ワクチン皮内接種の意義 最新のがん免疫療法に関するトピックスをご紹介します。

トピックス

ワクチン皮内接種の意義

最新の学会から 

欧米を中心にサル痘感染が拡大していることがマスコミで話題になっています。
サル痘ウイルスは、ヒトの天然痘ウイルスの近縁種で、ヒトの天然痘ワクチンがサル痘ウイルスの感染予防に有効であることがわかっています。

そのため、サル痘の予防にはヒトの天然痘ワクチンを注射すれば良いのですが、一つ問題があります。

すでに国際的には、死亡率が非常に高いヒトの天然痘ウイルスは撲滅されたことになっており、新たな天然痘感染者は世界中に一人もいません。

しかし、予期せぬ突発事態に備えて、天然痘ワクチンは各国で国家備蓄されています。

この国家備蓄を取り崩して使えばよい、とは簡単には言えません。
天然痘ワクチンの国家備蓄数は、サル痘感染から防御すべき予想感染者数よりも圧倒的に少ないのです。
しかも、新型コロナワクチンのように、ほぼ国民全体にいきわたる程の数のワクチンを一挙には製造できません。

そこで米国FDAは、天然痘ワクチンを皮下注射ではなく、皮内接種することを推奨すると、この8月31日に発表しました(Ref. 1)。

皮内接種の利点として、
. 皮下注射や筋肉内注射に比べて、注射液量が1/5~1/10で済むこと、
. この量で十分な免疫反応が得られること、
. あやまって神経、血管、関節を傷つけることがないこと、
が挙げられています。

そのため、国家備蓄品を5倍~10倍にして活用できるというわけです。

これほどの効率の良さをもたらす理由は、何といっても、免疫反応開始の司令塔となる、
. 「若い樹状細胞」(ランゲルハンス氏細胞) が皮内に常駐している
からです。しかし、この細胞は皮下にはほとんどいません

全く同じ考え方で、弊社の自家がんワクチンは皮内注射法を採用しています。

自家がんワクチンの原材料となる患者様自身のがん組織内には、患者様のがん独自のがん抗原が含まれていますが、その含有量は、測定できない程の超々微量です。それを有効に生かすためには、患者様のがんを断片化して、直接、皮内のランゲルハンス氏細胞に届ける方が、効率が良いのです。

なお、ワクチンを皮下注射や筋肉内注射するのは、どちらも注射手技が極めて簡単だからですが、
. (米国では手先が不器用な人が非常に多いため、薄い皮内には注射が難しすぎて、できない)
このときは、ワクチン製剤に強力な免疫アジュバントを含ませておき、わざわざ皮下や筋肉内に樹状細胞を呼び寄せることが必要になります。

新型コロナワクチン注射を受け、高熱などの副作用で悩まされた方も非常に多いと思いますが、質の悪い免疫アジュバントがその原因の一つです。
(弊社の自家がんワクチンでは新型コロナワクチンとは全く異なる免疫アジュバントを採用しており、作用の仕方はとてもソフトで副作用はほとんど問題になっておりません。)

Reference

1. Brooks JT, Marks P, Goldstein RH, et al.
Intradermal Vaccination for Monkeypox ? Benefits for Individual and Public Health.
New Eng J Med, Perspective, August 31, 2022, DOI: 10.1056/NEJMp2211311

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「混合診療禁止」政策により、保険診療機関である大病院では「自家がんワクチン療法」が実施できなくても、先生ご自身の患者様に対して、お近くの連携クリニックの外来にてごく簡単に、自由診療にて実施できます。

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