標準治療を拒否したステージIVのMSI-high型子宮がん:自家がんワクチンで治療成功! 最新のがん免疫療法に関するトピックスをご紹介します。

トピックス

標準治療を拒否したステージIVのMSI-high型子宮がん:自家がんワクチンで治療成功!

最新の学会から 症例のご紹介 

昨年4月に学術論文として国際誌に弊社から投稿していた症例報告が、今週5月28日に、出版受理されました(Ref. 1)。

(新型コロナによる大混乱のせいでしょうか、1807年創業の伝統ある世界的な学術出版社John Wiley & Sonsでも、通常なら3ヶ月もかからない出版可否の審査が1年以上もかかりました。)

症例は、子宮類内膜がんで、子宮全摘、両側卵管卵巣摘除、大網区域切除、骨盤・傍大動脈・後腹膜のリンパ節郭清術を受けたという大手術にもかかわらず、
術後5ヶ月で、左右の肺に9ヶ所もの多発転移を起こしていた上、傍大動脈リンパ節転移も検出されたというステージIVの方です。

しかも、この方の血中にはマイクロサテライト不安定性が高いMSI-high型がん細胞が検出されており、
そのがん細胞には抗がん剤(カルボプラチン、ドセタキセル)が効くことが示されていたにもかかわらず、
この方は、

標準治療(抗がん剤、免疫チェックポイント阻害剤の投与) を断固拒否

「自家がんワクチン療法のみ」を選ばれました。

2020年11月より、自家がんワクチン1コース(3回接種)を受診した結果、2020年12月には、CT画像上、肺転移巣9ヶ所の腫瘍サイズが全て半減以下となり、うち1ヶ所は消失していました。

(→ この点から、この患者様には、「自家がんワクチンは単独療法で効いた」ことがわかります。
.   画像と論文は、こちらのページ → https://cell-medicine.com/cases/shikyugan/
.    の〔症例3470〕の項に掲載してあります。)

しかし、どいうわけか、その後の12月中に、患者様は地元の大手病院で抗がん剤治療を施行されました。

頭痛・背部痛、下肢浮腫、頻尿、便秘・下痢、倦怠感・労作時呼吸困難、上肢痛み、不眠、貧血進行という典型的な有害事象(副作用)が集中的に起こったため、

1回の点滴だけで標準治療を中止、自家がんワクチン療法2コース目(この時は2回接種のみ)に戻りました。

2021年2月に2コース目の接種は完了しましたが、自家がんワクチンによる有害事象は軽い皮膚反応のみでした。

その後の肺のCT画像、及び傍大動脈リンパ節のPET-CT画像では、すべての転移巣が消失、2022年2月時点で明らかな再発転移はなく、同年6月に至ってもPET-CTで再発転移は認められていない。

一方、免疫チェックポイント阻害剤ペンブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)は、

MSI-high型の固形がんに対してならば、“がんの種類にかかわらず”使える保険薬として国の承認を得ています。

MSI-high型のがん細胞は、専門用語でいう腫瘍遺伝子変異量(tumor mutation burden)が多く、がんの目印となるネオアンチゲンを多く持つため、免疫反応を惹起しやすいと考えられています。

今回の治療成功例から、キイトルーダの作用を踏まえれば、

MSI-high型の固形がんに対しては、“がんの種類にかかわらず”「自家がんワクチンは効く」 と予想できます。

キイトルーダは、免疫チェックポイント阻害剤ですから、体内のがん免疫反応の邪魔をする分子を邪魔する、
すなわち、がん免疫反応のブレーキをはずす作用をして、
「間接的に」がん免疫反応の主役・キラーT細胞を活性化します。

一方で、自家がんワクチンは、体内で
「直接的に」がん免疫反応の主役・キラーT細胞を活性化するアクセルの役をはたします。

キイトルーダも自家がんワクチンも、ともにキラーT細胞の活性化を通じてがん細胞を殺しますから、
“自家がんワクチンもMSI-high型の固形がんに対しては、キイトルーダと同じように作用する”
と考えられるのです。

ただし、キイトルーダには、自己免疫疾患様の(運が悪ければ命にかかわる)かなり怖い副作用があります。

しかし、自家がんワクチンにはこのような問題となる重篤な副作用はありません。非常に安全です。

患者様のがん細胞が、MSI-high型か否か、については、主治医の先生を通じて民間の検査会社に発注すれば簡単に分かります。

どうか、キイトルーダの治療を受ける前に、別種のがん免疫療法として、自家がんワクチン療法をご検討ください。

なお、今回の症例報告のように、国際誌に掲載される学術論文として出版されることは、

そこに掲載される がん免疫療法=「自家がんワクチン療法」 には、高い価値があると海外の専門家も認めたことを意味します。

弊社では、ときたま、患者様から、
「さまざまながん免疫療法がネット検索で出てくるが、いったい、どれがいいのか?」
と質問を受けることがあります。

それには、
「自院で(又は自社で)英語で書いた学術論文がそのホームページに掲載されているか否かで判断して下さい」
と弊社ではお答えしています。

国際誌に掲載された学術論文の有無は、まさにそのがん免疫療法の価値を現すバロメーターなのです。

ご参考にしていただければ幸いです。

Reference

1. Katsuhiko Fukuda1 and Tadao Ohno2,
(1 福田内科クリニック、2 セルメディシン株式会社)
Successful monotherapy with autologous formalin-fixed tumor vaccine for a stage IV uterine cancer patient rejecting rational chemotherapy and immune checkpoint inhibitor treatment.
Clinical Case Reports, in press, 2023

注:弊社は病院やクリニックではなくバイオ企業であるため、症例報告や論文内容のWeb掲載は許容されています。
監督官庁の確認を得ており、医療広告ガイドライン違反ではありません。

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