胃がんのうちNET型の完治例が発表されました 最新のがん免疫療法に関するトピックスをご紹介します。

トピックス

胃がんのうちNET型の完治例が発表されました

症例のご紹介 

既に広く知られていますように、本邦における胃がんの新規罹患数は、全がんの中でも第3位で、2023年の集計では104,846人もいます。

この中で、胃の中にあるホルモンをつくる細胞から発生する珍しいタイプの神経内分泌腫瘍(略称NET)は、患者数の少ない「希少がん(きしょうがん)」に分類されています。

日本では、胃を含めた消化管全体にできるNET型の発症数は、年間人口10万人あたり約3.5人とされていますが、そのうち胃に発生するものは約15%です。

人口10万人あたりに換算すると年間約0.5人ですから非常にまれながんであることがわかります(Ref. 1, 2)。

胃NETは、早期に発見できれば手術で治療できる場合もありますが、リンパ節やほかの臓器へ転移すると治療が難しくなります。
特に悪性度の高いタイプでは、転移を伴う患者さんの5年生存率は35%以下と報告されています(Ref. 3)。

また、一部の胃NETでは、腫瘍マーカーであるCEA値(癌胎児性抗原といわれ血中を流れています)が高くなることがあります。
そのような患者さんは、がんが進行しやすく、再発や生存率にも影響する可能性があることが報告されています(Ref. 4)。

では、以下のような患者様ではどうでしょうか?

【症例4149】
80代、男性、胃がんの中でも珍しい神経内分泌腫瘍(NET)という組織型で、大病院で胃の手術4ヶ月後、傍大動脈リンパ節転移が出現した(このためステージIVに入ったとされた)。

腫瘍マーカーのCEA値は 85.4 ng/mL と高値を示し、さらに1ヶ月後 126.2 ng/mL まで上昇した(この上昇スピードは非常に速い方です。)

ここで自家がんワクチン療法を導入(この時は単独療法で)、

その1ヶ月後、CEA値は 96.7 ng/mL に減少、以後、毎月どんどん減少していき、導入4ヶ月後には 4.0 ng/mLと基準値内となった。
(この値は、生化学的にみた場合、根治かそれに近いレベルまで下がったことを示しています。)

しかも、自家がんワクチン療法導入時には腹腔内に散在していた多発転移病巣は、導入から8ヶ月後のPET-CTですべて消失し、確認できなくなっていた。

傍大動脈リンパ節への転移や腹腔内への多発転移を認め、さらにCEAが上昇している胃NETは、現在の標準治療でも十分な治療効果を得ることが難しい病態と考えられています。

しかし、上記のように胃がん術後遠隔転移症例でありながら、しかも標準治療では治療不可能と考えられていながら、自家がんワクチン単独療法により完全寛解(CR)が得られています(Ref. 5)

進行した胃NETにおいて、本症例は自家がんワクチン療法が新たな治療の可能性につながることを示す貴重な症例と考えられます。

(注:このレベルの治療成績なら、筆者は学術論文にできると踏んでいましたが、専門医によればまだまだデータ不足とのこと。やはり学術論文化はハードルが高いですね。いいや、それだけに査読付きの国際的な学術論文があるということは、本邦で自由診療で実施されているさまざまながん免疫療法のなかでは、自家がんワクチンに実力がしっかりあるということを示しています。)

References

1.Toriyama K, Hijioka S, Mizuno N, et al.
 Endoscopic examination for gastroenteropancreatic neuroendocrine tumours.
 日本甲状腺外科学会・日本内分泌外科学会機関誌
 33(2) : 89-94, 2016.
 (日本国内におけるNETの部位別発生割合「胃NETが約15.1%を占める」等の基礎統計データの参照元)
 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaesjsts/33/2/33_89/_html/-char/en (J-STAGE 論文詳細ページ)

2. がん情報サイト「オンコロ」
 神経内分泌腫瘍(NET)とは
 https://oncolo.jp/cancer/net-about

3. 防衛医科大学校誌 第44巻 第2号(2019年)
 「高ガストリン血症を伴う胃カルチノイド腫瘍に対して腹腔鏡下胃全摘術を施行した2症例」
 (胃NET Ⅲ型における「リンパ節転移55%、肝転移24%、5年生存率35%以下」という予後不良データの参照元)
 https://www.ndmc.ac.jp/wp-content/uploads/2020/08/44-2-85-91.pdf (防医大リポジトリ)

4. CEA Level, Radical Surgery, CD56 and CgA Expression Are Prognostic Factors for Patients With Locoregional Gastrin-Independent GNET.
 (ガストリン非依存性胃神経内分泌腫瘍(GNET)における「CEAレベル」が重要な予後予測因子(予後不良因子)であることを実証した臨床論文)
 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4863795/

5. 三好立 ブログ
  胃がん・自家がんワクチン単独療法で完全寛解!
 https://ameblo.jp/gin-nami/entry-12956256513.html

You Tubeで【自家がんワクチンとは】をご覧ください。

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