自家がんワクチン療法の投与のタイミングについて掲載しています。

受診するには

投与のタイミング

大切なのは、
自家がんワクチン療法実施のタイミングです。

併用する治療法によっては、相乗効果が期待できます。

自家がんワクチンと、放射線治療、ペプチドワクチン、(リンパ球を殺さない低用量の)化学療法は併用できます。
実際にワクチンを使う時の注意点についてご説明したいと思います。

がん細胞の数が少ないうちこそが
自家がんワクチン療法のチャンス

がんは獅子身中の虫、体内の敵です。数が少ないうちにやっつけてしまうのが基本中の基本です。CTの画像検査で見つかる直径1cmのがんには、がん細胞が10億個もいますから、見つかってから全部殺そうとしても至難の技となります。がんが見つかったら早期の小さいうちに、大きながんを手術で取り除いたら再発・転移する前に、散らばっている見えないがん細胞を完全に殺し、治してしまうのが正解です。

自家がんワクチンを投与するタイミング

手術後で化学療法開始前が最も望ましい時期です

白血球のうちのリンパ球数がおおよそ1000ヶ/ul以上になっていることが望ましいと考えられていますが、厳密な境界線ではありませんので、主治医の先生とよくご相談してください。

化学療法や放射線療法と併用する場合

これらの治療で一旦リンパ球数が現象していても、1000ヶ/ulに向けてはっきりした回復傾向があれば、自家がんワクチン療法は実施できます。

化学療法や放射線療法後

休薬後、末梢血リンパ球数が1000ヶ/ul以上に向けてはっきりと回復しつつある場合は併用可能です。

自家がんワクチンと放射線治療

自家がんワクチンと放射線治療は、大きな問題なく併用できます。さらには、相乗効果が期待できます。ただし、放射線治療後、白血球数が一時的に大きく減少することがありますので、その底の値から回復期に入ったら、自家がんワクチンを接種するようにしてください。

できれば白血球のうちのリンパ球数がおおよそ1000ヶ/ul以上になっていることが望ましいと考えられていますが、厳密な境界線ではありませんので、主治医の先生とよくご相談してください。

※白血球数の底の値は個人差があるため一概にいくつとは言えません。

自家がんワクチンと抗がん剤

自家がんワクチンと抗がん剤は、条件次第で併用できます。抗がん剤の投与量を調整し免疫抑制作用が弱い程度に使用量を抑える低用量とすれば、同時併用が可能です。もし強烈な抗がん剤治療を行った場合は、抗がん剤治療がいったん終了した後、減少していた(白血球のうちの)リンパ球数が回復してくる時期から、自家がんワクチンを接種するようにしてください(時差併用となります)。

自家がんワクチンとがんペプチドワクチン

自家がんワクチンとがんペプチドワクチンは、問題なく同時併用が可能です。自家がんワクチンでは、患者様自体のがん組織そのものから膨大な種類のがん抗原ペプチドが体内で発生すると考えられています。

※がんペプチドワクチンは、そのままの状態での注射でも、樹状細胞ワクチンにした状態での注射でも、自家がんワクチンとの併用には問題ありません。ただし、どちらも他社の技術ですので、受診方法についてはネット検索の上でご検討願います。

自家がんワクチンとその他の治療法

温熱療法、ラジオ波焼灼療法、超音波収束治療の3者は、いずれもがん組織を熱で破壊する治療法ですから、問題なく自家がんワクチンと併用できます。ただし、同時併用とするか、時差併用とするかは、主治医の先生とよくご相談ください。高濃度ビタミンC療法、健康食品類と自家がんワクチンの併用も、大きな問題はないことは分かっていますが、相互にどのような作用を及ぼすのかはまだ分かっていません。

早期発見・治療に最適な自家がんワクチン

再発してから治療すればいいや、と考えるのは、実は手遅れになることが圧倒的に多くなります。

重篤な副作用が無く、繰り返し投与の無い自家がんワクチンは、このような目で見ることは出来ない細胞レベルのがんを治療するのに最適です。

一方、自家がんワクチン接種後に、がん特異的なリンパ球が誘導、増殖してくるのに時間がかかるため、治療効果が現れるまで、3ヶ月以上かかることもまれではありません(図1)。その間、がん細胞群の増え方が遅いため急速に症状が悪化することはないだろう、という見通しがあることが、自家がんワクチン療法開始のキーポイントになります。また、このようなスローな癌は、一般に抗がん剤が効きにくく、化学療法のみで制御しようというのは無理な場合が多く見られます。体内で活性化したキラーリンパ球が増殖できるためには、患者様の体力が十分に維持されていることが大切です。特に、がんの終末期の場合は、体力低下による免疫応答能が激減していることが多く、自家がんワクチン療法は無駄になりますので、お勧めできません。

