「がん免疫療法+放射線治療」
というがんの併用療法は、十数年前から専門家の間では注目を浴びていましたが、最近は特に世界中で急速に関心が高まってきました。
それというのも、がんの放射線治療では、従来は放射線の強力な作用でがん細胞を殺せるのは当たりまえのことだと認識されてきましたが、それだけでは説明できないことがあるのです。
放射線治療だけでは滅多に起こることがない(1000人に1人くらい?!)、放射線が当たっていないところにあるがん塊まで縮小し治ってしまうという、不思議な現象、
「アブスコパル効果」
が、かなり頻繁に観察されるようになってきたからです。
これは、現在では、体内のがん免疫反応と放射線の共同作用のせいであろうと推定されています。
放射線が当たったところにあったがん塊の中のがん細胞が、放射線の作用で死んだとき、自壊していくがん細胞内からがん化の原因となった分子(がん抗原分子)が周囲に流れ出しますが、
それを取り込んだ抗原提示細胞(樹状細胞やマクロファージ等が知られています)が、新たにキラーTリンパ球(細胞傷害性T細胞、CTL)を刺激して増やすと、
CTLが血流に乗って体内を巡るうちに、放射線が当たっていないところに隠れているがん細胞を見つけだして殺す、というメカニズムが「アブスコパル効果」の本体だろうと考えられているからです(Ref.1)。
今年2月6日と7日、弊社の提携医療機関である「銀座並木通りクリニック」から、2本の院長ブログが発信されました。
アブスコパル効果で根治したのかも・・①肺がん
→ https://ameblo.jp/gin-nami/entry-12885253156.html
(CT画像も掲載されています)
アブスコパル効果で根治したのかも・・②卵巣がん
→ https://ameblo.jp/gin-nami/entry-12885347369.html
(CT画像も掲載されています)
今回は、そのうちの「①肺がん」の方について、以下に院長ブログから引用してご紹介します。
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〔症例0625〕肺がん
50歳代、男性。2007年7月、右上葉肺腺がん切除。リンパ節転移あり、脈管浸潤あり、ステージIIIA。手術後の補助化学療法を希望せず、自家がんワクチン療法を受診。
悪性度の高い、進行の早い低分化肺腺がんで、自家がんワクチン導入後も、腫瘍マーカーのCA19-9は上昇を続け、術後3ヶ月で右頸部、縦隔にリンパ節転移が出現。急遽、右頸部と縦隔リンパ節に放射線治療を施行。
急激に腫瘍マーカーが減少し2011年現在も無再発(頸部リンパ節転移巣は通常ならば放射線治療後に一時消失しても再発してくる)。
しかし、以後、無再発のまま5年経過したため、根治と診断。
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(以下、ブログで院長いわく)、
頸部リンパ節にまで累々と転移をしているということは,全身にがん転移が広がっていることを意味しており,右頸部・縦隔リンパ節に施行した放射線治療の効果は局所コントロールを中心とした一時的なものにすぎません.再々発はほぼ必発という状況です。
「またすぐにあちこちに転移が出てくるだろうな・・状況は極めて厳しいぞ・・・」
と思って身構えていましたが、その後は、大荒れだった海が急に凪(なぎ)になったかのように、がんの活動気配がパタリと静まりました。
そして,何事もなくそのまま5年が経過し根治となりました。
本患者さんは,自家がんワクチン導入後の,遅延型免疫反応テストでご自身の肺がんに対する特異的細胞性免疫活性が上がっていることは確認されていました。
振り返りになりますが,その免疫活性の上がっている状態で併用された放射線治療により発現したアブスコパル効果により,全身に散らばっていた残りのがん細胞が駆逐され,根治に至ったのではないか・・・と推察しました。
いずれにせよ,大学病院の主治医も、『えっ?あの状態から治ったの?マジ?ホント?』とビックリした症例でした。
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これも「自家がんワクチン」の実力のうちです。
次号のセルメディシンニュースNo.632では、上記の「②卵巣がん」の症例を取り上げたいと思います。
どうぞ、お楽しみに。
Reference
1.鈴木義行、新たな標準治療の確立に向けて、放射線腫瘍学講座、福島県立医科大学、2019
https://www.fmu.ac.jp/univ/kenkyuseika/wordpress/wp-content/uploads/2019/07/2-35_HousyasenSyuyou.pdf
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