一念でしょうか、世界中で
. “漫然と、当たり前のように”
施行されてきた実績があります。
この問題に決着をつけた論文が、日本の国立がん研究センターから昨年9月14に発表されました(Ref. 1)。
→ https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2021/0927_2/index.html
その結果は、なんと、
「術後補助化学療法を実施した場合、無病生存期間は延長されましたが、全生存期間は延長されませんでした。」
というものでした。
実際の論文データを見ますと、転移性肝臓がんの術後の無病生存期間は、
A群:術後補助化学療法あり(mFOLFOX)
B群:術後補助化学療法なし(手術のみ)
の間では、
統計学的な有意差があります(one-sided P=0.006)。
このとき、5年無病生存率は、
A群:49.8%
B群:37.3%
でしたから、このデータだけみれば、強烈な副作用があっても、mFOLFOX療法を受けた方が良い、ということになります。
しかし、このとき、5年全生存率は、
A群:71.2%
B群:83.1%
と逆転しています(有意差はありませんが、差がある傾向は論文中の図2C(下図)から読み取れます)。赤線がA群、青線が手術のみのB群です。
術後補助化学療法で大腸がんの再発を防ぐことができたとしても「かえって命が縮む可能性がある」というわけです。
筆者は、このデータをみて、かつての化学療法だけしかなかった時代の進行肺がんの治療実績を思い出しました。
こちらをご覧ください ↓
「進行肺がんでは、緩和ケアの方がかえって長生きできる」、「積極的な化学療法を続けると、かえって命が縮む」のです。
つまり、体内に画像で見えるほどの明瞭ながんの塊がないときは、単に少数の残存がん細胞に効くかもしれないと期待して行う
“強い化学療法は間違いだ”
ということです。
がんの手術後で、まだ目に見えない程の小さいがんがあると予想されるときは、ぜひ、弊社の自家がんワクチン療法を前向きにご検討下さい(mFOLFOX療法のような強烈な副作用はありません)。
“体内の敵”が少ないうちほど、自家がんワクチンの刺激をうけた“体内の味方”キラーリンパ球が、がん細胞に勝てるチャンスが大きいのですから。
Reference
1. Kanemitsu Y, Shimizu Y, Mizusawa J, et al.
Hepatectomy followed by mFOLFOX6 versus hepatectomy alone for liver-only metastatic colorectal cancer (JCOG0603): a phase II/III randomized controlled trial.
J Clin Oncol, DOI 10.1200/JCO.21.01032
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