大型連休明けで、5月のさわやかな気候を享受したいところですが、こと、がん治療に関するニュースや意見については、気が休まるところがありません。
先月、4月7日(日)、日経新聞のコラム「科学の扉」欄に新聞社の編集委員による記名記事、
“「がん共存療法」で臨床試験”
が掲載されました。
→ https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD2972W0Z20C24A3000000/
記事内の要点を引用しますと、、
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…(前略)…
多くの患者は異常に増殖するがん細胞に対して毒性を示す化学物質を使う、従来の抗がん剤などに頼らざるを得ない。薬の組み合わせや制吐剤の利用などで副作用はある程度抑えられるが、個人差は大きい。抗がん剤による標準治療が効果を示さなかったり、副作用で続けられなくなったりして「完了」となるケースは簡単には減らない。
いずれ症状が悪化すると、最後は心身の苦痛や不安を取り除く緩和ケアへと移行する。
…(中略)…
標準治療の完了と緩和ケアの間に生じる「空白」を何とかしたい--。緩和ケア医でケアタウン小平クリニック名誉院長の山崎章郎さんは、自らがんを患い、抗がん剤による標準治療を副作用のため途中で断念した経験から痛感した。
この空白にはしばしば「代替療法」が入る。怪しげなものもあるが、山崎さんは丁寧に調べて科学的に説明の着くものを探した。
…(中略)…
がんが悪化せず安定した状態の「無増悪生存期間」を延ばすことが目的で「がん共存療法」と名付けた。
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という医師主導の臨床試験を始めたそうです。これはこれで、たいへん立派な試みであると思いますし、成功を祈らずにはおられません。
が、しかし、少しだけ違和感があるところがあります。
この臨床試験では、「標準治療の“完了”」を前提にしていると読み取れるところです。
筆者としては、
標準治療の“完了”を前提としなくてもよいのではないか、
と考えます。
特に、抗がん剤による大腸がんの標準治療の基本となっているFOLFOX療法では、
・フルオロウラシル (5-FU)(劇薬)
・レボホリナート(アイソボリン)(5FUの毒性増強剤)
・オキサリプラチン(エルプラット)(毒薬)
・イリノテカン(カンプト)(劇薬)
が使用されます。
オキサリプラチンには、骨髄抑制に加え神経症状(手足のしびれ,のどのしめつけ感など)などの副作用があります。
イリノテカンには、食欲不振、重症の下痢、脱毛や骨髄抑制(白血球の減少)などの副作用があります。
いずれの抗がん剤も劇薬・毒薬の類ですから、患者さんによっては耐えがたい強い副作用が出現します。
その上、専門家集団の意見では、
~~~~~~
「分子標的薬も含めて,抗がん剤だけで大腸癌を完全に治すことはできません。」
(大腸癌研究会、大腸がんの薬物療法 Q12-1)
→ https://www.jsccr.jp/forcitizen/2022/comment04.html#faq13
~~~~~~
という次第です(手術等を併用する場合は除いて)。
標準治療は、あるがん種に対する新規治療法をとりあげ、比較対照に比べて統計学的な有意差をもって有効だとの証明があることをエビデンスとして、専門的な学会によって推奨されている治療法です。
ただし、その対象は、解析対象となったあるがん種の患者集団であって、特定の患者個人ではありません。
標準治療推進派が主張している「標準治療こそが最善の治療である」との固定観念は、患者集団としてではなく、患者個人の立場から見たとき、果たして最善なのでしょうか?
上記の記事中にもあるように、がんでは個人差が大きく、標準治療に対する反応の仕方のバラツキが大きいため、標準治療に固執すると、
「自らがんを患い、抗がん剤による標準治療を副作用のため途中で断念した経験から痛感した。」
に至るまで、強烈な副作用で自らの身体を痛めつけてしまいます。
筆者は、山崎先生が、断念せざるを得ないほどの強烈な副作用がある抗がん剤による標準治療そのものに、何故、疑念を抱かなかったのか、不思議に思います。
むしろ、標準治療の“完了”を待つまでもなく、上記「空白」期間を埋められるほどの治療技術を開発できるなら、患者希望に応じて何時始めてもよいのではないか、と思います。
上記の新聞記事では、
~~~~~~
「この空白にはしばしば「代替療法」が入る。怪しげなものもあるが、、、、、」
~~~~~~
と代替療法を暗に攻撃していますが、弊社の自家がんワクチン療法のように、
「しっかりした科学的根拠と、高い安全性を示せる方法」
ならば、長期間にわたる臨床試験と莫大な研究開発費を要する(Ref. 1)統計学的なエビデンスの確立を待たずとも、本邦では、自由診療による治療は合法とされていますので、遠慮なく「患者個人の希望に応じて」治療期間のどの時期であっても「代替療法」を導入して然るべきだと思われます。
Reference
1. 八木崇、大久保昌美、医薬品開発の期間と費用-アンケートによる実態調査-、医薬産業政策研究所、No.59, 2013.07 ↓
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11640432/www.jpma.or.jp/opir/research/rs_059/paper_59.pdf
(このうち、図4-7「国内における上市に成功した場合の開発コスト(自社製品及び導入品)」
をご覧下さい。自社品目の場合、臨床試験費用が中央値で 55億円 かかっています。)
【ご案内】
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【5月の銀座セミナーのご案内】
(気軽に質問しやすいライブ感覚の少人数限定の定期セミナーです)
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全体タイトル:『がんと共存して長生きを』(*)
(*) タイトルの趣旨は、「がんを小さくするために無理な抗がん剤治療を続けると、強い副作用
で疲弊してしまい、結局は長生きできなくなるよりも、無理のないやさしい治療を続ければ、
がんが体内に残っていても長生きできる可能性があります」、ということです。
実際に、末期がんの方々の延命効果がこのセミナーで提示されます。
銀座並木通りクリニックでは、この全体タイトルにて、すでに10年以上も定期セミナーを開
催してきています。
セミナー1:
『あなたのがん専用のがん免疫療法、究極のパーソナルドラッグ・自家がんワクチンについて』
講師:セルメディシン株式会社
代表取締役社長 大野 忠夫
セミナー2:『がんと共存・からだにやさしい少量抗がん剤治療について』
講師:銀座並木通りクリニック
院長 三好 立
日時:5月25日(土)14:00~16:00(13:45開場)
場所:銀座並木通りクリニック
〒104-0061 東京都中央区4-2-2 第1弥生ビル7F
TEL:03-3562-7773
参加費:無料
参加可能者数:10名(要予約・申込み先着順)
お申込み方法:参加ご希望の方は、
銀座並木通クリニック TEL:03-3562-7773
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