図1. 症例0144における腫瘍マーカーの変化

自家がんワクチン・放射線・抗がん剤のトリオ療法

体の免疫系全体を壊さないピンポイントの放射線治療や、内臓にもほとんど傷害を与えない36Gy以下の低線量の放射線、リンパ球への副作用が少ない少量の抗がん剤療法であれば、自家がんワクチンと同時に、あるいは時差を設けて、併用も可能です。最近では、これらの治療法を併用したトリオ療法は効果的と考えられています。

この治療法により、従来は決して治らないと考えられていた乳がん骨転移巣さえ、消失させることもあるのです。

がんの増殖を抑えることが延命につながる

抗がん剤は一般に強い副作用があるため、繰り返し投与しているうちに毒性が蓄積してきていずれ継続不能となり、止めるとすぐにがんは急速に回復、増殖していきます。

それに対し、一般にがん免疫療法はゆっくり効いてきます。がんの大きさは小さくできなくても、増悪スピードを抑えることができるため、結局は長生きできることを、Madanは概念図で示しています。さらにここに副作用の少ない抗がん剤や放射線治療を併用すれば、もっと長生きさせることができるはずです(図2※)。自家がんワクチン療法も、がんを小さくできる場合もありますが、主にはこのような効果を狙うものです。

図2. がんの治療法と延命効果

※The Oncologist, 2010;15(9):969-75 に掲載されたMadanの概念図に「弱い抗がん剤/放射線 + がん免疫療法」の線を弊社で追加

自家がんワクチンと免疫チェックポイント阻害剤

免疫チェックポイント阻害剤を作用させる前に、手術後に先ずは自家がんワクチンを作用させ、あらかじめキラーリンパ球を活性化しておけば、すばやくがん免疫サイクルをグルグル廻し、一層強力ながん治療効果が得られると期待できます。(図3※)

図3. がん免疫サイクル

※ChenとMellmanの概念図(2013)に、弊社にて「手術 + 自家がんワクチン」の概念を追加

禁忌

自家がんワクチン投与前から、すでに自己免疫疾患があると疑われる場合は、絶対に自家がんワクチンを投与しないで下さい。強い免疫刺激力のため、自己免疫疾患を増悪させる可能性があります。

ご注意

抗がん剤を使用している患者様は、免疫機能が十分にあることを確認してから実施してください。血中のリンパ球数(総白血球数ではありません)がマイクロリットルあたり1000ヶ以上あることが免疫機能の一つの目安となります。ただし、1000ヶは必ずしも厳密な数値ではありません。1000ヶ/ulに満たなくても減少していたリンパ球数が現在回復途上にあるならば、免疫状態は改善しつつあるため自家がんワクチン療法は実施可能です。リンパ球数はどこの病院でも簡単に調べてもらうことができます。最近の研究成果から、自家がんワクチンと抗がん剤を併用した方がかえって良い場合もあることが判ってきています。患者様の主治医によくご相談下さい。自家がんワクチンの投与前から、すでに自己免疫疾患があると疑われる場合は、自家がんワクチンを投与しないで下さい。強い免疫刺激力のため、自己免疫疾患を増悪させる可能性があります。

「もう治療法がありません」となる前に

全国の大きな病院で、「もう治療法がありません」と言われる患者様が多数発生しています。これはもっと正確には、「保険診療だけによる治療法はもうありません」というべきもので、保険外の自費診療ならまだ治療法はあります。

自家がんワクチン療法は、このような保険外自費診療(自由診療)で治療できる方法のうち、重要な選択肢です。

大きな病院とクリニックとの連携

大きな病院では、ほとんど全て保険診療を行っています。国による混合診療禁止規制があるため、保険診療と自由診療は同じ病院で同時に併用することはできません。しかし、大病院の先生も、小さなクリニックや診療所に診察の応援を兼ねてアルバイトに行っています。このとき、病診連携方式で、大学病院・総合病院などで手術を行い、患者様を先生のバイト先の連携クリニックに紹介、そこで自家がんワクチン療法を外来で実施し、フォローアップを再びもとの病院に戻ってもらって行っていくという効果的なスタイルをとれば、同じ大きな病院で診てもらいつつ自家がんワクチン療法を受診したいという患者様のご希望を簡単に実現できるのです。大学教授でさえ、こうして患者様のご希望をかなえている先生がおられます。

関連リンク

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