乳がん骨転移の治療:振り返ってみれば、世界最高の成績だった-2 最新のがん免疫療法に関するトピックスをご紹介します。

トピックス

乳がん骨転移の治療:振り返ってみれば、世界最高の成績だった-2

最新の学会から 

乳がんが骨転移した場合、骨転移巣は

どんな治療をしても治せない

というのが医療界では常識となっています。

しかし、我々はついに、限定条件付きながら、

乳がん骨転移巣は治せる

という臨床データを得ましたので、お知らせします。

ニュースは3報ありますが、以下は第2報です。第1報は、トップページの左側下のトピックス欄で、
2017.12.26 乳がん骨転移の治療:振り返ってみれば、世界最高の成績だった-1
をご覧下さい。
また、第1報記載の画像は、弊社のホームページのうち、乳がんのページの〔症例0406〕〔症例0984〕〔症例2040〕をご覧下さい。
→ こちらです

*********

第1報では、

別の大学の先生が
「患者さんはすぐに亡くなることはないのだから、お薬を出しておいて、ちょっと放射線をかけておけばいいのよ。」
と仰られておりました、

と記載しましたが、この点はどうなのでしょうか?

手術だけではなく、放射線、抗がん剤、抗ホルモン剤、骨破壊抑制剤等々を組み合わせた、包括的な乳がん治療に自家がんワクチン療法を加えた場合、すぐには亡くならないという乳がん骨転移がある方々にメリットはあるのでしょうか?

この点を、第1報で述べた3例の「1年以上の臨床的完全奏効維持」例を含めて、検討してみました。

当然ながらどの国においても、臨床医は、目前のがん患者を救うべく最善の努力を重ねます。

乳がんの場合は、がんの進行度合い(病期、ステージ)に応じて、“この方法なら「確かに効く」”と大規模な臨床試験で証明された標準治療が適用されます。標準治療は、例えば、
国立がん研究センターのホームページ
にわかりやすく掲載されています。

別のページには、標準治療の定義が出ていて、「標準治療とは、専門家が世界中の研究の成果を集めて,有効性と安全性を確認し,現時点で最善の治療として合意したもの」とされています。

そこには、「最新情報をもとに専門家が集まって討議し,その時点で最善であるとコンセンサス(合意)の得られた治療法が標準治療となります。そして,それらの合意事項をまとめたものがガイドライン(治療指針)です。」とも記載されています。

では、「乳がん骨転移巣」に対する治療指針は、どんなものでしょうか?

最新の「2015年Web版、科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン」(日本乳癌学会編)の ①治療編 には、転移・再発乳癌の治療 の章があり、
********
CQ15 乳癌の有痛性骨転移に対して放射線療法は勧められるか
(放射線療法・転移・再発乳癌に対する放射線療法・ID31070)
********
について記載されています。

答えは、
A. 放射線療法は有用であるので強く勧められる。
です。

しかし、そのすぐ後に、
「転移性骨腫瘍による疼痛の緩和を目的とする放射線療法は,腫瘍の根絶を目指すものではないので,比較的低線量で目的を達する。放射線療法により60~80%の疼痛緩和効果が認められる。乳癌の骨転移例のみを対象とした研究は少ないため,転移性骨腫瘍全般を対象とした研究から検索した。」
と記載されています。

ここには、「腫瘍の根絶を目指す」放射線療法は記載されていません。ということは、乳がん骨転移巣の根絶は、高い線量を照射しても、不可能であることを示しています。

このガイドラインの ①治療編の、
総論 (薬物療法・転移・再発乳癌の治療・ID10180)
の冒頭には、
********
(1)治療の目的
  転移・再発乳癌は,局所再発を除いて治癒が困難である。
********
と明記されています。

これらの観点を念頭において、文献を渉猟してみましたが、やはり乳がんの骨転移例を対象とした研究は少なく、見つかったのは、

1.デンマークの全国患者登録から抽出された乳がん骨転移症例の予後(Ref. 1)
2.本邦のがん研究会病院・小泉らによる乳がん骨転移症例の予後(Ref. 2)
3.イギリスのHarriesらによる乳がん骨転移症例の予後(Ref. 3)
4.韓国の延世大学校のAhnらによる乳がん骨転移症例の予後(Ref. 4)

の4報だけでした。

予後は、一般的には、骨転移ありとの診断時から死亡するまでの期間で表します。特に、対象となった患者さん全体のうち、丁度半数が亡くなるまでの期間(全生存期間中央値、mOS)が、ある臨床試験と別の臨床試験とを比較するときのモノサシとして使用されます。

1.デンマークの場合は、mOSは17ヶ月でした。
(この値は、骨転移があっても骨折などの異常発生を伴っていない、比較的予後がましな方1,494例の場合で、5年生存率は8.3%です。骨転移がない症例34,690例では5年生存率が75.8%もありますので、骨転移の有無により、予後は圧倒的に違ってきます。 体内の爆弾=骨転移 がいかに怖ろしいか、ご理解いただけますでしょうか。)

