はい、あります。専門家の方は、米国癌学会の公式学術誌に発表された論文をご覧ください(Clinical cancer Research,10:1574-1579, 2004)。手術で根治したはずの肝がんでは、術後再発率が非常に高いため、予後が悪いのが問題となっております。効果的な再発予防法がなかったためですが、このような患者群をランダムに2群にわけ、一方の群にだけ自家がんワクチンを投与した場合の再発予防効果を示したのが、次の「自家がんワクチンによる肝癌再発抑制効果-1」の図です。
この中で、赤線は自家がんワクチン投与群(18例)のその後の経過を示しています。これを、同じ外科で同時期に肝がんの手術を受けた対照群(青線、自家がんワクチン投与を受けていない群)21症例の経過と比べると、統計学的にも明瞭な差が出ています(log-rank test, P=0.003)。
手術して根治したはずでも、自家がんワクチン治療を受けていない対照群では、どんどん再発してしまい、病気のない無再発症例数が急速に減っていくことがわかります。手術の技術上の問題ではなく、肝硬変のベースの上に発生する肝がんの恐ろしさを示すものです。
また、「自家がんワクチンによる肝癌再発抑制効果-2」の図は、ワクチン投与群と対照群の生命予後を示しております。
自家がんワクチン療法により、術後肝がんでは、明瞭な延命効果も観察されております(log-rank test, P=0.01)。すなわち、肝がんの手術後に自家がんワクチン療法を受ければ、肝がん再発を抑制し、生き延びられる率が明らかに高くなることを示しております。肝がん以外の例について記したA34の部分も合わせてご覧ください。
さらに、脳腫瘍(特にがんの中でも最悪中の最悪といわれるグレードI Vの膠芽腫)では、自家がんワクチン投与後、明瞭な残存腫瘍の減少と消失が観察されている症例(図中の黄線で囲まれた部分をご覧ください)や、部分縮小した例、増大せず不変となった症例が観察されており、奏功率17%、疾患制御率45%となっています。専門家の方は、日本癌学会の公式学術誌に発表された論文をご覧ください(Cancer Sci., 98(8):1226-1233, 2007)。
また、この場合、初回術後からの全生存期間中央値は24ヶ月となっており、脳腫瘍治療用として承認されている抗がん剤・テモダールを使用した場合の発表データ(全生存率中央値14.6ヶ月、N Engl J Med 352: 987-996,2005)よりも長い生存期間を示しています。
他にも、肺がんで「自家がんワクチン」療法だけしか実施しなかった期間に限り血中腫瘍マーカーが1年近くも減少しつづけた症例や、弱い抗がん剤と併用したとき従来の常識では考えられないほど骨転移巣が激減した乳がん症例もあります。放射線治療との併用では、緩和ケア病棟から生還し自力歩行で退院してきた乳がん症例、抗がん剤無効の巨大化リンパ節転移巣が消失した 症例も出ています。
これらの症例報告は、自家がんワクチンのホームページ(https://cell-medicine.com/update/)に掲載されています。