薬物療法によりがんが小さくなればそれで良いという思想は時代遅れに—延命効果の証明こそが重要です 最新のがん免疫療法に関するトピックスをご紹介します。

トピックス

薬物療法によりがんが小さくなればそれで良いという思想は時代遅れに—延命効果の証明こそが重要です

最新の学会から 

 今年2月16日付の海外がん医療情報リファレンスに
「腎がん術後キイトルーダの延命効果が初めて試験で示された」
というニュースが掲載されました。
→ https://www.cancerit.jp/gann-kiji-itiran/hinyoukigann/post-27047.html

 キイトルーダ(一般名ペンプロリズマブ)は、オプジーボ(一般名ニボルマブ)と同じ作用をする免疫チェックポイント阻害剤で、がん免疫反応で起こるキラーリンパ球の殺しの作用を阻害する(ブレーキ役の)分子PD-1の作用を、強く阻害する(ブレーキをオフにする)作用があります。

 その結果、キラーリンパ球の作用が亢進して、がん細胞を殺し、がんを治せるというわけです。
 
 キイトルーダが、悪性黒色腫(メラノーマ)に対して、初めて米国FDAから承認を受けたのは2014年9月でした。それが、非小細胞肺がんに適応が拡大されたのは2016年10月です。以後、古典的ホジキンリンパ腫、根治不能な尿路上皮がん、マイクロサテライト不安定性(MSI-high)固形がんと、驚くほどのスピードで異なるがん種に次々に適応が拡大されてきています。

 米国FDAで、進行腎細胞がんへの承認まで至ったのは2019年4月、腎細胞がんの術後補助療法としては
2021年11月でした。本邦では、2022年8月に「腎細胞がんにおける術後補助療法」の効能又は効果の承認を取得しています。

 これらの経緯からすれば、キイトルーダのがん治療効果(“確かに効く”)は、もはや十分に確立されていたように思われます。

 それが何故、今頃になって、
 「腎がん術後キイトルーダの延命効果が“初めて”試験で示された」
というニュースになったのでしょうか?

 これを理解していただけるヒントは、弊社の2021.05.06付けのトピックス
「米国FDAが投じた一石:奏効率はあてにならない、進行肝がんで免疫チェックポイント阻害剤では」
→ https://cell-medicine.com/topics/1570/
にあります。

 すなわち、


2019年10月に発表された第3相検証試験では、進行肝がんの第一選択に設定された、
 「ニボルマブ単剤群 vs 標準治療のソラフェニブ群」 (それぞれ 371例 vs 372例)
では、全生存期間中央値が  16.4ヶ月 vs 14.7ヶ月で統計学的な有意差はありませんでした(P=0.0752)。
 それでもこのときの奏効率は、15% vs 7% と有意差がありました(カイ二乗検定、P=0.0003)。


というように、

キイトルーダと同じ作用をするオプジーボでも(本邦で承認されたのは2014年7月と世界初だった)、がんは小さくできても、延命効果は不明だった(解釈次第では、延命効果はなかったとされていた)のです。

 延命効果がないとすれば、たとえ一時的にがんが小さくなったとしても、すぐに再発してきて死にいたりますから、その患者さんの人生ににとって大きな意味があるのかどうか、疑わしくなります。

 すでに創薬の関係者にはよく知られていることですが、米国のFDAにならって本邦のPMDAでも、現在ではがん治療向けの新薬には、

がんを縮小させる効果だけでは不十分だ、その新薬によるがん治療の結果、がん患者が延命できることを証明しなければ原則として承認しない

という方針に転換しています。

 上述のようなオプジーボによる試験結果を受けて、キイトルーダの発売元であるMSD株式会社では、しっかりとした
  「腎がん術後キイトルーダの延命効果」
を証明すべく、たいへんな努力を重ねてきたのでしょう。それがようやく今年になって成功したというのが、冒頭のニュースとして発表されたというわけです。

 ちなみに、弊社の自家がんワクチンは、キイトルーダやオプジーボとは異なり、上記のブレーキをオフにする作用ではなく、積極的にキラーリンパ球を活性化する(アクセルをオンにする)作用をして、がん細胞を殺させるように仕向けます。

 がん免疫療法として、結果的には同じように作用することになるのですが、まだ一般の方には受け止め方が大きく異なっているようです。

 弊社では、弊社の自家がんワクチン療法について、患者さまから、
 「何%で効くのか?」と聞かれ、
 「がんが小さくならなくても、長生きできる場合があります」
とお答えすることがありますが、
 「なんだ、延命だけか」
と返されて愕然としたことが何度もあります。

 このような一般の方の理解は、その元となっている患者さまの主治医の判断の仕方が反映されているのではないかと推察されます。

 どうか、世界のがん治療関係者間では、すでに
 「何%で効く(がんが小さくなる)」
という昔の判断基準から、すでに、
 「統計学的に有意差のある延命効果が認められる」
に進んでいることをご理解いただければ、たいへん有難く存じます。

 そして、少なくとも、術後肝細胞がんに対しては、自家がんワクチン療法は再発予防効果だけではなく、“延命効果も”、既に2004年段階で統計学的に証明されていることを、こちらにてご覧願います。

https://cell-medicine.com/cases/results-liver-cancer-final.php

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全体タイトル:『がんと共存して長生きを』(*)

(*)タイトルの趣旨は、「がんを小さくするために無理な抗がん剤治療を続けると、強い副作用
で疲弊してしまい、結局は長生きできなくなるよりも、無理のないやさしい治療を続ければ、
がんが体内に残っていても長生きできる可能性があります」、ということです。
 実際に、末期がんの方々の余命延長効果がこのセミナーで提示されます。

セミナー1:
『あなたのがん専用のがん免疫療法、究極のパーソナルドラッグ・自家がんワクチンについて』

講師:セルメディシン株式会社
代表取締役社長 大野 忠夫

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院長 三好 立

日時:4月27日(土)14:00~16:00(13:45開場)

場所:銀座並木通りクリニック
〒104-0061 東京都中央区4-2-2 第1弥生ビル7F
TEL:03-3562-7773

参加費:無料
参加可能者数:10名(要予約・申込み先着順)
お申込み方法:参加ご希望の方は、
銀座並木通クリニック TEL:03-3562-7773
まで直接お電話下さい。

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