2014年8月16日の日経新聞に、
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小野薬品工業はがん領域専門の医薬情報担当者(MR)を数年内に当初計画の6倍の最大200人配置する。悪性黒色腫(メラノーマ)という治療が難しいがんの新薬の日本での製造販売承認を7月に取得した。他のがんへの適応拡大もにらんで専門MRを手厚くしがん領域に本格進出する。
承認を取得した「抗PD-1抗体」は体内の免疫細胞を覚醒させ、がん細胞を攻撃する新しい働きを持つ抗がん剤。メラノーマが対象で9月にも国内販売を始める。……..
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との記事が掲載されました。
電子版は、 → こちら にでています。
すでにご存知かもしれませんが、免疫チェックポイント阻害剤の代表例には、抗CTLA-4抗体・イピリムマブ(商品名:ヤーボイ)と抗PD-1抗体・ニボルマブ(商品名:オプジーボ)があります。
イピリムマブは米国他、既に海外で承認されていますが、本邦では未承認です。それよりも早く、本邦ではニボルマブが、非常にスピーディにメラノーマに対して承認されたのは、国産の新薬開発を促進するという安倍政権の政策を反映してのことと思われます。
この新聞記事を受け、弊社では自社ホームページ内に、「自家がんワクチンと免疫チェックポイント阻害剤の協調的な活用」を目指し、
「自家がんワクチンと免疫チェックポイント阻害剤の併用」
という特別の項目を追加しました。 → こちらです
理論的根拠は、2014年の米国がん学会(AACR2014)で盛んに取り上げられていた、ChenとMellmanによる、
“Cancer-Immunity Cycle”(がん免疫サイクル)
の概念図(Ref. 1、特にFig. 3)にあります。
すなわち、免疫チェックポイント阻害剤は、どれをとっても結果的に細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の増殖を刺激するものですが、阻害剤の投与前にあらかじめ自家がんワクチンで体内のCTLを活性化させておけば、さらに速くがん免疫サイクルが回転し、効率のよいがん治療が期待できるというものです。
このような時差併用を、前向きにご検討いただければ幸いです。
Reference
1. Chen DS and Mellman I: OncologyMeetsImmunology: TheCancer-ImmunityCycle. Immunity 39:1-10, 2013.