症例報告論文執筆のすすめ 最新のがん免疫療法に関するトピックスをご紹介します。

トピックス

症例報告論文執筆のすすめ

症例のご紹介 

. 科学の世界では、何等かの発見・発明等の現象は、必ず記録/文献として残すことが必須とされています。

例えば、素晴らしい結果をもたらした実験であっても、キチンとした原記録とそれに基づいた論文が発表されていない場合は、その実験は実際に行われたことがないものとして扱われ、その後に実際に実験を行い文献として残した者が、最初の発見者・発明者として認知され、歴史に残ります。

記録/文献として残すことは、
ドキュメンテーション(文書化)
として、学術研究の一つの重要なステップなのです。

医学の世界でも同様に、日常診療の中で、それ以前には見たこともない驚愕するような症例に遭遇することがあるはずです。

その症例について文書化すれば、それは症例報告論文として、他の医師から参照されるようになります。
特に、英文で書いておけば、世界中の医師が参照できる機会を提供することになります。

一例を挙げれば、
https://cell-medicine.com/cases/nyugan/
にある
. 乳がん骨転移が治癒した例
. 〔症例0406〕 (因島医師会病院)
は、

. セルメディシンニュースNo.196
.     (2013.12.20)

にて紹介しましたように、「発表した症例報告論文が、半年で1813アクセスを達成したとの連絡がありました」。2013年当時の症例報告論文としては、非常に高く評価されたことを示しています。

(こちらにその記事を掲載してあります。)
→ 乳がん骨転移症例報告論文の閲覧件数 

確かに、PubMedという学術論文の専門検索サイトで「 eradication bone metastasis 」で検索すると、2013年12月20日時点で、45論文のトップにこの論文が最新論文として出てきていましたが、

約8年後の現在(2021年11月17日)でも、167論文の14番目に登場します。

それだけ、世界中の医師・研究者がこの症例報告論文を参照していることを示しています。

症例報告論文は、「医学部の大学院生が最初に書く」のが相場だとされていますが、症例報告の積み重ねが将来の大規模臨床試験の基礎となるために、実際に論文とするのはかなりハードルが高いものです。その時の指導教員の実力がストレートに反映されます。

例えば、症例報告専門ジャーナルとして評価が高い、

.   Clinical Case Reports
. (出版社は世界でも大手のWiley社)

は、インパクトファクターが、2020-2021年で0.532ですが、覆面審査員による査読方針として以下の7つのキーポイントを掲げています。

あえて和訳はいたしませんが、ぜひご一読いただければ、このニュースの筆者としては有難く存じます。

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https://onlinelibrary.wiley.com/page/journal/20500904/homepage/peer_review_guidance.htm

How to peer review for Clinical Case Reports

When you review a submission for Clinical Case Reports please remember our mission “…is to use clinical case reports to disseminate best clinical practice, to examine important common as well as uncommon clinical scenarios, and to illustrate and inform the use of important clinical guidelines and systematic reviews.”

With this mission in mind, the 7 key decisions we need your advice on are:

1. Is the report well written?
[Is it easily understandable and does it make sense?]

2. Is the report important?
[Does it describe an important common or uncommon clinical situation?]

3. Is the teaching point practical?
[Does it describe a process or intervention that others could reasonably use if they wanted to?]

4. Is the teaching point generalisable?
[Does it describe a situation, process, or intervention which may be replicated in other clinical settings?]

5. Does the report include a Key Clinical Message?
[This should succinctly summarise the one take-home message the authors would like readers to remember after reading their report. The entire report should be built around this clinical message.]

6. Is the correct international standard of units (SI units) used throughout the report?
[Does it correctly use SI units for all measurements? Note: All direct submissions must use SI units for measurements. If the report is a transfer from a support journal, the author may follow the style of the original journal and necessary changes will be made during typesetting.]

7. Should we publish the report?
[This is your overview taking into account decisions 1 – 5 above.]

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注:弊社は病院やクリニックではなくバイオ企業であるため、症例報告や論文内容のWeb掲載は許容されています。

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