毎年秋に開催されている「がんワクチン療法研究会」は、参加者数が30~40名の小さな学会ですが、がんと戦う専門医が、がん免疫療法のうち、「がんワクチン」というピンポイントの観点から濃密な議論を交わす場として、2004年以来、過去20年間存続してきました。
このうち、自家がんワクチン療法に関しては、これまでに専門医でさえも驚いた効果があった幾多の症例が発表されてきましたが、
(→ こちらに「劇的な治療効果が数多く報告されています!」
https://cell-medicine.com/cases/475 )
先週土曜日(11月15日)に東京で開催された
第21回 がんワクチン療法研究会
で発表された以下の乳がんの方の治療経過も、専門医をうならせるものでした。 (Ref. 1)
『重要なキーポイントは、この患者様、乳がんの標準治療となっている抗がん剤治療を、副作用がきついと、断固拒否された点です。』
| 〔症例3110〕 70代女性、2018年9月乳がん手術、PET-CTで左上鎖骨リンパ節に転移検出、バイオプシーにて悪性度クラスV、ステージIIIC (T4bN3cM0) と診断。 (注:この診断は、皮膚や胸壁に広がったがんがあり、複数のリンパ節に広範囲に転移しているものの肺や肝臓への遠隔転移は認められない状態を指しています。鎖骨上窩リンパ節に転移があるのは、リンパ節転移の中でも最も進行した厄介な転移とされています。) リンパ節転移があると、抗がん剤治療を第一選択とするのが標準治療だが、これを拒否。 2018年11月、自家がんワクチン(AFTV)を接種(1コース目)。ホルモン療法を併用しつつ、2019年1月、放射線治療追加(左鎖骨上窩、腋窩、胸壁に計50Gy照射)。 (注:ホルモン療法や放射線治療だけでは鎖骨リンパ節転移巣は治せないのが普通とされています。) 2020年11月、PET-CT検査にて肺転移、肝転移検出(ここでステージIVと診断)。肝転移巣に放射線治療(48Gy)の10日後から、自家がんワクチン再接種(2コース目)。 2021年5月、PET-CTにて、左鎖骨上窩リンパ節再発無し。しかし、肺転移巣増大。 2022年2月、肝転移巣はPET-CTで消失。肺転移巣は増悪。それでも引き続き抗がん剤治療を拒否。 2024年1月、仙骨に転移。放射線治療追加(40Gy)。既知の肺転移巣は縮小。 2024年2月、自家がんワクチン接種(3コース目)。 2024年3月、追加の放射線治療。 2025年1月、完全緩解。9月現在でもQOL良好。 |
通常、自家がんワクチン療法では、原則として1コースで治療は終了、としています。しかし、この症例では、乳房から遠方への転移発見を受けて、結局、3コースの自家がんワクチン療法を施行しています。しかも、これだけ再発を繰り返しているにも関わらず、毎回の追加放射線治療により、最終的に完全緩解に至っています。
つまり、毎回の、 「自家がんワクチン療法(イムノテラピィ)+放射線治療(ラジオテラピィ)」による
“イムラジ”療法
が、結果的に有効だったと考えられます。この“イムラジ”療法では、抗がん剤治療で頻発する強い副作用
はほとんどありません。その分だけ、患者様の身体の負担ははるかに軽くなります。
以上から、主治医は、
「自家がんワクチン療法+放射線治療」は、標準的な抗がん剤治療に比肩し得る効果がある
と発表しておられました。読者の皆様、ぜひご参考に願います。
Reference
1.Stage IIIC (T4bN3cM0) 乳癌に対するAFTVの効果。
倉西文仁、岩子寛(因島医師会病院)
第21回がんワクチン療法研究会学術集会抄録集、
一般演題4、p.8、2025.11.15
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