脳腫瘍では手術前の元気さが予後に影響します:臨床データを見直してみると 最新のがん免疫療法に関するトピックスをご紹介します。

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脳腫瘍では手術前の元気さが予後に影響します:臨床データを見直してみると

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がん患者さんのがんの進行度を表す指標に、ステージ分類があります。
ステージ0期からIV期まで5段階あり、ステージIVがもっとも進行している(悪化した)状態です。

また、がん患者さんの元気さを表す指標に、パーフォーマンスステータス(Performance Status:PS)
というものがあり、PS 0, PS 1, PS 2, PS 3, PS 4, PS 5 の5段階に分けられています。

これに対して、脳腫瘍の患者さんでは、手術前の全身状態(元気さ)を表す指標に「KPS」というものが良
く使われます。

これは、カルノフスキーパーフォーマンスステータス(Karnofsky Performance Status, KPS)のことで、
100~0のスコアで表します(慣用で%で表すこともあります)。

KPSは100%が正常状態です。

KPSについて、わかりやすい解説は、
→ https://oncolo.jp/dictionary/kps
にあります。もちろん、KPSは他のがん種でも元気さの指標として使えます。

そして、脳腫瘍のうちの膠芽腫では、初めて診断されてから初回の手術を受ける直前のKPSが、
70% と 60%
では、
「自家がんワクチン」の投与を受けたとき、

70%の患者さんの方が60%の患者さんよりも、
生存期間中央値で、2倍以上(!)
も長生きできることがわかっています(Ref. 1)。

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実はこの話題、2018年7月17日のセルメディシンニュースNo.346
「元気なうちこそ自家がんワクチンを:KPSと臨床試験結果の関係」
で一度取り上げています。

このときの生存期間中央値のデータは、弊社ホームページに掲載してあります。
→  こちらです

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さらにこの試験では、論文発表後に、予後のフォローアップ調査が行われています。

特に、一般的治験では、治験に参加した症例群の元気さを表すKPS値が70%以上であることが多いことから、
それに合わせた再解析を行いました。

その結果が、以下の数値です。

#######

その前に、先ずは、
KPSでいう70%と60%はどんなものでしょうか?

70%では、
「自分自身の世話はできるが、正常の活動・労働するこ
とは不可能」

60%では、
「自分に必要なことはできるが、ときどき介助が必要」

と定義されています。

自分自身に必要なことができていても、“ときどき介助が必要か否か”という、元気さの差しかありません。

しかし、この差でわけた場合、標準療法に自家がんワクチン療法を上乗せして受けた膠芽腫の患者さんの
3年生存率を改めて見直してみましたところ、

#######

(( 既に発表してありますように、手術前のKPSで分けていない全体の患者さん(24例)では、
.   3年生存率 = 38%
でしたが、これをKPS値で2つの群にわけたときは、))

#######

手術前のKPS 70%以上の患者さん群(18例)では、

.   3年生存率 = 54%

になりました。一方で、

手術前のKPS 60%の患者さん群(6例)では、

.   3年生存率 = 0%

だったのです(最長の生存期間は35ヶ月でした)。

#######

今回の見直し臨床データで、KPSで分けた場合を示す生存曲線(カプランマイヤーカーブといいます)は、
→ こちらのページ
の最下段の「図6」として、この度新たに公開しました。ここにも再録しておきます。6

「図6」に示した自家がんワクチン群の試験(UMIN1426)では、術前KPS 60%以上の方が試験に参加できるという条件でしたから、より具合の悪いKPS 50%以下の患者さんは、もともと参加対象から除外されています。

また、海外で実施されている臨床試験では、術前KPSが60%でも除外するのが普通で、参加者のKPSは70%以上
にセットされます。

本邦で、膠芽腫の治療用に承認されている保険適応の機器を使用した、国の承認の根拠となった国際的な検証的試験(治験)でも、治験参加条件がKPS 70%以上に指定されています(Ref. 2、日常生活がおおよそ一人でできる初発膠芽腫の患者さん)。

そこで、こちらのページの「図4、5」と「図6」の、36ヶ月時点にご注目下さい。

・術前KPS 60%以上の方では、3年生存率は、38% 「図4、5」
でしたが、

・術前KPS 70%以上に絞り込むと、3年生存率は、54% 「図6」
となりました。

欧米で実施された治験について発表されている論文から拾い出した3年生存率は、「図6」の中の
星印(
で示されています。良くても25%程度しかありません。

これらの結果は、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
膠芽腫では、腫瘍の塊の端から正常の脳内に深く浸み込むように、腫瘍細胞が広がっていきますが、

・術前に「ときどき介助が必要」なKPS 60%レベルまで脳が腫瘍細胞に侵されますと、標準治療に自家がん
ワクチン療法を上乗せしても、救命が非常に難しくなってしまうこと、

・「ときどき介助が必要」なレベルになる前に、遅くともKPS 70%レベルのうちに、極力早く腫瘍細胞を手
術で取り除いてしまわないといけないこと、

・そのため、MRI画像診断などで、膠芽腫らしいとわかったら、直ちに手術が必要になること、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
を示唆しています。

そして、仮に術前KPS 60%の患者さんだけを対象にした場合、もし、新たな膠芽腫治療法が有効だと治験で証明できるならば、その新治療法は非常に価値が高いものとなることを示しています。

弊社としては、脳腫瘍治療に際して、標準治療に上乗せして自家がんワクチン療法を採用していただければたいへん有難く存じます。

また、読者の皆様の近辺に、もし膠芽腫かもしれないという患者さん(候補)が出現されましたら、直ちに脳神経外科がある病院(できれば、最新の設備が整っている大学病院)に駆け込めるように手配されることをお勧めします。

Reference

1. Ishikawa E, et al. Phase I/IIa trial of fractionated radiotherapy, temozolomide, and autologous formalin-fixed tumor vaccine for newly diagnosed glioblastoma.
J Neurosurgery 2014 Sep;121(3):543-53. Epub 2014 Jul 4.

2. https://www.novocure.co.jp/download/files/Patients_Brochure.pdf

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