世界的に有名なボストンのマサチューセッツジェネラルホスピタルから、なんと、進行肺がん(転移がある非小細胞肺がん)では、抗がん剤による積極的な化学療法を続けるよりも、むしろ早期に緩和ケア(ホスピス)に移行した方が、QOLも良いし長生きできるという論文が出ています(下図、Ref. 1)。
この論文では、151例を無作為ランダム化して2群にわけ、一方に「標準化学療法+緩和ケア」を、他方に「標準化学療法のみ」を施行したところ、全生存期間は緩和ケア群が11.6ヶ月に対し、標準化学療法群は8.9ヵ月(P=0.02)だったとのことです。
この意味するところは重要です。つまり、現行の強い抗がん剤はまさしく毒物であって、へたをすると患者様の命を縮める、ただ漫然と旧来の標準化学療法を受け続けるのは、進行肺がんではかえって良くないと考えられます。
現在、肺がん治療では、イレッサを代表として分子標的薬を用いる治療に移行しつつありますが、それでも我が国でその副作用が大問題になったように、要注意です。
今後、この分野に副作用のほとんどないがん免疫療法が応用されるようになることを祈るばかりです。
REFERENCE
1.Temel JS, et al., Early palliative care for patients with metastatic non-small-cell lung cancer. N Engl J Med. 2010 Aug 19;363(8):733-42.
(無料で誰でも読めます。
→ https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1000678 )