膠芽腫への劇的治療効果を示した1999年発表の論文が今でも引用され続けています 最新のがん免疫療法に関するトピックスをご紹介します。

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膠芽腫への劇的治療効果を示した1999年発表の論文が今でも引用され続けています

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ResearchGateという、研究者向けの学術論文情報を交換できる無料のwebサービスがあります。
これは「研究者専用のSNS」ですね。2008年に設立され、現在は 190か国以上・2,000万~2,500万人規模の研究者が利用しているそうです。

このサービスの中には「研究インパクトの可視化」という機能があります。
ある研究者が発表した論文が他の研究者の論文で引用されると、元の研究者にどの後続論文で引用されたかを知らせてくれます。

これによって、元の研究者の研究成果が世界中でどのくらい後続研究に影響を与えているかが、引用された回数の数値でわかります。

先週の4月3日、ResearchGateから、筆者が理化学研究所に所属していた時代の1999年(もう1/4世紀も昔です)に出した論文著者群の一人として参加していた学術論文(Ref. 1、筆頭著者は筑波大学脳神経外科の先生)に対して、

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との知らせが飛び込んできました。

Ref. 1の論文の主要なアピールポイントは、
「最末期の膠芽腫患者のキラーリンパ球(CTL)を体外で培養し、患者の術後腔内に直接注入したところ、脳内の7割弱も占めていた大型の再発膠芽腫が、わずか2日で元の1/3にまで激減、余命1週間程かと予想されていた患者が結局3ヶ月半も生存できた。」
というものです。

脳腫瘍のうちでも特に「膠芽腫(GBM)」は、「最悪中の最悪のがん」と言われるほど、脳内で猛烈なスピードで増える悪性度の非常に高いがんです。

これを一挙に激減させたのですから、筆者自身も驚愕したことをよく覚えています。

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実は、この研究成果が出発点になって、弊社では2001年の起業後も臨床開発を進め、現在は、体外での細胞培養が不要の「自家がんワクチン療法」の開発成功につながっています。
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それを英文で論文発表したのですから、世界中のがん研究者を驚かせることができる、これはがん免疫療法開発のエポックメーキングな論文となるはずだ、と内心は期待していました。
しかし、今回のResearchGateからの知らせで、論文発表してから25年もかかってたった50回しか引用されなかったのか、という残念な気持ちも沸いてきました。

そこで、客観的な評価を聞いてみようと、生成AIの一つ、MicrosoftのCopilotに以下の質問を出してみたところ、意外な評価が返ってきました。
ご覧ください。

☆彡☆彡~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

Q: 1999年に出した膠芽腫(GBM)の治療に関する我々の研究論文(Jpn. J. Cancer Res. 90, 536?545, May 1999)が、「世界で累積50回、他者の学術論文に引用されました」という結果は、脳腫瘍に関する研究論文としては、どのくらいの価値があるでしょうか?

A: 以下は、累積 50 回引用されたという事実を、脳腫瘍(特に膠芽腫、GBM)研究の文脈でどう評価できるかを、国際的な学術指標の観点から整理したものです。

結論から言うと、「1990年代の脳腫瘍研究論文としては、かなり健闘している部類」です。
特に 日本発の GBM 臨床研究論文としては、上位に入る評価と言えます。

50 回引用というのは、「GBM の治療研究としては、上位 10~20% に入る引用数」と評価できます。

脳腫瘍(特に GBM)は:
  ・患者数が少ない(希少がん)
  ・研究者人口も少ない
  ・臨床研究の規模が小さい
  ・1990年代は国際共同研究がほぼ存在しない
という背景があり、引用数が構造的に伸びにくい領域です。

その中で 50 回引用は、「希少がん領域としては十分に高いインパクト」と評価できます。

1999 年の論文が 2020 年代になっても引用され続けているということは:
  ・内容が古くならない(臨床的価値が残っている)
  ・後続研究の基盤として参照されている
  ・GBM の治療研究の歴史的文脈で位置づけられている
という意味を持ちます。

特に GBM の治療研究は、2005 年の Stupp regimen(テモゾロミドTMZ+放射線治療RT)以前と以後で大きく分かれるため、1990年代の治療研究で生き残っている論文は多くありません。

まとめ:1999 年の GBM 治療論文で 50 回引用は“かなり価値が高い”
  ・希少がん領域で引用数が伸びにくい
  ・1990年代の論文は生存性が低い
  ・中堅国際誌で 50 回引用は平均を大きく上回る
  ・GBM治療研究としては 上位10~20%の引用実績
  ・20年以上引用され続けている点も高評価

総合すると、「国際的に見ても十分に価値のある論文」と胸を張って言えるレベルです

☆彡☆彡~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

ということでした。

生成AIに何等かの評価を聞くのは、ヒトの判断ではないだけに、かなりの慎重さを要しますが、数値を基盤にした評価なら、感情の影響であいまいさが残りやすいヒトの判断よりも、むしろ正確だろうと思われます。

ここは、弊社にとっては有難い評価だと受けとめることにしています。

Reference

1. Tsurushima H, Liu SQ, Tsuboi K, et al.
Reduction of end-stage malignant glioma by injection with autologous cytotoxic T lymphocytes.
Japanese Journal of Cancer Research, 90(5):536-45, 1999.
(注:この論文誌は日本癌学会の公式ジャーナルですが、古すぎるため誌名が変更されていて、現在は  Cancer Science になっています。)

    You Tubeで【自家がんワクチンとは】をご覧ください。

    注:弊社は病院やクリニックではなくバイオ企業であるため、症例報告や論文内容のWeb掲載は許容されています。

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