昨日(2017年6月15日)発信の【日経バイオテクONLINE Vol.2703】で、「白血病の一種である多発性骨髄腫に対する、免疫チェックポイント阻害薬キイトルーダと既存の他剤(抗がん剤とステロイド剤)を併用した2つの治験(KEYNOTE-183、KEYNOTE-185)において、他剤のみ投与の対照群に比べて、キイトルーダ併用群で死亡例が多いのではないかという指摘を受け、2つの治験とも、新規患者登録を一時ストップした」と報じられました。
多発性骨髄腫は、血液細胞の1つである「形質細胞(けいしつさいぼう)」のがんです。白血球の一種であるB細胞から分かれてできる細胞で正常ならば「抗体」をつくる働きをもっていますが、がん化して骨髄腫細胞になると、貧血による息切れ・だるさや、白血球減少に伴う感染症、血小板減少による出血傾向などが症状として出てくる多発性骨髄腫を発症します。
KEYNOTE-183試験は、
・「キイトルーダ+ポマリドミド(商品名ポマリスト、イムノビッド)
+低用量デキサメサゾン」併用群と
・「ポマリドミド+低用量デキサメサゾン」対照群
とのPhase III比較試験です。
KEYNOTE-185試験は、
・「キイトルーダ+レナリドミド(商品名はレブラミド)
+低用量デキサメサゾン」併用群と
・「レナリドミド+低用量デキサメサゾン」対照群
とのPhase III比較試験です。
ここで使用されていた既存の抗がん剤ポマリドミド、レナリドミドは、副作用で世界的大問題となったサリドマイドがもとになっている誘導体で、いずれも白血病治療では高い奏効率を示すことが知られているものです。
この既存の抗がん剤治療で無効になったまたは再発した多発性骨髄腫症例が今回の治験の対象でしたが、キイトルーダは既存の抗がん剤とともに副作用面を増強してしまうのではないか、という疑念が生じたというわけです。
このような、それぞれの薬剤だけよりも一層の治療効果を期待する 「新薬+既存薬」の組み合わせ治験は頻繁に行われますが、逆に治療効果の増強よりも副作用の増強が前面にでてくることもままあります。
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それに引き替え、弊社の「自家がんワクチン」療法では、キイトルーダと併用しても副作用が強化されることなく、むしろ、「治療効果」が明瞭に強化されたという症例が出ています。
こちらのページ
→ https://cell-medicine.com/cases/48
の、
〔症例2329〕 (銀座並木通りクリニック) です。
子宮頸部小細胞がんで、予後不良と考えられ、これまでに確立した治
療法がない(日本癌治療学会、子宮頸がん治療ガイドライン)、という
難治がんながら、非常に良く効いています。
その上、治療による副作用は認められませんでした。
この症例は、多発転移があるステージIVの方で、しかもキチンとした学術論文(Ref. 1)として発表されています。
Reference
1. Tatsu Miyoshi, Tatsuji Kataoka, Atsuko Asahi, Takashi Maruyama, Rika Okada, Yoji Uemae, and Tadao Ohno.
A transient increase and subsequent sharp decrease of chemo-refractory liver-metastasized uterine cervical small cell carcinoma to autologous formalin-?xed tumor vaccine plus anti-PD-1 antibody.
Clinical Case Reports 2016; 4(7): 687-691.