がんの放射線治療だけでは滅多に起こることがない、放射線が当たっていないところにあるがん塊まで縮小し治ってしまうという、不思議な現象、
「アブスコパル効果」
による、「自家がんワクチン+放射線治療」の臨床効果については、先の 「セルメディシンニュース No.632 (2025.03.04)」にて、「卵巣がんでも根治例」が出たことをお知らせ申し上げました。
今回はそのような治療を行うに至る元となった基礎研究のお話です。
がんの臨床研究分野では、最先端の研究成果は原著論文として国際誌に英文で発表されます。全世界では、毎年、膨大な数の原著論文が発表されるため、論文の内容を丁寧に追いかけるのは至難の技です。
そこで、時々、がん分野の中でもある特定のテーマ(例えば「放射線治療の予想外の効果」について)の元で、それまでに発表された原著論文をまとめ、そのテーマに沿っている研究が現在どこまで進捗しているかを紹介する論文が総説論文として発表されます。
そのような臨床研究の総説論文に、自からの原著論文が積極的に引用され、そのテーマの流れを決めているような基礎研究として紹介されることは、研究者にとっては当該分野に確かに貢献できていることを、世界のどこかにいる第3者によって証明されることとなりますので、たいへん嬉しいものです。
先月末の10月31日に着信したAcademia Oncology誌からの知らせでは、同日掲載の総説論文、
“Abscopal effect in melanoma: effective treatment in situ may unlock systemic antitumor immunity”(悪性黒色腫におけるアブスコパル効果:効果的な局所治療が全身の抗腫瘍免疫能を解き放つ) (Ref. 1)
の中に、筑波大からの基礎研究論文(弊社からも著者の一人として参加しています)、
“The abscopal effect induced by in situ-irradiated peripheral tumor cells in a murine GL261 brain tumor model”(ネズミのGL261脳腫瘍モデルで局所照射を受けた抹消腫瘍細胞によるアブスコパル効果)(Ref. 2)が、重要な原著論文として引用されました。
この原著論文(Ref. 2)は、8年も前に発表されていたものですが、マウス実験で脚に移植したGL261脳腫瘍細胞に、その場で放射線照射して治療すると、別途に脳内に直接移植した「放射線を当てていない」GL261脳腫瘍細胞による脳腫瘍形成を拒絶する
→ 「元気なGL261細胞を殺してしまう」という、アブスコパル効果を示した論文です。
先月発表されたばかりの総説論文(Ref. 1)に記載された、
“「アブスコパル効果」研究の世界全体の流れ”
からみれば、筑波大の研究は、2017年当時では実に先端的な研究成果であったことがわかります。
どうか、読者の皆さまにおかれましては、
「自家がんワクチン + 放射線治療」の併用療法(イムノテラピィ + ラジオテラピィ)
( 略して“イムラジ” )
が、がん治療においては「アブスコパル効果」も期待できるため、非常に効果的であることをご理解いただければ有難く存じます。
その具体的な症例は、以下の胃がんの方に見られます。
| 〔症例1091〕 (https://cell-medicine.com/cases/41) 69歳、男性。胃がん、リンパ節転移あり(1cmくらいが5ヶ所、血管を巻いている)、stageIII、2009年1月に摘出。腫瘍マーカーCEAが1月で20~30であったが、11月に170、12月の1か月で倍になった。 この間、化学療法(TS-1、シスプラ、イリノテカン、タキソール)で効果なし。余命半年-1年との主治医診断。2010年2月自家がんワクチン接種開始、胸部に放射線治療併用。この際に“照射野外の頸部リンパ節に転移発見。しかし3月に縮小、CEAが60に低下”。 最終的には再々発をきたすも、非照射部位の「残存腫瘍サイズの縮小」、「腫瘍マーカー半減以下へ減少」により有効と評価。 (注)この方は、放射線照射だけでは滅多に出現することがないアブスコパル効果が、自家がんワクチン接種により活性化された免疫細胞を通じて現れ、放射線が当たっていない部位の頸部リンパ節転移を縮小させたものと考えられます。 (注追記)「自家がんワクチン + 放射線治療」の併用で“イムラジ”になっています。 |
また、弊社のホームページからご覧いただけますトピックスのうち、80歳以上という高齢者の方々に限っても、“イムラジ”の効果が、
| トピックスNo. 657: 80歳以上の方々に対する自家がんワクチン療法の効果は意外に高い -その2 – この方々をご覧あれ |
| 〔症例1988〕 85歳、男性、線維性組織球腫(MFH)→ https://cell-medicine.com/topics/2799 |
| トピックスNo. 660: 80歳以上の方々に対する自家がんワクチン療法の効果は意外に高い - その3 – やはり効いていました、親孝行です |
| 〔症例583〕 80歳、女性、乳がん、ステージII 〔症例1715〕80歳、男性、直腸がん、ステージIIIb → https://cell-medicine.com/topics/2814 〔症例1484〕80歳、男性、耳下腺がん、ステージ不明 |
にて見られます。
まして、80歳未満の若いがん患者さまでは、他にも“イムラジ”の効果が多数出ています。
どうか弊社のホームページのトップにある “サイト内検索”の文字ボタンをクリックし、Google検索と同じやり方で “イムラジ”と入力して検索してみてください。
もっと学術的な解説では、
「世界最長の延命効果( = 世界新記録! )」
を示した、遠隔転移した乳がんの場合もあります。
どうぞこちらをご覧願います。→ https://cell-medicine.com/topics/2756
References
1.Mitsou J, Tseveleki V.
Abscopal effect in melanoma: effective treatment in situ may unlock systemic antitumor immunity.
Academia Oncology 2025;2:Issue 4, doi.org/10.20935/AcadOnco7954
2.Zenkoh J, Gerelchuluun A, Wang Y, Miwa Y, Ohno T, Tsuboi K.
The abscopal effect induced by in situ-irradiated peripheral tumor cells in a murine GL261 brain
tumor model.
Transl Cancer Res 2017;6(1):136-148.
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