胃がん、大腸がん、膵臓がん等で、肝転移が見つかった場合は、予後が非常に厳しくなることは、臨床現場では良く経験することです。また、消化器がんだけではなく、肺がんや乳がん等でも肝転移後の厳しさを同じように経験します。
(注)医師間では、肝転移が見つかると従来型の抗がん剤による標準治療では、やがてどうしようもなくなることが多いため、患者さんにははっきり言えなくても、根治を望むのを諦めてしまうというのが臨床現場の実態だといわれています。
では、何故なのか、そして肝転移をどう治療していけばよいのかについては、意外にも医師間でコンセンサスが得られていませんでした。
本邦では、ひたすら標準治療に頼りっぱなしとなるか、それがダメになったらすぐさま緩和ケアへ送り出すというのが現状ではないでしょうか。
すこし古くなりましたが、nature medicine誌に2021年1月4日付で注目すべき論文が発表されています(Ref. 1)。
ミシガン大外科のM. D. GreenとW. Zouのグループは、メラノーマの臨床データで、免疫チェックポイント阻害剤による免疫療法症例で、がんの肝転移がある場合と肝以外(肺、脳、その他)に転移がある場合の全生存期間(OS)を比較し、
・肝転移がある患者(n=64)では、
・他部位に転移がある患者(n=118)に比べ、
明らかにOSが短い(長生きできない)ことを見出しました(p<0.0001)。
この傾向は、非小細胞肺がんの肝転移例と別部位に遠隔転移がある症例を比べても同じでした(p<0.0001)。
この結果をマウス実験に移し、大腸がん(MC38細胞)、メラノーマ(B16F10細胞)、膵がん(KPC2細胞)を用いた肝転移モデルでも、皮下転移モデルに比べて免疫チェックポイント阻害剤(*)が効かなくなることを観察、動物実験系で臨床データの再現性があることを確認しています。
(*)臨床用には、オプジーボ、キイトルーダ、テセントリク等、多数の種類が実用化されています。
この原因が、肝臓内のマクロファージ(FasL+CD11b+F4/80+ monocyte由来)が、肝臓内の活性化したキラーT細胞(Fas+CD8+ T)のアポトーシス(自然死)を誘導して排除してしまうこと、全身から肝臓にやってくるキラーT細胞もどんどん死なせていくため、
結果的に体内全体で、
“免疫砂漠”状態
を生じさせてしまうことを証明しています。
その上で、肝臓に対して低線量放射線照射(※)すると、肝臓内のマクロファージが減少、キラーT細胞が増え、免疫チェックポイント阻害剤が有効となることを示しています。
(※)マウス肝臓には8Gyの単発照射です。この線量だけでは、肝内移植がんを根治させるパワーはなく、がんのサイズを若干縮小させるだけです。治すためには、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD-L1抗体)の併用が必要です。
つまり、免疫チェックポイント阻害剤による
. “イムノセラピー”
と、低線量放射線治療による
. “ラジオセラピー”
を組み合わせた
. “イムラジ”
が、がんの肝転移巣の治療には有効であるという科学的根拠を示したわけです。
☆彡☆彡☆彡
さて、ここで臨床で肝転移巣の治療を行う場合にあてはめてみると、ヒトのがん肝転移巣はマウスモデルでの肝移植がんよりはどうしても大型になりますので、マウスと同じ8Gyの単発照射では線量として不十分かもしれません。
この点は、実際に放射線照射を行う放射線科の専門医と相談されるのが良いでしょう。
体幹部にある肝臓には、35Gyまでの放射線線量であれば、副作用も問題にならず、一般的には安全だとされています。
しかし、転移がんの状態や個人差がありますので、放射線治療の専門医による診察が必要だと思います。
また、既に周知されているように、免疫チェックポイント阻害剤は、キラーT細胞による殺がん細胞作用にかかるブレーキをはずす作用をしますが、直接、キラーT細胞による殺がん細胞作用のアクセルを踏むものではありません。
さらに、頻度は少ないとはいえ、免疫チェックポイント阻害剤は危険な自己免疫疾患様の強い副作用をひき起すことがあります。
それに引きかえ、弊社の「自家がんワクチン」は、手術で採り出した患者さん自身のがん組織をホルマリン固定しパラフィンブロックにしたものを加工、がん抗原にして注射しますので、体内でキラーT細胞を増やします。それが積極的にがん細胞を殺しますが正常細胞には何もしないという、殺がん作用のアクセルを踏む役割を果たします。
しかも、これまでに3600例以上の治療経験がありますが、免疫チェックポイント阻害剤のような強い副作用はありません。
