がん免疫療法としてすっかり普及してしまった免疫チェックポイント阻害剤(オプジーボやヤーボイ等、多種類ある抗体医薬品)ですが、頻度が低いとはいえ、ときに命にかかわる強烈な副作用が発生することが知られています。
いわゆるimmune-related adverse effects (irAEs)です。
それを避けるためだけとは限りませんが、抗体医薬品の初回投与時で頻発するインフュージョンリアクション(※)を予防するため、ステロイド剤の事前投与が臨床現場ではよく使われます。
(※)インフュージョンリアクション
点滴投与開始後24時間以内に現れる症状を指すことが多いのですが、
皮膚・粘膜症状:紅潮、蕁麻疹、掻痒症
呼吸器症状:喘鳴、呼吸困難
循環器症状:血圧低下、動悸
消化器症状:悪心、嘔吐、下痢
などが現れます。
しかしこのステロイド剤の投与、がん免疫療法にとっては、実はおかしな治療法です。
広く知られているように、ステロイド剤(#)には、非常に強い抗炎症作用があるため、上記のような症状発現を効果的に抑制できるのですが、その際、Tリンパ球のアポトーシス(自壊死)を誘導します。
(#)プレドニゾロン、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、フルチカゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン等、多数の種類があります。
そのため、ステロイド剤を使えば使うほど、がん免疫反応の主役となるT細胞($)を激減させてしまいます。
($)こちらも多数の種類があることが知られていますが、主役は、ヘルパーT細胞とキラーT細胞です。
ですから、ステロイド剤投与後に免疫チェックポイント阻害剤(ICI)を投与することは、細胞性がん免疫反応の主役を殺しておきながら、免疫チェックポイント阻害剤でがん免疫反応のブレーキをせっせとはずしている、(ですから当たり前ですが、がん免疫反応が起きにくくなってしまう)という矛盾した作業をしていることになります。
案の定、先週8月19日付のオンラインニュース 「MedPage Today」 に、
” Higher Steroid Dose for ICI Toxicity Harms Cancer Survival, Analysis Suggests ”
(ICIの毒性に対する高用量のステロイド剤投与は、がん患者の生存率を下げる、と統計解析が示している)という記事が掲載されました。
詳細はこの記事に譲りますが、
そうであれば、もともとICIのような強すぎる免疫刺激作用がなく、ステロイド剤の事前投与の必要性もなく、やんわりと、しかも個々の患者さんのがん特有のがん抗原を認識し、その患者さん特有の細胞性がん免疫反応のアクセルを踏む役割をする、
“自家がんワクチン”
を使用してみる価値は、十分あるのではないでしょうか。
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