腎がんにもオプジーボを承認、ただし……. 最新のがん免疫療法に関するトピックスをご紹介します。

トピックス

腎がんにもオプジーボを承認、ただし…….

他のがん免疫療法について 

厚労省は、8月26日、抗PD-1抗体であるオプジーボについて、「根治切除不能又は転移性の腎細胞がん」
にも保険適用することを承認しました。

これは日本も参加した国際的な治験で、対照薬(エベロリムス;アフィニトール)よりも延命効果を示したことによります(Ref. 1)。

この国際的な治験では、明細胞腎がんで、腫瘍血管造成を阻害する治療を受けながらも無効だった患者さん821名が参加しています(本邦単独で集めるのは、実際上は無理と思える患者数です)。

その結果は、全生存期間の中央値(丁度半分の方が生き残っている期間)が半数のオプジーボ群(2週おきに3mg/kgのニボルマブを投与)で25.0ヶ月、残り半数の対照薬群で19.6ヶ月、p=0.002でした。

より詳細な日本語の解説は、
→ https://oncolo.jp/news/151001m01
に出ています。

もともと腎細胞がんには、IL-2やインターフェロンγが承認されており、これらの薬は免疫細胞を刺激することから、がん免疫療法が効きやすい(はずだ)と言われてきました。オプジーボによる保険診療が最初に承認された皮膚がん・メラノーマももともとがん免疫療法が効きやすいとされていました。

しかし、すべての固形がんでこのようにうまく行くわけではありません。すでに、
「夢の薬(??)オプジーボも肺がんの単独治療では失敗」
→ https://cell-medicine.com/
(当社のホームページのHomeにあるトピックス欄の右上から、「すべてのトピックス」文字ボタンをクリックすると一覧が出てきます。その中の2016.08.08にこの項目があります)という例もあるからです。

ところが、同じ進行性の肺がんで、最初からオプジーボと抗がん剤を併用するとうまく行くという論文が出ました(Ref. 2)。

オプジーボを併用しない通常の抗がん剤治療では2年生存率が10~19%しかない厳しい末期の症例でも、オプジーボを5mg/kg、プラスしてパクリタキセルとカルボプラチンを併用すると、2年生存率が62%にもなり、全生存期間の中央値が未達になる(半分を越える方が長く生き残ってしまう)というのです。

このように、がんの状況に応じて、うまく他の治療法と組み合わせれば末期の肺がんでも成功するというのは、非常に喜ばしい情報です。

ただし、この治療では、オプジーボを5mg/kgを3週間に一度、延々と投与していきます。ただでさえ高額なオプジーボ(100mgで73万円)を、体重60kgの患者さんが使用すれば、1回の治療に219万円もかかり(他に、抗がん剤の費用も)、1年も続けたら3700万円を超えるという、とんでもない治療費になります。

しかも、この高用量オプジーボと抗がん剤の組み合わせでは重篤な副作用が約3割(29%)の方に起こります。費用対効果だけではなく、副作用の恐怖という面も合わせ考えて治療法を選択せざるを得ないという状況は、決して有り難いものとは言えません。

今回承認の腎がんの場合でも、1年間投与を続ければオプジーボ代が3425万円(2mg/kg、3週間に一度投与に減量しても1522万円)となります。しかも、今では、国に対して、オプジーボ治療の全例報告義務が課されているため、大学病院レベル以外の病院では、オプジーボは簡単に入手はできません。

大学病院に通院できず、オプジーボの一般販売を待てない患者様も多数いるはずです。

そこで、弊社では、
「超高額の抗PD-1抗体:経済的負担を半減する方法」
を提唱しております。

(詳しくは、当社ホームページ
https://cell-medicine.com/topics/
の中にある「2015.07.21」の項にあります)

しかも、がん免疫療法では、一旦効果がでれば、延々と投与を繰り返す必要は必ずしもありません(Ref. 3)から、投与回数を限定すれば、さらに費用は激減し、健康保険が使えない自由診療ベースであっても、十分手の届く範囲になります。

ぜひ、ご検討ください。

References

1.Motzer RJ, et al. Nivolumab versus Everolimus in Advanced Renal-Cell Carcinoma.
N Engl J Med 2015; 373:1803-1813, 2015.
→ https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1510665

2.Rizvi NA, et al. Nivolumab in Combination With Platinum-Based Doublet Chemotherapy for First-Line Treatment of Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer.
J Clin Oncol. 2016 Sep 1;34(25):2969-79. doi: 10.1200/JCO.2016.66.9861.

3.McDermott D, et al. Durable benefit and the potential for long-term survival with immunotherapy in advanced melanoma.
Cancer Treatment Reviews, 40(9):1056?1064, 2014.

注:弊社は病院やクリニックではなくバイオ企業であるため、症例報告や論文内容のWeb掲載は許容されています。

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