(直腸がんを含む)大腸がんでは、患者全体の数%にすぎないですが、遺伝子変異の非常に多いタイプがあることが知られています。
マイクロサテライト不安定性が高い(microsatellite instability-high (MSI-H))、
または、
DNA複製ミスの修復機構に欠陥がある(mismatch repair-deficient(dMMR))
というタイプです。
要するにどちらも、遺伝子修復能が狂ったため大量の遺伝子変異が蓄積したがん細胞です。
そのため、変異した遺伝子から作り出されるがん抗原・ネオアンチゲンの種類も非常に多いと考えられています。
これらMSI-H/dMMRタイプの大腸がん(以下の試験では直腸がんに絞り込んでいましたが)に対して、免疫チェックポイント阻害剤である2剤、
(1)ニボルマブ(オプジーボ)+イピリムマブ(ヤーボイ)
を最初から投与した方が、
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現在の標準治療になっている強力な化学療法剤を混合した治療法よりもはるかに良い、
*****
という発表が、パリのソルボンヌ大学から、2024 ASCO 消化器がんシンポジウム(Abstract LBA768)であったと、
2024年1月22日(MedPage Today, Ref. 1)
および、
1月23日(ASCO Post Evening News, Ref. 2)
に報じられました。
この試験は「CheckMate 8HW」試験と命名されている第III相試験です。今回の発表は、まだ中間解析段階のものです。
大腸がん(直腸がんも)の現在の標準治療は、
(2)化学療法で、
「mFOLFOX6」療法(フルオロウラシル、ロイコボリン、オキサリプラチン)
または、
「FOLFIRI」療法(フルオロウラシル、ロイコボリン、イリノテカン)
となっています。
このCheckMate 8HW試験では、無増悪生存期間中央値は、
(1)では未達
(2)では5.9ヶ月
と、P<0.0001で、大差があります。
24ヶ月生存率は、
(1)では72%
(2)では14%
となっています。
(1)vs(2)でこれだけ圧倒的な差があれば、中間解析段階であれ、もはや勝負あったとされてしまいます。
おそらく、全世界で採用されている現在の標準治療である(2)の化学療法は、急速に(1)のがん免疫療法に置換され、MSI-H/dMMRタイプの大腸がんでは、終焉に向かっていくものと思われます。
しかも、(2)では、強力な抗がん剤を大量に投与しますから、副作用も甚大です。
それにひきかえ(1)では、副作用は「比較的には軽度」であったとされています。
ただし、(1)の「ニボ・イピ群」では、202例中で、治療による死亡例が2例あったと報告されています。
いかに頻度が低いとは言え、がん治療のために受けた(1)のがん免疫療法により死亡するとは、患者さんにとってはたまったものではありません。
まさに命がけの治療となります。
このような劇症といえる副作用をいかに避けるべきかが今後の重要な課題となるでしょう。
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従前から、メラノーマの治療でも、ニボルマブ(オプジーボ)+イピリムマブ(ヤーボイ)の併用療法では、
「特にイピリムマブによる強い毒性」
が問題になっていました。
これを避けるためには、なんといっても、“イピリムマブを使わない”ことに尽きます。
既に、弊社のホームページに掲載したトピックス、
(2023.12.25付)
「免疫チェックポイント阻害剤の効果は高いが副作用もきつい。患者さんは耐えられるか?」
→ https://cell-medicine.com/topics/%e5%85%8d%e7%96%ab%e3%83%81%e3%82%a7%e3%83%83%e3%82%af%e3%83%9d%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%88%e9%98%bb%e5%ae%b3%e5%89%a4%e3%81%ae%e5%8a%b9%e6%9e%9c%e3%81%af%e9%ab%98%e3%81%84%e3%81%8c%e5%89%af%e4%bd%9c/
にて、イピリムマブの安全性に関する学会発表が、
第36回日本バイオセラピィ学会学術集会(2023.12.13-14、昭和大学、東京)
であったこと、またこの発表から、実臨床における「イピリムマブの1回あたりの投与量 3mg/kg」は非常にリスクが高い投与量だと記載しています。
他にも、「ニボ・イピ療法」では、“予期せぬ死亡増加、臨床試験を中止”というニュース(2023.04.28)まであります。
↓
https://www.m3.com/clinical/open/news/1136193
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一方、弊社では、すでに2015.06.29に、臨床で、
・弊社の自家がんワクチンと、
・(イピリムマブを使わず)ニボルマブと同じ作用をするペンブロリズマブ(キイトルーダ)
を併用した「アクセル・オン/ブレーキ・オフ戦略」で
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自家がんワクチンと免疫チェックポイント阻害剤
を併用した最初の症例
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について、良好な治療効果を弊社ホームページのトピックス欄に掲載しています。
しかも問題となる強い副作用(グレード3以上の有害事象)は全く無しです。
↓
