“AME Clinical Trials Review”という学術誌が創刊され、そのVol. 1が今年の10月25日付けで発行されました。
→ https://actr.amegroups.org/article/view/7852/html
この学術誌は、世界中で毎年数万件も実施されている臨床試験について、続々と発表される原著論文を集め、まとめて論評を加えた総説論文集です。
創刊の目的を、
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「研究開発を、ベンチ(基礎研究)からベッドサイド(臨床試験)へ、そして実践(日常診療)へと移行するプロセスを促進する」
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ためだとしています。
特に、新しいがん治療法の開発がどこまで進んでいるのか、実際の臨床現場で使いものになるのか、という解説が当面の「目玉」になっています。
創刊号のなかで、ちょっと目を引く論文タイトルがありました。
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Editorial Commentary
The immune “tsunami” has arrived at the shores of early-stage non-small cell lung cancer.
Antonio Rossi, Ettore Mari, Domenico Galetta
AME Clinical Trials Review 2023;1:4 (25 October 2023)
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早期の非小細胞肺がんという浜辺に免疫(療法開発の)“津波”がきた、というものです。
ステージIやステージIIの早期非小細胞肺がんでは、手術でバッサリ切除してしまうのが第一選択です。
しかし、術後は見かけ上では治っていますが、再発が非常に多く、確かに治ったというにはまだまだ問題があるのが現状です。
そこで、手術後に抗がん剤を投与する補助療法(アジュバント療法といいます)が推奨されています。
別途、手術前に薬を投与しておいてがん細胞をたたく(ネオアジュバント療法といいます)という方法も盛んに使われます。
いずれも手術後の再発を抑え、生存期間を延ばすためですが、実際にどのくらいの効果があったかをこの総説では評価しています。
例えば、過去には、多くのランダム化試験などで実施されたように、術後、プラチナ製剤を用いた化学療法では、5年生存期間(OS)が約5%改善していました。
同様のOSの緩やかな改善は、術前のネオアジュバント療法でプラチナ製剤を用いた化学療法でも報告されています。
しかし、たったの5%の延命効果です。
化学療法では限界があり、やはり早期の非小細胞肺がんに対する新しい治療法が必要なことは明らかです。
ここに登場したのがニボルマブ(オプジーボ)を始めとする免疫チェックポイント阻害剤“群”でした。
肺がん患者数は世界的にも非常に多いですから、ここ数年で、免疫チェックポイント阻害剤を組み合わせた臨床試験の結果が、一挙に大量の論文として発表されてきました。
著者らはこれを、the immune “tsunami”と表現しています。
このうち、早期の肺がんに対するネオアジュバント療法の効果について、第2相試験、第3相試験で様々な観点から評価されていますが、それでも決定的な結論は、この論文には記載されていません。
その上、「切除可能な非小細胞肺がんで、放射線治療の役割を再調査すべきだ」とまで言っています。
ということは、がん免疫療法開発の“津波”が来ていても、未だ現時点では、臨床現場で満足できる臨床効果は出ていないことを示しています。
これまで、弊社では(たびたびこのセルメディシンニュースで)、免疫チェックポイント阻害剤は体内でがん免疫反応にかかるブレーキをオフにするものの、がん免疫反応のアクセルは踏まない(アクセル・オンにはならない)、と述べてきました。
おそらく今後は、がん免疫反応をアクセル・オンとする薬剤との組合せ療法が積極的に検討されていくものと思われます。
その意味で、弊社の「自家がんワクチン」は、アクセル・オンの役割を果たせる典型的な薬剤ですから、役に立てるはずです。
未承認医薬品とはいえ、本邦では自由診療で受診可能ですので、もし患者様が早期の非小細胞肺がんなら、術後の補助療法の一つとして積極的に採用されることをお勧めします。
「自家がんワクチン」には、強い副作用はありません。非常に安全です。
うまく免疫チェックポイント阻害剤と組み合わせれば、
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が作動し、術後の補助療法としての治療効果が一段と高まるであろうと期待できます。
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