既に、2021.02.15のトピックスでお知らせしましたように、この度、総計2880例のフォローアップ調査が完了しました。
今回は、その中で見つかった「卵巣がん」に対する自家がんワクチンの効果が見られた有効症例について、ご案内申し上げます。
各がん種ごとの代表的症例については、従前のフォローアップ調査(2016年10月13日時点まで、1759例)にて判明した有効例が、各がん種ごとのページに掲載してあり、そこに追加した分が今回のご紹介症例です。
卵巣がんのページには、ソフトクライテリア(※)にて評価した「有効」例が増えています。
(※)「ソフトクライテリア」の意義については、以下に解説してありますので、ぜひご覧願います。
弊社ホームページのトピックス欄で、こちらをクリック願います → 2018.03.01版
ここでいう「有効」とは、自家がんワクチン療法により、
・残存腫瘍サイズ縮小
. (RESIST基準による測定法が正確ですが、必ずしもそれによらず、画像を一見して明白に縮小または消失した場合を採用しています)
・腫瘍マーカー減少(半減以下)
・推定余命より2倍以上の延命
・QOLの明らかな改善(主にKPS基準で)
・主治医の評価による何らかの臨床上の好ましい反応
等のいずれかがあった症例を指しています。
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卵巣がんは、婦人科がんの中では最も予後が不良です。組織型は主に漿液性がん、類内膜がん、明細胞がん、粘液性がんに分類されていますが、漿液性がんにはTC療法(パクリタキセル・カルボプラチン併用療法)が良く効きます。それでも根治は難しく、また、明細胞がん、粘液性がんは抗がん剤が効きにくい難治性とされています。
卵巣がんはサイレントキラーと呼ばれており、診断されたときは既にステージⅢ以上であることが4割以上です。
今回のフォローアップ調査では、有効例として見出されたうち、以下の症例が代表的な症例として卵巣がんのページに追加されています。
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〔症例0449〕 (エイルクリニック)
58歳。2006年4月手術、病巣は13x13x11mm。明細胞がんでリンパ節転移あり(大網には転移なし)。同年11月自家がんワクチン投与開始。以後は無治療、年2回フォローしているが2010年9月で無再発。主治医はワクチン有効と判断。
(注)この方は、小型のがんで腹膜転移がなかったため手術のみで助かったかもしれませんが、明細胞がんでリンパ節転移があったことから、抗がん剤治療が期待できず、再発を懸念して主治医が頻繁に予後調査を繰り返していました。それでも4年以上、無再発であったため、主治医により「自家がんワクチンが有効だった」と判断されています。
〔症例1391〕 (時計台記念クリニック)
48歳、卵巣がん腹腔内転移再発例。術後KPS60%(時に介護が必要だが、自分でやりたいことはできる)で来院。2011年9月、腹水が3日で3リットル貯留する状態下で自家がんワクチンを投与。投与後は10日毎程度に腹水貯留のスピードが低下した。その後病状は再悪化したものの、「自家がんワクチンの効果を感じた」との主治医の評価により有効と判断された。
(注)腹水が3Lも貯留すると苦しく、QOLは著しく低下します。この方では、自家がんワクチン投与後、QOLが保て苦しまずに済んだ期間が3倍になっています。
〔症例1475〕 (池袋がんクリニック)
57歳。術後、タキソール+カルボプラチン施行。2012年2月自家がんワクチン投与開始。2014年10月患者からクリニックへの連絡で「腫瘍マーカーは上がったり下がったりだが、無治療で定期的に検査。2013年12月のCTでは問題なし」という。2019年6月時点でCA-125は低度上昇を認めるがPET検査上は問題なし。同年8月時点で再発なく元気。5年超無再発のため、「推定余命より2倍以上の延命」により有効と判断された。
〔症例2245〕 (東海クリニック)
51歳。2013年手術、2014年10月骨盤内転移、肺転移ありの状態で自家がんワクチン接種開始。腫瘍マーカーCA125漸増ではあるが、温熱療法併用。2016年7月生存確認。カルテにdo wellと記載があることから「主治医の評価による何らかの臨床上の好ましい反応」ありと評価された。
(注)この方、多発転移があるため常識的には予後は長くはないと推定されます。自家がんワクチンと温熱療法との併用効果でQOLを維持、1年超の延命に役立ったと考えられます。
〔症例2324〕 (陳瑞東クリニック)
64歳。ステージIIIc。2014年8月~9月パクリタキセル、カルボプラチン併用療法3クール施行。2014年10月子宮摘出、両側付属器切除、大網切除、腹膜播種切除術施行。同年12月化学療法再開。2015年2月よりアバスチン併用療法。
. 2015年3月自家がんワクチン投与開始。同年6月主治医によれば「3年も生きられないと予想されたが現在も健在。病気なんかなかったかのように生活している」とのこと。2018年5月分子標的薬リムパーザに変更。CA125値がさらに低下。2020年3月最終生存確認。
(注)手術時、腹膜播種があったにもかかわらず、併用療法で「QOLの明らかな改善」、「主治医の評価による何らかの臨床上の好ましい反応」により、自家がんワクチンも5年生存に貢献したと判断。
〔症例2433〕 (陳瑞東クリニック)
腹膜播種あり、グレード3の漿液性腺がん、ステージ4。2015年9月自家がんワクチン投与開始。直前に約2060あった腫瘍マーカー(CA125:基準値は35U/3mL)がワクチン1コース投与で急降下し、11月で18.7と正常化、以後TC療法を併用、2016年3月現在まで基準値内で落ち着いている。肝転移縮小中。
. ワクチン2コース目投与からも非常に良好な経過で、手術した元の主治医もびっくりしている。患者様より自家がんワクチン3コース目の希望あり。しかし2016年5月より腫瘍マーカー再上昇開始。それでも2018年5月まで生存。「残存腫瘍サイズ縮小」、「腫瘍マーカー半減以下へ減少」から自家がんワクチンは有効と評価された。
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「混合診療禁止」政策により、保険診療機関である大病院では「自家がんワクチン療法」が実施できなくても、先生ご自身の患者様に対して、お近くの連携クリニックにてごく簡単に、自由診療にて実施できます。
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自家がんワクチンは生きている細胞を含まないため培養不要で、 再生医療等安全性確保法でいう
「細胞加工物」(人又は動物の細胞に培養その他の加工を施したもの)に該当しないためです。
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