がん治療における「標準治療」とは、“がん情報サービス”の定義では、
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「科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者 さんに行われることが推奨される治療をいいます。」
→ https://ganjoho.jp/public/qa_links/dictionary/dic01/modal/hyojunchiryo.html
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となっています。
これをがんの化学療法に当てはめてみたとき、ある抗がん剤の投与量についても、推奨されている投与量をキチンと守るのが最良の治療となると解釈されます。
しかし、この点を守らず、患者一人一人の状況を考えて投与量を大幅に減量した場合、そのような処方をした医師に対して、本邦では、あたかもインチキ療法のごとく指弾する別の医師がいます。
ところが、世界のがん治療法開発の総本山とされている米国臨床腫瘍学会(ASCO)の会員で、乳がん、消化器がん、がん一般を受け持つ医師を対象にした調査 では、このほど意外なことが分かりました(Ref. 1)。
この調査ではASCO会員3,099名を対象にしましたが、 回答があったのは367名(12%)でした。
そのうち、56.6%の先生方が初回抗がん剤投与のときに、毒性低減のため、投与量を減量していたとのこ とです。
特に消化器がん専門医では70%の医師が減量しており、乳がん専門医(50.7%)やがん一般治療医(49.6 %)に比べて有意差があった(p=0.005)ことが判明しました。
ということは、米国のがん治療医の方が柔軟にがん患者さんの診療に当たっていることを示しています。
がん化学療法で、標準的な抗がん剤投与量を墨守すべしという、本邦の一部のコチコチのこだわり意見に対し、今回の調査結果が何を物語っているかは明白と思われます。
Reference
1. Jimenez RB, et al. Oncologists’ Perspectives on Individualizing Dose Selection for Patients With Metastatic Cancer. JCO Oncology Practice, 2022, https://doi.org/10.1200/OP.22.00427
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