今回のプレスリリースの基となる研究成果は、
国際誌 Clinical Breast Cancer オンライン版 に掲載されました。
この学術誌は、オーソドックスな硬派の査読をする乳がん専門誌です。まだゲラ刷版ですが、以下のように公開されました。
Thirty-five-year follow-up real-world data revealed the efficacy of autologous formalin-fixed tumor vaccine on metastatic breast cancer – A target trial emulation.
Clinical Breast Cancer
Available online 27 June 2025
In Press, Journal Pre-proof
https://doi.org/10.1016/j.clbc.2025.06.008
(著者は以下)
Kuranishi F(1) ,Miyazaki T(2) , Tagashira T(1) ,Fujii A(3) ,Yuba M(4) ,Miyake I(5) ,Fujita T(6) ,Suzuki T(7) ,Masuda H(8) ,Makihata T(9) ,Nakagou S(10) ,Ohno T(2)
(1). Depart Surg, Innoshima-Ishikai Hospital, Onomichi
(2). Cell-Medicine, Inc., Tsukuba
(3). Fujii Clinic, Innoshima, Onomichi
(4). Yuba Clinic, Innoshima, Onomichi
(5). Miyake Clinic, Innoshima, Onomichi
(6). Fujita Clinic, Innoshima, Onomichi
(7). Suzuki Clinic, Innoshima, Onomichi
(8). Masuda Eye Clinic, Innoshima, Onomichi
(9). Makihata Internal Medicine Clinic, Innoshima, Onomichi
(10). Higashiikuchi-Shinryousho, Innoshima, Onomichi
乳がんの発生数は非常に多く、2021年に日本全国で乳がんと診断された方は99,449人もいます。
→ https://ganjoho.jp/public/cancer/breast/patients.html (がん情報サービス)
乳がんでは、発見したとき、まだ初期であれば、手術するだけでほとんどの方で治せますが、乳房から離れた臓器に転移した場合(ステージIVに入ったとき)、患者さんの5年生存率は、がん以外の原因で亡くなった方も含めた「実測生存率」で表すと、38.6%にすぎません。
→ https://hbcr-survival.ganjoho.jp/graph?year=2014-2015&elapsed=5&type=c09#h-title
(がん情報サービス)
約6割の方の命が、“5年はもたない”ことを示しています。
新しい治療法も続々と開発されていますが、最新の治療法で、抗体薬物複合体(略称:ADC)による治療法では、延命効果はあっても重大な副作用が非常に多いという難点があります。
広島県尾道市の医師グループは、ここ35年来、尾道市領域で手術を受けた乳がん症例(総数n=698)の予後を、日常診療のカルテ記載のデータ(実臨床データ)を基にして、丁寧に追跡調査してきておりました。
その中で、乳房から遠方の臓器に転移した乳がんの方々(n=94)に注目したところ、遠隔転移検出時を起点にした、亡くなるまで(または観察打ち切りまで)の全生存期間の「中央値」が、
・標準治療(コントロール)群 ・・・・・ 2.81年
・自家がんワクチン(AFTV)療法群 ・・・ 4.58年
で、統計学的にも有意差がありました(p=0.0300)。
ただし、このデータは、日常診療で記録された実臨床データですから、起点では皆ステージIVに入っていたとしても、患者さんによっては、
・最初の手術時には、ステージI、II、またはIIIだったとバラバラで、以後も、
・AFTV療法だけではなく、
・放射線治療を受けたり、
・ホルモン療法を併用していたり、
・抗がん剤治療(化学療法)をときどき受診したり、
・乳房全体を切除していたり、
・併用なしで一種類しか治療を受けていなかったり
と、さまざまな状態の方が混在しています。
しかし、実臨床データを、重要な患者背景因子ごとに丁寧に切り分けて、
・どの因子が本当に役にたっているのか、
を検定する統計学的な解析方法があります。
過去の実臨床データをあたかも「これから臨床試験を行うがごとく」に見立て、一つの注目因子(薬剤)の臨床効果を検定する方法が、
ターゲットトライアルエミュレーション法
(効果の有無が決定できる標的となる臨床試験を模倣した試験法)
です。
その方法を適用した結果、転移があった患者さんでは、自家がんワクチン(AFTV)療法と放射線治療(RT)の両方の併用による相乗効果がありました。
そのうちのAFTV療法の前後の6ヶ月間、抗がん剤治療を受けていない
・A群 (n=13、この方々には「最適AFTVセットサブグループ群」と命名)
と、AFTV療法を受けていないコントロール群全体(n=35)の中から、放射線治療を受けているがその前後6ヶ月間、抗がん剤治療を受けていない
・B群(n=6、この方々には「コントロールサブグループ群」と命名)
を比較したところ、遠隔転移検出時(起点)からの全生存期間中央値は、
・B群(コントロールサブグループ群) ・・・・・・・ 2.35年でしたが、
・A群(最適AFTVセットサブグループ群) ・・・・・・ なんと! 12.85年 ($)
もありました(p=0.00819)。
この値($)は、現時点ではステージIVの乳がん患者に対する抗体薬物複合体(ADC)による治療でも達成できていない、
世界最長の延命効果( = 世界新記録! )
であることを示しています。
しかも、A群(最適AFTVセットサブグループ群)では重大な副作用がなく、極めて安全であることが判明しています。
■本件に関するお問い合わせ先(共著者の一人です)
セルメディシン株式会社(理化学研究所発 & 筑波大学発 創薬ベンチャー企業)
代表取締役社長・薬博 大野 忠夫
〒305-0047 つくば市千現2-1-6-C-B-1
E-mail: tkb-lab@cell-medicine.com
TEL:029-828-5591 FAX:029-828-5592
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