大野忠夫
"最悪中の最悪"の脳腫瘍に対する自家がんワクチンの開発
CROSS T&T, 47: 6-8, 2014.
種々のがんに対して、自家がんワクチンは2009年11月末時点までに累積1000例を越える投与がなされましたが、問題となる重篤な副作用はありませんでした。
脳腫瘍のうちの膠芽腫に対する臨床試験(C0002試験)では、(1) 治療を受けた半数の方が再発した期間が術後7.6ヶ月でした(標準治療法の6.9ヶ月に比べてあまり延びてはいません)が、(2) 半数の方が亡くなるまでが術後19.8ヶ月と延び(標準治療法では14.6ヶ月)、2年生存率は40%に上昇しました(学術論文がJ. NeuroSurgery, 2011;115:248-55に、その修正版が同誌2013;118:709に出ています)。
その次に実施され2013年に終了したUMIN1426試験では、さらに好成績になっていて、(1)の期間は8.2ヶ月、(2)の期間は22.2ヶ月、2年生存率は47%、しかも生存率がどんどん低下していくため従来は数値で発表されることがなかった3年生存率が38%に上昇したことが判明しています。
pdf版はこちらです ↓
CROSS T&T-最悪中の最悪の脳腫瘍に対する自家がんワクチンの開発