そこで、弊社では、
〇 がんの肝転移があるために「自家がんワクチン」療法を希望される患者様には、
〇 「自家がんワクチン」療法が受けられる弊社の提携医療機関の先生と相談の上で、
〇 肝臓に対して副作用が問題にならない低線量の放射線治療を併用されること、
をお勧めします。
なお、放射線科の専門医の診察と治療を受けるためには、弊社の提携医療機関の先生からの紹介状があれば、スム―スに診療を受けられます。
しかも、放射線治療では、健康保険が使える場合が多くあります。
弊社の提携医療機関の自由診療で「自家がんワクチン」療法を受けても、そことは異なる他院で、健康保険による保険診療で放射線治療を受けるのであれば、禁止されている“混合診療”とはなりませんのでご安心下さい。
少なくとも関東地区で、高度の放射線治療を受けられる高精度放射線治療装置(サイバーナイフ、トモセラピー装置等、1台数億円もする高額機器ですので、どこにでもあるものではありません)がある病院で、かつ、「自家がんワクチン」療法にもご理解がある放射線科の専門医がいる病院は、以下のとおりです。
(1)〒133-0052 東京都江戸川区東小岩2丁目24-18
. 社会福祉法人 仁生社 江戸川病院
. 放射線治療科(東京江戸川がんセンター)
. 部長 黒崎弘正先生
. TEL:03-3673-1221(医療関係者代表向け)
. ここは、複数ヶ所のがんを一度に放射線照射できる高精度放射線治療(IMRT:強度変調放射線治療)のためのトモセラピー装置を3台設置、MRIガイド下の放射線治療も可能、夜間10時まで治療、入院も可能にしています。自家がんワクチン療法を行う先生方からの紹介を受け付けています。
(2)〒300-1232 茨城県牛久市上柏田4-58-1
. 社会医療法人 若竹会 つくばセントラル病院
. 高精度放射線治療センター長・腫瘍センター長
. 坪井康次先生
. TEL:029-872-1771(病院代表)
. ここは、複数ヶ所のがんを一度に放射線照射できる高精度放射線治療のためのトモセラピー装置の最新版「ラディザクト」を2022年10月に導入、がんをピンポイントで照射できるサイバーナイフも10年以上稼働しています。自家がんワクチン療法は、隣にあるセントラル総合クリニック(TEL:029-875-3511)にて受診できます。
(3)〒321-0112 栃木県宇都宮市屋板町561-3
. 医療法人DIC 宇都宮セントラルクリニック
. 理事・放射線科医 佐藤俊彦先生
. TEL:028-657-7300(代表)
. ここは、2018年から放射線治療センターを開設、サイバーナイフとトモセラピー装置が稼働しています。放射線治療を希望される患者さんの紹介を受け付けています。がん免疫療法としては、自家がんワクチン療法だけではなく、免疫細胞療法も行っています。
☆彡☆彡☆彡
References
1. Yu J, et al.
Liver metastasis restrains immunotherapy efficacy via macrophage-mediated T cell elimination.
Nat Med. 2021;27:152-164.
doi: 10.1038/s41591-020-1131-x. Epub 2021 Jan 4.
(この論文には、以下のように6本ものコメントが出されています。如何に世界中の専門家が驚いたかを反映しています。)
・Liver metastases inhibit immunotherapy efficacy.
Lindblad KE, Lujambio A.
Nat Med. 2021 Jan;27(1):25-27. doi: 10.1038/s41591-020-01190-9.
・Liver metastases siphon T cells and blunt immunotherapy responses.
Dickson I.
Nat Rev Gastroenterol Hepatol. 2021 Mar;18(3):150. doi: 10.1038/s41575-021-00421-9.
・Liver metastases cultivate an immune desert.
O’Leary K.
Nat Rev Cancer. 2021 Mar;21(3):143. doi: 10.1038/s41568-021-00338-0.
・Liver Metastasis Irradiation Can Restore Immunotherapeutic Responsiveness.
Demaria S, Formenti SC.
