案の定、抗炎症ステロイド剤はがん免疫療法の敵だった 最新のがん免疫療法に関するトピックスをご紹介します。

トピックス

案の定、抗炎症ステロイド剤はがん免疫療法の敵だった

最新の学会から 

これまでこのメールニュースで中心的にご紹介して参りました自家がんワクチン療法は、細胞性免疫反応を主に刺激するがん免疫療法ですから、主役となるリンパ球、特にその中のT細胞の活性を阻害する薬剤とは、仲が良かろうはずがありません。

その意味では、リンパ球にも強い細胞増殖阻害作用を示す低分子抗がん剤だけではなく、T細胞活性を強く阻害するステロイド剤も、実に煙たい存在で、自家がんワクチンとの同時併用は避けて下さい、と医療関係者にはご案内して参りました。

ヒトのステロイドで、グルココルチコイド(糖質コルチコイド)のうち、ストレスホルモンといわれるコルチゾール(ハイドロコーチゾンともいわれる)の血中濃度は、通常、20~200 mcg/L程度です(モル濃度では、5x10^-7~5×10^-8 mole/L)(Ref. 1)。

それが、副腎不全患者にコルチゾール補充療法を行う際、1回15mgを投与すると、最高で300 mcg/Lに血中濃度が上昇します。コルチゾールの半減時間は8-12時間とされていますから、血中濃度が減少しつつも、10時間は継続的に作用します。

医薬品としての抗炎症ステロイド剤は、コルチゾール作用を強化し継続的に作用するようにしたものです。

例えば、デキサメサゾンは、抗炎症作用の強さではコルチゾールの25倍、半減期は5倍以上も長いため、体内での作用は単純累積では約125倍も強くなる計算となります。

抗炎症作用の実態は、少なくとも、免疫担当細胞が産生する種々のサイトカインによる炎症反応を抑え込むところにあり、これが薬理作用といわれる本態です(Ref. 2)。

がん患者では、病態によりけりとはいえ、炎症反応があるとき(例えば強い浮腫などのとき)、ステロイド剤が処方されることがありますが、狭い範囲の炎症局所に限定された投与だけならともかく、もし全身性に投与された場合は、リンパ球の各種機能が抑え込まれ、がん免疫反応にとっては大きな阻害要因となると予想されてきました。

案の定、今回、肺がんの後ろ向き研究で、これが事実として証明されてしまいました。

先月の米国臨床腫瘍学会(ASCO)からのニュース(2019.6.28)で、
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“a retrospective analysis showed” that “patients who received corticosteroids for palliative reasons drove an overall negative impact of steroids on immunotherapy for advanced non-small cell lung cancer (NSCLC).”

後ろ向き解析で、進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対する免疫療法に対し、緩和的な理由によりステロイド剤(corticosteroids)治療を受けた患者では、全体としてネガティブなインパクトがあった。
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と報じられています(原著論文はRef. 3)。

原著論文では、1日あたり10mg以上のプレドニゾン投与では有意に予後成績不良となることが示されています。

がん治療における免疫反応の役割は、益々重視されて来ている昨今にあって、抗炎症ステロイド剤のマイナスの影響は無視できないものであることを、改めて認識していただければ幸いです。

References

1. 大月道夫、V.副腎ホルモン補充療法 1.補充療法に用いられる合成ステロイドホルモン、日本内科学会雑誌97:766~771,2008.

2.市川陽一、第1回 いまさら聞けないステロイドの薬効薬理、関節リウマチステロイド療法の基礎、日本リウマチ財団ニュース、No.103, 2010年11月号。
https://www.rheuma-net.or.jp/rheuma/rm220/pdf/news103.pdf

3.Ricciuti B, et al. Immune Checkpoint Inhibitor Outcomes for Patients With Non?Small-Cell Lung Cancer Receiving Baseline Corticosteroids for Palliative Versus Nonpalliative Indications.
J. Clin Oncol 2019. https://doi.org/10.1200/JCO.19.00189

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