トピックス(2016.06.28)で書きましたが、今年の米国臨床腫瘍学会(ASCO2016、2016.06.03~06.07、シカゴ)からのニュースとして、がん免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボ、キートルーダ、ヤーボイ等)が、近々、抗がん剤治療を押しのけて、がん治療のファーストラインに登場するだろうと予測されていました。
それだけ期待が大きく、また実際に、化療に抵抗性となった再発進行小細胞肺がんでは、キートルーダ単独治療の成績が非常によかったため、今度は最初からキートルーダまたはオプジーボを(どちらも同様な抗PD-1抗体です)単独で使用し治療を試みるべきだという議論がでていたことを紹介しました。
しかし、この議論、進行「非小細胞」肺がんでは必ずしもうまく行かないことが8月5日にブリストルマイヤーズスクイブ社から発表され、会社の株価が一挙に18%も下落するという事態が発生しました。
まだ、マスコミのニュース段階の情報で、学術的な評価ができませんが、発表された内容からでは、論理的
には効くはずだという肺がん患者群(抗PD-1抗体が結合する相手方分子のPD-L1を5%以上発現している肺がん患者群)で試験を行っています。
しかし、進行期ですから、もともとキラーT細胞にも殺されないタイプの肺がん細胞が増えている患者が臨床試験に多数含まれてしまったのでしょうか、無効患者の割合が増加した結果、オプジーボの単独療法では一敗地にまみれたようです。
一時は「夢の薬」と言われたオプジーボも、現実は甘くないようですね。
しかし、これで引き下がるようなメガファーマではありません。ブリストルマイヤーズスクイブ社は、早くも、「ヤーボイ+オプジーボ」の組み合わせ療法なら期待できると、強気の見解を流しています。
「ヤーボイ+オプジーボ」の組み合わせ療法は、メラノーマ患者では確かに奏効率も高まりますが、同時に、重篤な副作用発生率が非常に高まることから、筆者はあまりお勧めできないと考えております。
むしろ、
「自家がんワクチン+(できれば)放射線治療+(必要なら)低用量オプジーボ」
という治療法をお勧めするものです。
詳しくは、このページの最上段の緑のボタンにある「受信するには」ボタンをクリックし、それから、左側の緑色のメニューボタンから、
をクリックし、でてきたページの下方にある項目、
・「自家がんワクチン」と免疫チェックポイント阻害剤の併用
と、
・「がん免疫サイクル(改良図)」
をご覧下さい。