2021年のASCO(米国癌治療学会)は、新型コロナの影響があって、バーチャルで6/4~6/8に開催されました。
その中で、ASCO会長がわざわざ「実は意味がなかった」との見解を発表しています。
(抗がん剤治療は化学療法とも言われます)
これを報じた本邦の、
. 「海外がん医療情報リファレンス」(6月16日版)
→ https://www.cancerit.jp/69427.html
では、
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標準的な化学放射線療法実施後に化学療法を追加しても、局所進行子宮頸がん患者の生存率は改善せず、副作用が増加することが第3相国際共同試験の結果より明らかになった。
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としています。
局所進行子宮頸がん(主にIIA2期からIVA期)では、(手術される場合も多いですがその後の)標準治療は、抗がん剤治療と放射線療法を同時に実施する「化学放射線療法」となっています。
それでも再発・転移が多いと予想される高リスク群に対しては、「化学放射線療法」後に、さらに抗がん剤の追加療法が行われます。
いわば、“念のため”の追加抗がん剤治療です。
この時に使用される抗がん剤は、がん再発を強く抑制しようという意図で使われますから、カルボプラチン、パクリタキセルのような“毒薬”“劇薬”です。
当然ながら副作用も頻発します。
実は、この追加抗がん剤治療が意味があるかないかは、長らく問題だとされてきました。
今回、ASCOで発表された第3相国際共同試験は、919人もの患者を対象にした大規模臨床試験でした。
その結果は、
. ● 5年後の全生存率は、化学療法を追加した群と
. 化学放射線療法のみの群でそれぞれ72%および
. 71%であり、両治療群で同程度であった。
. ● 再発が認められなかった患者の割合は、化学療
. 法を追加した群では63%、化学放射線療法のみ
. の群では61%であり、疾患再発状況は両治療群
. で同様であった。
. ● 割付後1年までに発現した重篤な有害事象(グレ
. ード3~5)の発現割合は、化学療法を追加した
. 群で81%、標準治療のみの群で62%であった。
でした。
何のことはない、追加の抗がん剤治療を受けた方は、単にひどい副作用(グレード3~5の重篤な有害事象)の犠牲になっただけだったのです。
このような“念のため”の追加抗がん剤治療は、本邦でも、また他のがん種でも(例えば、胃がんで胃を全摘した後など)、臨床現場では多々行われています。
意味がなく、患者さんを苦しめるだけの追加抗がん剤治療は、直ちに中止すべきだと、今回のASCOの発表は示しています。
このセルメディシンニュースの読者の中で、あるいはお知り合いで、このような意味のない抗がん剤治療に苦しめられている方はおられませんか?
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