2.本邦のがん研究会病院の場合は、単発の骨転移巣しかない方では mOSは39.5~41.4ヶ月でしたが、多発骨転移巣がある方のmOSは22.6ヶ月でした。

3.イギリスの場合は、骨転移しかない方のmOSは27.6ヶ月でしたが、内臓転移と骨転移の両方がある方では、mOSは半分以下の12ヶ月未満でした。

4.韓国の場合は、この論文では骨転移しかない方しか取り上げていませんが、mOSは55.2ヶ月ありました。(もし、内臓転移もある方も加えれば、半減以下となることは、イギリスの場合から容易に推定できます。)

これらに対して、我々の論文(Ref. 5)では、

全20例のmOSは、60.0ヶ月

もありました。このグラフ(専門家が利用するカプランマイヤーカーブです)は、弊社のホームページ中の「乳がん」のページの
〔症例2040〕のすぐ下に掲載してあります。
→ こちらです

2.の単発の骨転移巣しかない方に比べても、骨転移ありとの診断後、少なくとも3年後~8年後の間では、各年ごとのピンポイントで比較すると、全ての年でカイ二乗検定でp<0.05となりますので、3年後~8年後の間では統計的有意差があります。

我々の論文に含まれた症例群には、第1報で述べた3例の「1年以上の臨床的完全奏効維持」例もありますが、単発骨転移例は8例、多発骨転移例は12例、全体のうち、内臓転移例が16例もありました。

このうち、3例の「1年以上の臨床的完全奏効維持」例を除外しても、 17例のmOSは58.0ヶ月 あります。

これらの数値は、患者さんの背景因子をランダム化しきれいにそろえておいて比較する臨床試験の場合とは違い、患者さんの背景因子がバラツクため効き目の実感がしにくい「日常診療」における成績です。

それでもmOSで見た場合、これほど長いということは、上記の1~4.の過去の文献値に比べて、世界最高の成績であることは明らかです。

やはり、乳がん骨転移がある場合、 「患者さんはすぐに亡くなることはない」 としても、本邦では治療成績が良いとされている がん研究会病院 においてさえ、3年半も持たずに半数以上が死亡するという現実 を見れば、
「乳がんが骨転移したら、あとはあの世へ電車道だ」(因島医師会病院の倉西文仁先生)
というのは、自家がんワクチンに出会う前の、臨床現場の実感であったことがわかります。

【ここまでのまとめ】

乳がんが骨転移すると、効くとはとても言えない従来の治療法では、どんな治療を加えても、「命は短くなる」のが現実です。
しかし、従来の乳がん骨転移巣に対する包括的治療法に、

「自家がんワクチン療法」を上乗せすれば、

(因島医師会病院・倉西文仁先生のご経験の範囲では、特に放射線治療の併用が重要とされています)、

臨床的完全奏効となる場合もある上に、

「骨転移があっても半数の方が5年以上生き延びられる」
「骨転移が完全奏効に至らずとも、半数の方が4.8年以上生き延びられる

となれば、臨床的完全奏効にはならなかった乳がん骨転移症例の方々に対しても、自家がんワクチン療法はメリットがある、と言えるのではないでしょうか。

(次回のニュース、 「乳がん骨転移の治療:振り返ってみれば、世界最高の成績だった-3」 へ続く)

References

1. Young M, et al. Survival in breast cancer patients with bone metastases and skeletal-related events: a population-based cohort study in Denmark (1999-2007), Breast Cancer Research and Treatment, 129:495-503, 2011.

2. Koizumi M, Yoshimoto M, Kasumi F, Ogata E. Comparison between solitary and multiple skeletal metastatic lesions of breast cancer patients, Annals Oncol, 14:1234-1240, 2003.

3. Harries M, et al. Incidence of bone metastases and survival after a diagnosis of bone metastasis in breast cancer patients. Cancer Epidemiol, 38:427-434, 2014.

4. Ahn SG, et al. Prognostic Factors for Patients with Bone-Only Metastasis in Breast Cancer. Yonsei Med J 54(5):1168-1177, 2013.

5. Kuranishi F, et al. Rate of clinical complete response for 1-year or more in bone-metastatic breast cancer after comprehensive treatments including autologous formalin-fixed tumor vaccine. Int. J. Breast Cancer, in press, 2018.

【ご案内】
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

大規模病院の先生方へ:

「混合診療禁止」政策により、大規模病院では「自家がんワクチン療法」が実施できなくても、先生ご自身の患者様に対して、お近くの連携クリニックにて簡単に実施できます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

既に、大学教授で、この連携方式により、ご担当の患者様の自家がんワクチン療法受診を実現されている先生方も何人もおられます。具体的な方法は弊社まで直接お問い合わせください。必要な投資額はわずか30万円前後です。

新たに「自家がんワクチン療法」を自院でも開始したい病院の先生方は、どうか遠慮なく弊社にご連絡下さい。直接説明に伺います。

大病院から小型診療所まで、どこでも簡単に実施可能です。しかも肝がんでは、すでに無作為比較対照臨床試験で有効性が証明されているエビデンスレベルの高いがん免疫療法です。

★“自家がんワクチン療法”は「厚労省への届け出は不要です」★

自家がんワクチンは生きている細胞を含まないため培養不要です。また、組織を再生させるものではなく再生医療等安全性確保法でいう「再生医療製品」に該当しないためです。

**********△▲***▽▼********************△▲***▽▼***********

注:弊社は病院やクリニックではなくバイオ企業であるため、症例報告や論文内容のWeb掲載は許容されています。

ご相談は無料です。
お気軽にお問い合わせください。