https://cell-medicine.com/topics/%e8%87%aa%e5%ae%b6%e3%81%8c%e3%82%93%e3%83%af%e3%82%af%e3%83%81%e3%83%b3%e3%81%a8%e5%85%8d%e7%96%ab%e3%83%81%e3%82%a7%e3%83%83%e3%82%af%e3%83%9d%e3%82%a4%e3%83%b3%e3%83%88%e9%98%bb%e5%ae%b3%e5%89%a4/
なお、特に、標準治療を拒否したステージIVの
「MSI-Hタイプの子宮体がん」
に対しては、自家がんワクチン単独治療でも劇的な効果がありました。
↓
https://cell-medicine.com/topics/%e6%a8%99%e6%ba%96%e6%b2%bb%e7%99%82%e3%82%92%e6%8b%92%e5%90%a6%e3%81%97%e3%81%9f%e3%82%b9%e3%83%86%e3%83%bc%e3%82%b8iv%e3%81%aemsi-high%e5%9e%8b%e5%ad%90%e5%ae%ae%e3%81%8c%e3%82%93%ef%bc%9a%e8%87%aa/
もし、今後、MSI-H/dMMRタイプの大腸がん(直腸がん)を治療したいが、
・強い副作用がある現在の標準治療(化学療法)は避けたい
・上記のような「ニボ・イピ療法」で死ぬのは怖いから避けたい
という患者さんとその治療担当の先生がおられましたら、
ぜひ、
「自家がんワクチンと(低用量の)免疫チェックポイント阻害剤」を併用する(イピリムマブを使わない)、
「アクセル・オン/ブレーキ・オフ戦略」
の導入をご検討いただければたいへん有難く存じます。
大病院では、「保険診療部門」と「自由診療部門」の明瞭な切り分けと、相互に連携した連絡体制の構築が必要となりますが、詳しくは、弊社にご一報いただければ、ご説明申し上げます。
References
1. “Big PFS Improvement in Highly Mutated CRC With Dual Immunotherapy ? Nivolumab/ipilimumab led to
improvement in untreated MSI-H/dMMR disease versus chemo”
→ https://www.medpagetoday.com/meetingcoverage/mgics/108364?xid=nl_mpt_DHE_2024-01-22&eun=g816724d0r&utm_source=Sailthru&utm_medium=email&utm_campaign=Daily%20Headlines%20Evening%202024-01-22&utm_term=NL_Daily_DHE_dual-gmail-definition
2.“First-Line Nivolumab Plus Ipilimumab Shows Benefit in Metastatic Colorectal Cancer Subset”
→ https://ascopost.com/news/january-2024/first-line-nivolumab-plus-ipilimumab-shows-benefit-in-metastatic-colorectal-cancer-subset/?utm_source=TAP%2DEN%2D012324%2DINTL&utm_medium=email&utm_term=9492fe1b4d1abeee077e1ad596db983a
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抗がん剤が効きにくい“スローな癌”こそワクチンで
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大病院の先生方へ:
「混合診療禁止」政策により、保険診療機関である
大病院では「自家がんワクチン療法」が実施できなく
ても、先生ご自身の患者様に対して、お近くの連携ク
リニックにてごく簡単に、自由診療にて実施できます。
既に、大学教授で、この連携方式により、ご担当の
患者様の自家がんワクチン療法受診を実現されている
先生方も何人もおられます。
新たに「自家がんワクチン療法」を自院でも連携方
式で開始したい病院の先生方は、どうか遠慮なく弊社
にご連絡下さい。Web会議にて直接説明申し上げます。
大病院から小型診療所まで、どこでも簡単に実施可
能で、初期投資も不要です。
しかも肝がんでは、すでに
ランダム化比較対照臨床試験で有効
と証明されているエビデンスレベルの高いがん免疫療
法です。
★ “自家がんワクチン療法”は
「厚労省への届け出は不要です」 ★
自家がんワクチンが、生きている細胞を含まないた
め培養不要で、
再生医療等安全性確保法でいう
「細胞加工物」(人又は動物の細胞に培養その他の加
工を施したもの)に該当しないためです。
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患者様向けには、「自家がんワクチン療法」のホー
ムページをご案内下さい。わかりやすくやさしく記載
してあります。
こちらです。
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弊社は、理化学研究所発ベンチャー企業
& 筑波大学発ベンチャー企業 です。
セルメディシン株式会社
〒305-0047 つくば市千現2-1-6-C-B-1
TEL:029-828-5591、FAX:029-828-5592
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