海外がん医療情報リファレンス・ダイジェスト—2021.9.1発行版—の中に、
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◆FDAがMMR機能欠損がある固形がんにdostarlimabを迅速承認
[米国食品医薬品局(FDA) 2021年8月24日]
2021年8月17日、米国食品医薬品局(FDA)は、治療中または治療後に進行し、満足のいく代替治療の選択肢がない、FDAが承認した検査で判定されるミスマッチ修復欠損(dMMR)がある再発または進行固形がんを有する成人患者を対象に、[ドスタルリマブ]を迅速承認した。
(詳細を読む↓)
https://www.cancerit.jp/69904.html
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との記事が掲載されておりました。
[ドスタルリマブ]は抗PD-1抗体で、オプジーボやキイトルーダと同様に、免疫チェックポイント阻害剤として作用します。
この記事中にある
「ミスマッチ修復欠損(dMMR)がある再発または進行固形がん」がどのがんに当たるかを調べてみますと、
日本癌治療学会がん診療ガイドライン の
「II dMMR」の項では、ミスマッチ修復欠損(dMMR)に関連して、
32種類の固形がん,12,019例を対象とした頻度が高かった11のがん種の合計で,MSI-HはStageⅠ-Ⅲで約10%,Stage Ⅳで約5%に認められている(図2-1)。
と紹介されています。
MSI-Hとは、少し面倒でも以下をお読み願います。
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ヒトの細胞でも、DNAの複製の際に複製が不正確で塩基配列の間違いが結構起こりますが、それを修復する機能も備えています。
ところが、がん細胞では、この修復機能がおかしくなった細胞が頻繁に登場します。
DNA中の塩基のペアが狂ってミスマッチが起こっているところを本来なら正常なペアに修復できるのですが、それがおかしくなっていて修復機能欠損を抱えたまま細胞増殖しているため、ますます狂った細胞になっていくのです。
特に遺伝子の塩基配列中のマイクロサテライトと言われる反復配列(DNAの中で数塩基の短い塩基配列が繰り返す部位)が正常細胞とは異なる反復回数を示す割合が高いものを、マイクロサテライトが不安定だと判定し、
microsatelite instbility – high (MSI-H)
と表します。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
上記の「II dMMR」の項の(図2-1)中のずらりと並んだがん種は、MSI-Hの割合が高い順に、
子宮内膜がん、胃がん、小腸がん、大腸がん、子宮頸がん、神経内分泌腫瘍、肝細胞がん、前立腺がん、胆管がん、子宮肉腫、甲状腺がん、(下略、まだ13種もある)
となっています。
今回、米国FDAが承認した[ドスタルリマブ]は、MSI-Hがあるがん細胞なら、がん種を問わず、(再発または進行固形がんという制限はかかっていますが)、使ってよいというわけです。
この承認は、従来の抗がん剤の承認の方式とは全く違います。
従来は、どのがんにも効くはずだと予想される細胞毒である低分子抗がん剤や、最初の免疫チェックポイント阻害剤だったオプジーボでさえも、肺がんや胃がんなど、一つひとつのがん種ごとに、その薬が有効であることを証明しなければ承認されませんでした。
しかも、有効性を証明したがん種だけに使用が許可されてきたのです。
これは欧米だけではなく、本邦でも同じです。
しかし今回の[ドスタルリマブ]は、一挙にこの壁を破り、MSI-Hがあるがん細胞ならがん種にかかわらず使ってよいというわけですから、画期的です。
既に今年6月17日発信のセルメディシンニュースNo. 452で、
「KRAS阻害剤が米国で承認:「がん種を問わず」遺伝子変異の有無次第で承認薬が使える時代へ」
と報じましたが、
今回の場合でも、
「作用する標的分子(PD-1)が同じなら、特定の分子標的薬(抗PD-1抗体)が、がんの種類を問わず効くであろうという(がん種横断的分子標的薬の)考え方」
が採用されたのです。
本邦でも、がん種にこだわり、一つひとつのがん種ごとに有効性を証明しなければその新薬を承認しない、という固陋の時代がまもなく終焉を迎えると予想されます。
その意味からすれば、弊社の自家がんワクチンは、
「作用する標的となる体内のがん細胞が、ワクチン内のがん抗原と同じものを発現しているなら、それで活性化されたキラーリンパ球が、がんワクチン中の抗原がん細胞と、体内の残存がん細胞が同じである限り、がんの種類を問わず効くであろうという考え方」
により開発されていますので、がん種を気にすることなく効くはずだと期待できます。
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