免疫チェックポイント阻害剤の使い過ぎは禁物、進行腎がんで 最新のがん免疫療法に関するトピックスをご紹介します。

トピックス

免疫チェックポイント阻害剤の使い過ぎは禁物、進行腎がんで

最新の学会から 

腎がんが進行してしまった場合、
(1)分子標的薬か、
(2)mTOR阻害剤が使用されます。
また、重ねて、
(3)免疫チェックポイント阻害剤(ICI)が一次治療
に使われます。

本邦では、
(1)には、ソラフェニブ、スニチニブ、アキシチニブ、パゾパニブ、カボザンチニブが承認済です。
(2)には、エベロリムス、テムシロリムスがあり、
(3)には、ニボルマブ、イピリムマブ、ペムブロリズマブ、アベルマブが使われます。

特に(3)の免疫チェックポイント阻害剤(ICI)は良く効くとされ汎用されますが、ここに落とし穴があることが、米国・ダナファーバーがん研究所から7月3日に報告されました。
(→ 海外がん医療情報リファレンスより7月19日着信)

原報は、Lancet誌の最新号に掲載されています(Ref. 1)。

国際的な第III相臨床試験で、当初のICI治療でも効果なく進行してしまった腎がん症例522例を集め、
. ・カボザンチニブ+最新型のICI(アテゾリズマブ)投与群(n=263)と、
. ・カボザンチニブ単独投与群(n=259)
を比較したところ、
.  無増悪生存期間に差はなく(p=0.78)、
.  全生存期間にも差はなかった、
とのことです。

しかも、カボザンチニブ+アテゾリズマブ投与群の方の毒性レベルが高かったそうです。

この事実は、当初のICI一次治療後に、再度、ICIを繰り返し投与すると、毒性が出てむしろ良くない結果となることを示しています。

弊社では、このような進行腎がん症例には、ICIの重複使用ではなく、「自家がんワクチン療法」を試みていただければ有難いと考えております。

自家がんワクチンには問題となる毒性はありません。

また、ICIのようにキラーリンパ球の活性化を阻害する分子をさらに阻害する(活性化のブレーキをはずす)ものではなく、

むしろ、積極的にキラーリンパ球の活性化を促進する(アクセルを踏む)作用をします。

腎がんでの自家がんワクチン療法有効例は、
https://cell-medicine.com/cases/jingan/
のページの、
.  〔症例1788〕
をご覧ください。

83歳という高齢で、脳転移あり(ステージIV)の進行腎がんだった方で、手術できずに残っていた腎がん原発巣が縮小しています。

Reference

1. Pal SK, et al.
Atezolizumab plus cabozantinib versus cabozantinib monotherapy for patients with renal cell carcinoma after progression with previous immune checkpoint inhibitor treatment (CONTACT-03): a multicentre, randomised, open-label, phase 3 trial.
Lancet, 402(10397):185-195, 2023.

注:弊社は病院やクリニックではなくバイオ企業であるため、症例報告や論文内容のWeb掲載は許容されています。

ご相談は無料です。
お気軽にお問い合わせください。