がん治療では、ときどき、地固め療法といわれるものが登場します。
オンコロのがんの用語辞典によれば、
. 「地固め療法とはがんの薬物治療で寛解導入療法に続く第二段階で行われる治療のことをいいます。
. がんに対する薬物治療は、最初に強力な薬物治療である寛解導入療法を行い、がん細胞を減少させます。
. 多くの場合、この寛解導入療法が効いて、がん細胞が顕微鏡などで確認できなくなるまでに減ったとしても検出できないがん細胞がまだ残っていると考えられます。
. 従って、寛解導入療法に引き続き、同様な強力な化学療法を複数回行い、残っているかもしれないがん細胞を徹底的に叩いて、より深い寛解をもたらす治療を行います。」
と解説されています。
地固め療法は、急性白血病などで採用されることがありますが、血中に浮遊していて、直接血中の抗がん剤にさらされる白血病細胞と異なり、固形がんの場合は、がん細胞周囲を正常組織細胞ががっちりと取り囲んでいることが多いため、問題を起こします。
残存がん細胞を強力な化学療法(ほとんど全て毒薬・劇薬)で徹底的に叩こうとすると、殺がん細胞効果よりも殺正常細胞効果の方が勝ってしまい、強い副作用が出現して治療に失敗してしまうのです。
そこで2017年に登場したのが、免疫チェックポイント阻害薬デュルバルマブです。
こちらをご覧ください https://oncolo.jp/news/170912k01
「局所進行ステージ3の非小細胞肺がん 一次療法の効果を強化するデュルバルマブの地固め療法で増悪リスク48%減」
と紹介されています。ただし、かなり副作用がきつく、有害事象を理由とする治療中止率はデュルバルマブ群で15.4%もあります。
デュルバルマブは抗体の一種で、その作用機序は、がん細胞上に出てくる分子PD-L1に結合して、PD-L1の作用(キラーT細胞上に出ているPD-1分子に結合しキラーT細胞の活性化をストップさせます)を阻害し、結果的にキラーT細胞を活性化させるものです。
それならば、もし直接、体内のキラーT細胞を自家がんワクチンによって活性化すれば、デュルバルマブ同様の“地固め効果”が得られるはずです。
しかも、自家がんワクチンは非常に安全性が高く、デュルバルマブのような重い有害事象を理由とする治療中止等は、これまでに3900例を越える自家がんワクチン療法の経験がありますが、1例も報告されたことがありません。
実際に、自家がんワクチンによる地固め効果は、弊社ホームページの
https://cell-medicine.com/cases/specialists-agree/
にある、
肺がん-1:放射線治療の前に「地固め効果」を
〔症例0144〕肺がん
にてご覧いただけます。
その解説にご注目下さい。
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通常、肺がんでリンパ節転移があった場合、その場所だけなら放射線で治せても、未照射の他のリンパ節で多発再発する例が多いため、放射線治療を追加するのはあきらめてしまいます。
しかし、自家がんワクチンの効果を実感していた主治医は、この方についてはあきらめませんでした。この方は、胸に水が溜まり、しかもその中を肺がん細胞がウヨウヨ泳いでいたという、手術しても決して全部のがんは除けないという最末期でした。
胸水混濁アデノカルチノーマ姑息的手術症例。腫瘍マーカーであるCEAとCYFRAが自家がんワクチン接種後(2004.09-10)一時上昇したにもかかわらず、接種3ヶ月後から減少しはじめ7ヶ月間減少し続けました。この間他療法は一切行っていないため、腫瘍マーカーの減少は明らかに自家がんワクチンによるものです。
1年後に(2005.10)、リンパ節転移をPETにより発見、局所放射線治療実施、リンパ節転移巣消失、腫瘍マーカーが正常化。ワクチン接種後3年経過時、QOLは問題なく、2009.10現在も腫瘍マーカーの再上昇も全くなく、健在です。
この効果はいわゆる自家がんワクチンの「地固め効果」によるものと推定されています。
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