Trends Immunol. 2021 Apr;42(4):275-277. doi: 10.1016/j.it.2021.02.007. Epub 2021 Feb 23.
・Cancer immunotherapy: Macs in the middle.
Shoukry NH, Turcotte S.
Immunity. 2021 Mar 9;54(3):409-411. doi: 10.1016/j.immuni.2021.02.012.
・Liver metastases “siphon” off immunotherapy response.
Cortese N, Marchesi F.
Hepatobiliary Surg Nutr. 2021 Aug;10(4):526-529. doi: 10.21037/hbsn-21-215.
2. He K, et al.
Novel Use of Low-Dose Radiotherapy to Modulate the Tumor Microenvironment of Liver Metastases.
Front Immunol. 2021 Dec 15;12:812210. doi: 10.3389/fimmu.2021.812210. eCollection 2021.
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限定正社員とは、ワークライフバランスに配慮した制度です。弊社の場合、
〇 つくば市限定勤務です。
〇 就業時間が正社員よりも短時間(6時間)です。遠方出張等はありません。
〇 開発中の医薬品等について、研修後、品質管理担当に配属します。
(未経験者の方でも構いません。社内で研修を行います。)
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現在、弊社では、自家がんワクチンの脳腫瘍版「Cellm-001」を用いた医師主導治験、
「Cellm-001による初発膠芽腫治療効果無作為比較対照試験」
(全国の主たる13大学の脳神経外科と組んでいます)
を支援中ですが、治験に参加する患者さんが増えています。
募集要項は、以下のとおりです。
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資 格: 理系学卒又は院卒、又はバイオ関連職歴のある方
職種・数: 限定正社員・1名
勤務開始: 2023年4月
勤 務 地: つくば市千現2-1-6-C-B-1(つくば研究支援センター内)
業 務: バイオ医薬品品質管理・臨床開発および関連業務
. がん治療用のバイオ医薬品の品質管理をする安全で清潔な仕事です。GMP基準の品質管理経験者は特に歓迎します。無菌操作法やバイオアッセイに未経験の方にはお教えします。
勤務時間: 9:30-16:30(労働時間は1日6時間です。昼休み1時間。週5日勤務。ご都合に合わせて9~17時の間で調整可能です。)
. 原則として残業、遠方出張はなく、例外的な場合はあらかじめ相談します。
試用・研修期間: 6ヶ月
給 与: 月額225,000円以上。資格、キャリアにより調整します。
通勤手当: 社内規定に基づき支給
賞 与 : 年2回(7月、12月)
. 特別賞与(会社業業績による)がある場合、賞与に上乗せ支給(勤務開始初年度は賞与ではなく、特別賞与により調整)。
第2年度からは年収300万円以上となります。
昇 給 : 年1回(4月)
休日休暇: 週休2日(土日・祭日。ただし医療機関側要請等により緊急の場合、休日出勤あり)、年末年始休暇(12月29日-1月3日)、有給休暇
福利厚生: 社会保険(健康保険・厚生年金)、労働保険(労災・雇用)、育児介護休業・発明報奨・退職金制度、定期健診、(やむを得ない場合に限定した休日出勤の)代休制度、駐車場・共用ロビー・会議室・定期お茶会・クラブ活動が利用でき
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会社案内のページ: https://cell-medicine.com/company/
会社説明エントリー方法: エントリーはこちら ↓
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エントリー期間:2023年1月16日(月)~ (採用決定次第、募集終了)
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交 通: つくばエクスプレス・つくば駅から「関東鉄道学園南循環-右回り」7分、つくば研究支援センター前下車。
(つくば研究支援センター到着後:総合受付の案内表示をご覧下さい)
会社訪問: 随時予約受付
応募書類: 履歴書(写真貼付)、最終学歴卒業証明書、業績リスト(卒論の概要、他に:各種資格やこれまでの経験等を証する書類コピー)、(共働者または実際の指導者の)推薦状、(以下、大学より直接FAXでも可、学卒までの)成績証明書、
直近3ヶ月以内の健康診断書。
入社試験: エントリーいただいた方に別途お知らせします。入社試験/面接日時は書類審査後に通知します。
問い合わせ先・書類提出先:
〒305-0047 つくば市千現2-1-6-C-B-1(つくば研究支援センター内)
セルメディシン株式会社 総務係
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